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正当防衛と過剰防衛の違いとは? もし刑事事件になったらどうなるの

2021年12月20日
  • 暴力事件
  • 正当防衛
  • 過剰防衛
正当防衛と過剰防衛の違いとは? もし刑事事件になったらどうなるの

他人を殴って怪我をさせた場合には、傷害罪が成立することになりますが、自己の身を守るために反撃をして他人に怪我をさせてしまった場合はどうでしょうか。このような場合には、相手にもそれなりの落ち度がありますので、正当防衛が成立して罪に問われない可能性があります。

しかし、反撃行為が過剰なものであった場合には、正当防衛ではなく過剰防衛というものが成立する可能性があります。過剰防衛となった場合には、犯罪の成否にどのような影響があるのでしょうか。

今回は、正当防衛と過剰防衛の違いや刑事事件になってしまった場合の対応について、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスの弁護士が解説します。

1、正当防衛の定義

正当防衛という言葉自体は聞いたことがある方も多いでしょう。しかし、正確な内容や要件を把握している人はあまりいません。そこで、まずは、正当防衛の定義や要件について説明します。

  1. (1)正当防衛とは

    正当防衛とは、急迫不正の侵害に対して、自己または他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為と定義されています(刑法36条1項)。正当防衛が成立する場合には、刑法上の犯罪に該当する行為をしていたとしても、違法性がないものと判断されるため、犯罪が成立することはありません。

    法治国家においては、権利侵害があった場合には、私人が実力行使をして解決することは認められておらず、国家機関による法定の手続きによって解決することが建前になっています。しかし、国家機関が権利侵害の予防・回復を図ることが困難な緊急状態においては、私人による実力行使を認めないと権利が不当に侵害され、社会秩序の混乱を招くことになります。

    そこで、刑法では、厳格な要件のもと、正当防衛という私人による権利侵害行為を認めているのです。

  2. (2)正当防衛の成立要件

    正当防衛が成立するためには、以下の要件を満たす必要があります。

    ① 急迫不正の侵害
    「急迫」とは、権利侵害の危険が現に存在しているか、目前に差し迫っていることをいいます

    そのため、過去の侵害に対しては、正当防衛は成立しません。殴る蹴るなどの暴行を加えられていたとしても、その攻撃が終了した後に相手に反撃をすることは「急迫」の要件を満たしません。

    また、将来の侵害に対して、それを見越して先制攻撃を加える行為についても正当防衛は認められません。ただし、自宅に強盗が来た場合に備えて金属バットを準備しておいたところ、予想どおり強盗が現れたため、金属バットで撃退したという場合には、将来の侵害を予想して準備をしていますが、強盗が襲ってきた時点を基準にすれば急迫性は認められます。

    「不正」とは、違法な侵害のことをいいます。正当防衛は、違法な侵害行為に対して正当な反撃を加えることですので、一般的に「不正対正」の関係にあるといわれています。そのため、正当防衛に対して正当防衛をすることは「正対正」の関係になりますので、この場合には、正当防衛ではなく、刑法37条の緊急避難の成否が問題となります。

    ② 自己または他人の権利を防衛するために
    正当防衛は、自己の権利に対しての防衛だけでなく、他人の権利に対しての防衛も認められています。

    ③ やむを得ずにした行為
    やむを得ずにした行為とは、侵害に対する防衛手段として相当性を有することが必要になります。やむを得ずにした行為といえるためには、急迫不正の侵害に対する反撃行為が自己または他人の権利を防衛する手段として必要なものであり、権利侵害が最小限度の行為であることが必要です。

    しかし、正当防衛は、「不正対正」の関係で成立するものですので、「正対正」の関係で問題となる緊急避難のように、他に取るべき手段がなかったというような厳格な相当性までは要求されません。

    ④ 防衛の意思
    正当防衛の成立には、防衛の意思が必要になります。そのため、相手に危害を加えた結果、たまたま相手も自分に危害を加えようとするところであり、偶然に正当防衛の状況となったとしても、行為者には防衛の意思が存在しませんので、正当防衛は成立しません。

2、過剰防衛になりうるケース

過剰防衛とはどのような状況で問題となるのでしょうか。以下では、過剰防衛の定義と過剰防衛が問題となる具体的なケースについて説明します。

  1. (1)過剰防衛とは

    過剰防衛とは、急迫不正の侵害に対して、防衛の意思で反撃行為をしたものの、その反撃行為が防衛の程度を超えた場合をいいます(刑法36条2項)。正当防衛は、違法性が阻却される結果、犯罪自体の成立が否定されますが、過剰防衛の場合には、犯罪自体は成立し、情状によってその刑が減軽されまたは免除されるに過ぎません。

    正当防衛と過剰防衛の区別は、「やむを得ずにした行為」といえるかどうか、すなわち、防衛行為が必要最小限度であったかどうかによって区別します。

  2. (2)過剰防衛が問題となる具体的なケース

    過剰防衛が問題となるケースとしては、質的過剰と量的過剰の2つがあります。

    ① 質的過剰
    質的過剰とは、当該防衛行為が必要性と相当性の程度を超えている場合のことをいいます。たとえば、素手で殴りかかってきた相手に対してナイフで応戦し刺し殺してしまった場合などが挙げられます。必要性と相当性の程度を超えていたかどうかについては、両者の年齢、体格、武器の有無・種類などの具体的な事情を考慮して判断することになります。

    ② 量的過剰
    量的過剰とは、急迫不正の侵害が終了したにもかかわらず、そのまま防衛行為を継続した場合をいいます。たとえば、最初の一撃で相手は倒れたにもかかわらず、恐怖のあまり何度も殴り続けた場合などが挙げられます。量的過剰は、侵害行為終了後に反撃を加えるものですので、過剰防衛が成立しないという考えもありますが、判例では、侵害現在時の行為と侵害終了後の行為が一連の反撃行為と捉えることができる場合には、全体的に考察して1個の過剰防衛が成立するものとしています(最高裁平成21年2月24日)。

3、正当防衛だと認められない場合はどうなるのか

急迫不正の侵害に対してやむを得ず反撃したにもかかわらず、正当防衛の要件を満たさず、正当防衛が認められないこともあります。そのような場合にはどうなるのでしょうか。

  1. (1)過剰防衛の成立による刑の減免

    正当防衛を主張していたとしても、やむを得ずにした行為とはいえずに正当防衛が否定されることがあります。そのような場合でも、過剰防衛の主張をすることによって、犯罪は成立しますが刑の減免を受けることができる場合があります。

    ただし、正当防衛とは異なり必ず罪に問われないというわけではありませんので注意が必要です。

  2. (2)過剰防衛も成立しない場合

    量的過剰のように、侵害行為終了後の反撃行為が一連の防衛行為であると評価できない場合には、不正の侵害が終了した後の反撃行為については、過剰防衛が適用されませんので、刑の減免を受けることができません。

    したがって、当該反撃行為については、通常の犯罪行為と同様に起訴され、有罪判決が言い渡される可能性が高いといえます。

4、弁護士への相談が大切

正当防衛や過剰防衛が成立しうる状況下での犯罪行為をしてしまった場合には、すぐに弁護士に相談をすることをおすすめします。

  1. (1)刑事事件への対応をまかせることができる

    正当防衛や過剰防衛が問題となる事案では、形式的には構成要件に該当する犯罪が行われたことになりますので、状況によっては逮捕されて身柄が拘束される可能性があります。特に正当防衛を主張することは無罪を主張することになりますので、犯罪行為を否認していると捉えられて、逮捕される可能性が高くなります。

    逮捕勾留によって身柄拘束をされた場合には、起訴前では最長で23日間も身柄拘束が続くことになります。その間、警察官による過酷な取り調べにさらされることになりますので、早く解放されたいという思いから、不利な供述をしてしまうことがあります。

    取り調べでの供述は、裁判での証拠として扱われますので、不利な供述をした場合には、本来認められるべき主張が認められず、不当な有罪判決を受けてしまう可能性もあります。
    このような事態を回避するためには、早期に弁護士に依頼をして、取り調べの対応などについて具体的なアドバイスを受けることが必要です

  2. (2)正当防衛や過剰防衛の成立に向けた活動

    正当防衛や過剰防衛を主張したとしてもすべてのケースで認められるわけではなく、そのような主張が認められるハードルは非常に高いといえます。そのため、正当防衛や過剰防衛の主張を認めてもらうためには、そのための証拠を収集したり、刑事裁判で説得的に主張を展開したりする必要があります

    そのためには、早期に弁護士に依頼をし、将来の裁判を見越した弁護人としての弁護活動を開始してもらうことが重要となります。やむを得ずに反撃をした結果、犯罪を疑われることになった場合には、すぐに弁護士に相談をしましょう。

5、まとめ

普通に生活をしていたとしても、突然犯罪に巻き込まれることがあります。自分の身を守るためにやむを得ずに反撃をしたにもかかわらず、逮捕されてしまうということもあります。

犯罪行為に巻き込まれた場合に、正当防衛の成立要件を意識しながら行動することはほぼ不可能ですので、身の危険を感じた場合にはすぐにその場から逃げることが重要です。もし、やむを得ずに反撃をしてしまったという場合には、正当防衛であったことを主張するために、すぐに弁護士に相談をしましょう。

正当防衛や過剰防衛の可能性がある方は、べリーベスト法律事務所 岡山オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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