奨学金が払えなくなったらどうしたらいい? 弁護士へ相談すべき理由

2019年11月22日
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奨学金が払えなくなったらどうしたらいい? 弁護士へ相談すべき理由

JASSO(独立行政法人 日本学生支援機構)が発表している「平成 29 年度 奨学金の返還者に関する属性調査結果」によると、奨学金延滞者のうち6.1%が岡山県をはじめとした中国地方に在住しているとのことでした。人口比から、関東や近畿に人口が集中していることを考慮すると、払えなくなっている方は意外と多いのかもしれません。

一般的に奨学金は卒業してから返済をスタートすることになりますが、その返済が毎月の生活費を圧迫し返せなくなってしまう方は少なくないようです。今回の記事では、奨学金の返済が難しくなり悩んでいる方に向けて、今後のためにどうすべきなのかについて弁護士が解説します。

1、奨学金とは

奨学金は、学校に通うためのまとまった資金が準備できない人にとって非常に有益な制度です。年々大幅に高額になっていく学費と、反して上がる様子がない家庭の可処分所得の影響を受け、奨学金を利用せざる得ない方が増えているようです。事実、学生の2.6人にひとりが奨学金を利用しているとJASSOが発表しています。

他方、卒業後に返済ができず、ひとりで悩んでおられる方は少なくありません。JASSOの平成31年の発表によれば、奨学金の延滞者数は平成21年度をピークに減少し続けているものの、3か月以上延滞している方は平成29年度時点で15.7万人もいることがわかります。(出典:「奨学金事業への理解を深めていただくために」独立行政法人日本学生支援機構)

2、奨学金返済に困ったときにできること

奨学金の返済ができない、していなかったなどの状態が続くと、滞納金が膨大な額になりかねません。そうなれば、ますます完済が難しくなってしまいます。

もしどうしても返済が苦しくなり、今後の支払いができなくなってしまった場合、まずは奨学金を借りている機関へ連絡し、返済について相談してみる必要があるでしょう。無視してしまうことが、もっともやってはいけない対応方法です。

なお、JASSOから借り入れを行っている場合は、以下制度の利用を検討してください。

  1. (1)返還免除制度

    返還免除制度とは、その名のとおり奨学金の支払いを免除してもらえる制度のことです。制度の適用を受けるには、一定の条件を満たす必要があります。たとえば、奨学金を借りている本人が死亡した、身体の障害を患い働くことができなくなったなどのケースです。
    詳しくは、JASSOへ問い合わせましょう。

  2. (2)返還期限猶予制度

    返済する意思はあるのに返済ができなくなってしまったとき、奨学金返済を一時的にですが中断することができる制度です。たとえば日本学生支援機構の猶予制度は、猶予期間は最大で10年間で、1回の申請で12か月まで返済猶予をしてもらうことができます。

  3. (3)減額返還制度

    返済期間を延長する代わりに、月々の返済額を減額することができる制度です。たとえば、月々の返済が4万円で2年間の返済期間がある場合に、月々の返済が半分の2万円になり返済期間は倍の4年間に延長されるといった形があります。

3、債務整理のメリットとデメリット

各種制度を利用しても、奨学金の返済が厳しく生活するのも難しい状態になってしまったら、債務整理という手続きを検討してください。特に、返済が奨学金だけでなく、他にも多額の借金を抱えてしまっている場合は、一度借金を清算して第2の人生をスタートさせるという選択がベストなこともあります。

債務整理には主に任意整理と個人再生、自己破産と3つの種類があります。いずれの場合も、債務整理を行ったあとは、借金が減る、もしくはゼロになるメリットがある一方、クレジットカードやローンの使用が一定期間制限されるというデメリットがあります。

それぞれどのようなメリットとデメリットがあるのか、知っておきましょう。

  1. (1)任意整理について

    任意整理とは、債務者(お金を借りている側)が債権者(お金を貸している企業など)と交渉することで、本来支払わなければならない利息分をできるだけ抑えてもらい、月々の支払額を抑えるものです。

    任意整理によって支払期間や分割の交渉が成功すると、月々の返済負担が減り完済しやすくなります。また、任意整理は裁判所を通さずに手続きを行うため、裁判所へ提出する書類を用意する必要がありません。すべての借金について明らかにして、整理する必要がないのです。したがって、親族が連帯保証人になっている奨学金は何とか払い続けたいものの、そのほかの借金は減額して支払い負担を軽くしたいというときなどに有効です。

  2. (2)個人再生について

    個人再生とは、裁判所を通して行う手続きです。個人再生を行うと債務を大きく減額することができ、3年から5年をかけて借金を完済することになります。

    個人再生の手続きをするためには、継続的な将来に向けての収入が見込めることや、債務総額が5000万円を超えないことなどが条件となります。個人再生の手続きでは、住宅や車などの資産を手放すことなく借金を減額できるため、精神的な負担が軽くなります。

    ただし、裁判所を通じた手続きとなるため、官報と呼ばれる政府が発行する公告文書に名前や住所が掲載されます。

  3. (3)自己破産とは

    自己破産とは、裁判所が免責(借金を支払わなければならない責任を免れること)を許可することで、債務者が抱える債務(借金)をゼロにすることができる手続きです。

    自己破産における最大のメリットは、税金など一部の債務を除いたすべての債務がゼロになることです。つまり、それまで抱えてきた奨学金の残債務だけでなく、他にも借り入れをしている場合にはその借り入れ分についても免責され、支払う必要がなくなります。

    自己破産のデメリットは複数あります。まずひとつめは、不動産などの財産があればそれはすべて手放さなければならないことです。ただし、冷蔵庫や洗濯機、テレビなどの最低限の生活を送るための家電は手元に残しておくことができます。また、裁判所を通じた手続きとなるため、官報にも自己破産をした事実が公告されます。さらには、一部の職業に就くことが制限されるため、現在の仕事によっては転職を余儀なくされる可能性があるでしょう。

4、債務整理を弁護士に相談すべき理由

債務整理は、いずれも借金の負担を軽減し、新たな一歩を踏み出すための救済策という一面があります。個人で手続きすることもできますが、借金をしている側がお金を貸している側に交渉する必要があるなど、精神的にも難しい面が多々あるのではないでしょうか。

そこで、債務整理を検討しているのであれば、弁護士に依頼することをおすすめします。まず、弁護士であれば、裁判所や債権者に提出する書類の作成から交渉まで、実際の借金額に関係なく対応が可能です。

さらには、弁護士が依頼を受けた時点で、債権者からの督促や取り立てがストップする点も大きなメリットでしょう。借金を抱えている際における最大ともいえるストレスから解放されるはずです。

弁護士に依頼すれば、あなたは新たな生活に向けた準備を進めることに注力できます。また、どの債務整理方法が良いのかわからないときは、ひとりで悩まず相談してください。あなたが抱えている状況や将来の夢なども加味した対応策をアドバイスできます。

5、まとめ

奨学金を借りて学校に通ったものの、社会人になっても思うような収入が得られず返済できなくなってしまうケースは少なくありません。また、生活自体が不安定になり、奨学金の他にも複数の借り入れをしてしまい八方ふさがりになってしまうこともあります。

どのような対策をとるのが最適なのか、ひとりで考えるのではなく弁護士に相談してみることで早期の解決が図れることでしょう。奨学金の返済でお困りならば、ベリーベスト法律事務所・岡山オフィスにご相談ください。岡山オフィスの弁護士が、借金問題の解決を全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています