大麻栽培は犯罪になる? 刑罰や量刑判断のポイント、逮捕後の流れとは?
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令和3年2月、岡山県警は営利目的で大麻を栽培・所持した男性を大麻取締法違反などの疑いで検察官送致しました。
大麻の栽培は設備さえそろえれば室内でもできることから、安易な気持ちで栽培に手を出す方もいるかもしれません。しかし、気軽な気持ちで大麻を栽培すると重い罪に問われる可能性があります。
今回は、自宅で大麻を栽培していることが発覚して警察に逮捕されるとどのような罪に問われるのか、逮捕後はどのような手続で事件が進むのかなど、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスの弁護士が解説します。
1、大麻を栽培するとどのような罪に問われるのか
大麻の栽培は、都道府県知事の免許を受けた大麻取扱者・大麻研究者が栽培する場合を除いて、原則禁止されています。
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(1)大麻取締法の違反になる
大麻取扱者・大麻研究者として免許を受けていない者が大麻を栽培した場合は「大麻取締法」違反の罪に問われます。
大麻とは、大麻草およびその製品のことを指しますが、次のものは大麻取締法では規制されていません。- 大麻草の成熟した茎
- 成熟した茎を使用した製品(樹脂をのぞく)
- 大麻草の種子
- 種子を使用した製品
これらは大麻に含まれるテトラヒドロカンナビノール(THC)という有害成分の含有量がごく少量であるため規制の対象外となっています。ただし、成熟した茎であってもこれを凝縮させた樹脂には有害成分が大量に含まれるため、規制の対象になっています。
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(2)栽培の罰則
大麻を栽培した場合、大麻取締法第24条の規定によって7年以下の懲役に処されます。
罰金刑の規定はないので、有罪判決が下された場合は確実に懲役刑を受けてしまうという点は心得ておくべきでしょう。
2、栽培した大麻を密輸・売買すると重罪になる
大麻取締法は、栽培だけでなくほかの取り扱い行為も禁止しています。
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(1)輸出入も栽培と同じく処罰される
大麻取締法第4条1項は、大麻の輸出入を禁じています。
輸出入は、栽培のように「大麻取扱者・大麻研究者を除く」のではなく、誰であっても等しく禁じられている行為です。
例外的に、大麻研究者が厚生労働大臣の許可を受けて輸出入をする場合は認められますが、一般論として許可を得られることはまずありません。
たとえ大麻の栽培が成功しても、所持さえもが違法である以上は販売ルートを確保するのは困難です。「海外には大麻を合法としている国もある」という情報を安易にとらえて輸出入してしまうと、処罰の対象になるという点には注意が必要です。
大麻を輸出入した場合も、栽培と同じく7年以下の懲役が科せられます。 -
(2)営利目的であれば罪が重くなる
栽培・輸出入が営利目的であれば、刑罰が重くなります。
非営利の目的であれば栽培・輸出入ともに7年以下の懲役ですが、営利目的であれば10年以下の懲役が科せられ、さらに300万円以下の罰金も併科されることがあります。
栽培や輸入は個人的な使用を目的とすることがありますが、輸出はそもそも営利を目的とするものです。販売ルートが確保できないからといって海外に輸出してしまうと重罪に処されてしまうと心得ておきましょう。 -
(3)「使用」は罪にならない
違法薬物のうち、覚せい剤や薬事法に違反する危険ドラッグは身体に使用することが禁止されています。ところが、大麻は使用を禁じられていません。
実は、大麻は自然に自生している植物です。また、天然繊維のために大麻草を栽培している農家もいるので、違法な取り扱いをしていなくても大麻成分を体内に保有してしまう可能性があります。
大麻は、使用すれば幻覚症状などの異常を引き起こし、中毒も起こす危険なものですが「違法な使用によって体内に大麻成分を保有している」ことを証明できないため、使用は罰せられません。
ただし、使用が許可されているわけではなく、しかも使用の前提には違法行為となる「所持」が存在するため、誤解のないようにしましょう。
3、大麻取締法違反の量刑に影響するポイント
大麻取締法に違反して大麻を栽培した場合、非営利目的で7年以下の懲役、営利目的で10年以下の懲役と情状によって300万円以下の罰金が併科されます。
では、実際に大麻取締法違反で有罪となった場合、どのような点が量刑に影響するのでしょうか?
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(1)営利目的であるか
大麻栽培が営利目的である場合、大麻取締法の規定によって重い刑罰が科せられます。
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(2)犯行の規模
栽培していた大麻の量、栽培の規模、これまでに栽培・販売・輸出してきた量など、犯行の規模が大きければ、悪質性が高いと判断され、量刑が重くなるおそれがあります。
反対に、自宅で少量を栽培し、さらに非営利目的であるなどの状況があれば犯行の悪質性は低いと判断されやすいでしょう。 -
(3)初犯であるか
過去に大麻栽培などの薬物事犯で刑罰を受けたり、起訴猶予処分になったりしたことのない「初犯」であれば、再犯のおそれや常習性がないと判断されて量刑が軽くなりやすくなります。
一方で、過去にも大麻栽培や違法薬物の使用・所持などの事件を起こした経歴があれば「再犯のおそれが高い」と判断され、量刑は重く傾くでしょう。 -
(4)反省しているか
大麻栽培で検挙された本人が反省をし、真摯(しんし)に取り調べに応じるなどの姿勢があれば、量刑が軽くなることが期待できるでしょう。
明らかな証拠があるにもかかわらず栽培の事実を否認する、知らなかったはずのない状況であるにもかかわらず大麻だとは知らなかったと故意を否認するなどの対応を取っていると「反省していない」と評価されやすくなります。
4、大麻取締法違反で逮捕されたときの刑事手続の流れ
大麻取締法違反で逮捕された場合、どのような刑事手続を受けることになるのでしょうか?
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(1)逮捕
捜査機関や自治体への通報・情報提供、大麻所持で検挙された犯人への取り調べ・捜査などによって栽培が発覚します。
警察は、裁判所から発付をうけた逮捕状に基づいて被疑者を逮捕します。逮捕には大きく分けて逮捕状に基づく通常逮捕と犯行のその場で逮捕する現行犯逮捕がありますが、大麻栽培事件では通常逮捕が一般的でしょう。
逮捕されると、警察署の留置場で身柄が拘束され、警察官による取り調べを受けることになります。逮捕された時点から行動の自由が制限されるため、外出することも、外部と連絡をとることもできません。
逮捕から48時間以内に検察庁へと身柄が送致されますが、この期間はたとえ家族であっても面会することはできません。 -
(2)勾留
警察官から身柄の送致を受けた検察官は、24時間以内に起訴・不起訴を判断します。ただし、この段階までの捜査では複雑な事件の全容が解明できていないため、起訴・不起訴が判断できません。
そこで検察官は、裁判官に対して身柄拘束の延長を求めて「勾留」を請求します。
勾留が認められると、原則10日間、延長を含めて最長20日間にわたって身柄拘束が継続されるため、逮捕された被疑者にとってはつらい時間となるでしょう。
勾留が決定されると、被疑者の身柄は警察に戻されて、警察による取り調べ・捜査が続きます。
ここからは家族との面会も可能になりますが、薬物事犯では共犯者など外部との連絡を絶つために面会を認めない「接見禁止」が下されるケースが多いでしょう。
本人の状況を知るためには、接見禁止であっても自由な面会が認められている弁護士のサポートが必須です。 -
(3)起訴
勾留が満期を迎える日までに、検察官は再び起訴・不起訴を判断します。
捜査の結果、被疑者の罪を刑事裁判によって問うべきと判断されてしまえば、検察官は裁判所に被疑者を起訴します。
起訴された被疑者は、立場が「被告人」となってさらに勾留を受けます。
不起訴と判断された場合、その時点で事件が終結して釈放されます。ただし、大麻栽培事件は証拠が明らかであることが多く、高い確率で起訴されてしまいます。不起訴を勝ち取るには、深く反省し、再犯のおそれがないとして起訴猶予を目指すのが賢明でしょう。 -
(4)裁判
刑事裁判では、検察官が提出した証拠を裁判官が審理します。
有罪となることが避けられない場合は、刑務所への収容を避けるためにも「執行猶予」を目指すのが得策です。ただし、執行猶予は5年以下の懲役にのみ付することができます。栽培で7年以下、営利目的の栽培で10年以下の懲役が科せられる大麻栽培事件は、執行猶予が付される期待は薄いでしょう。
執行猶予を獲得するには、法定刑のなかでも軽い量刑となるためのはたらきかけが必須です。被告人にとって有利な証拠や状況をそろえる必要があるので、やはり弁護士のサポートは欠かせません。
5、まとめ
大麻栽培は、7年以下の懲役刑が科せられる重罪です。そればかりか、被疑者として逮捕されてしまえば長期間に亘る身柄拘束で職場や学校を追われてしまう可能性があり、実名報道を受けて近隣住民の目も厳しくなるでしょう。
大麻栽培事件では、被害者がいないので示談ができません。反省を示して再犯のおそれがないことを主張するほか、悪質性があると判断されないように真摯(しんし)な姿勢で取り調べに応じる必要があります。信頼できる弁護士に相談して、アドバイスを受けるべきでしょう。
大麻栽培が発覚して逮捕されるかもしれないとお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスまでご相談ください。大麻栽培事件をはじめとした刑事事件の弁護実績が豊富な弁護士が、不起訴・執行猶予の獲得を目指して全力でサポートします。
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