前科つくの? 身内が逮捕されたとき家族ができること
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「逮捕」は突然やってきます。突然家族が逮捕された場合、残された家族の受けるショックは大変なものです。 「何をしたらいいのかわからず何も手につかない」 「どうして? という気持ちだけで頭がいっぱいになり、何一つ行動を起こすことができない」 「何かをしなければいけないことはわかるが、悪い夢を見ているようで現実に戻ってこられない」 このような状態に陥るのは、ある意味では当然のことです。 しかし、「逮捕」に至ったからといって、それで必ず「前科持ち」になるわけではありません。 逮捕後にどのような行動をとるかによって、前科がつかずに釈放されることもあります。 そして、釈放されるためには、弁護士の力が必用です。 逮捕後の流れと、釈放までのポイントについて見ていきましょう。
1、逮捕について
私たちが「逮捕」と言っているものは、実際には3つの種類に分けられています。
1つ目は、「通常逮捕」と呼ばれるものです。
これは、「事件が起こったのち、捜査を進め、被疑者(その犯罪行為を行ったと疑われる者。)が確認され、被疑者を捕まえるための逮捕状が発付されたのちに行う逮捕」を言います。
つまり、裁判所から発付される逮捕状に基づいて行われる逮捕を通常逮捕と言います。
2つ目は、多くの人が聞いたことがあると思いますが「現行犯逮捕」というものがあります。
これは、「目の前で犯罪行為が起きた場合、逮捕状がなしに行うことができる逮捕」を言います。警察官だけではなく、一般の人も逮捕を行える点が特徴的です。
わかりやすい例で言えば、「目の前で万引きしている人を、店員が捕まえた」「痴漢行為を働いている人間を、周囲の人が取り押さえた」などのようなケースが考えられます。
最後は、「緊急逮捕」です。
これは、一定の重大な罪を犯したと疑われる充分な理由がある場合で、かつ緊急を要する場合に行われる逮捕です。
緊急逮捕の場合は、逮捕時には逮捕状は必要ありませんが、逮捕後に逮捕状を発付してもらうことが必要になります(逮捕状が発付されない場合は釈放となります)。
2、逮捕されたらどうなるの? その後の流れについて
では、逮捕された場合、その後はどうなるのでしょうか。
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(1)逮捕
まず、警察に逮捕された場合、警察は逮捕時から48時間以内に検察官に送致するか釈放するかを決めなければなりません。
ここで、警察と検察は、捜査機関ということから、しばしば混同して語られてしまうことがあります。警察にできるのは、あくまで「捜査と逮捕」まであり、その後の勾留請求や起訴にするか不起訴にするかを決める権限は、検察官のみが有しています。つまり、警察は「起訴」を行うことはできません。
検察官は、警察から被疑者を受け取ってから24時間以内に、勾留請求するか釈放するのかを決めなければなりません。また、この時間制限については、逮捕時から72時間という制限もあります。逮捕は最長3日間と言われるのは、このためです。
この逮捕されている72時間のうちに、被疑者との面会が許されるのは、基本的には弁護士だけです。たとえ家族であったとしても、面会することは許されないことが多いです。そのため、状況の把握なども含めて、この段階で弁護士に相談することを強くおすすめします。 -
(2)勾留
逮捕中に釈放されない場合は、「勾留」の手続きに入ります。勾留の期間は、原則10日間であり、やむを得ない理由がある場合には、最長で10日間勾留を延長されることがあります。つまり、最初の逮捕の3日間(72時間)とあわせて、最長23日間拘束される可能性があります。
勾留期間が長期になってしまうと、会社や周囲の人に事件が発覚してしまう可能性が高まります。
会社勤めの人や学校に通っている人の場合、「なぜ会社を休むのか」「なぜ学校をこれほど長く休むのか」の説明が当然に求められるからです。
この勾留期間中に、検察官は、被疑者を起訴するか不起訴にするかを決めます。
一方、一度起訴に至ってしまえば、そのうちの99パーセントは有罪となります。つまり、「前科がつく」ということです。
勾留されている10日間(最長で20日間)は、不起訴にするために動ける最後の期間です。依頼された弁護士はこの期間中に、示談等の弁護活動に尽力します。
3、早期釈放のメリットと、釈放される例
「起訴に至らせないための努力」を行うことはもちろん大切ですが、同時に、「早期に釈放されるように働きかけること」も非常に重要です。
勾留期間が20日間に及んだ場合、多くのケースで、周囲や会社に事件のことが知れ渡ってしまいます。家族(特に保護者や配偶者)は会社側や学校側から事情の説明を求められますし、事件を隠したまま23日間を過ごすことは難しいでしょう。
しかし、早期に釈放されたのならば、「体調が悪くて」などの理由で会社や学校に説明を行うことができます。さらに、早期釈放に至ることで、家族に対する悪影響も少なくて済むでしょう。
早期に釈放される例としては、以下のようなものがあります。
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(1)軽微な犯罪であると判断された場合
軽微な犯罪の場合には、逮捕後に検察官が勾留請求を行わずに釈放される場合があります。
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(2)勾留されなかった場合
検察官の勾留の請求に対して、裁判官がこの請求を認めなかった場合にも釈放されます。また、裁判官が勾留決定を行った場合であっても、その決定に対する異議の申立てが認められた場合には釈放されます。この異議の申立てを行うには弁護士の力が必要になります。
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(3)不起訴になった場合
検察官が最終的に不起訴処分とした場合にも、釈放されることになります。
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(4)起訴後に保釈が認められた場合
起訴された場合には、保釈請求を行うことができます。裁判所から保釈が許可され、保釈保証金を裁判所に納めれば釈放されます。
4、早期釈放を実現するために
早期釈放を実現するためにまず必要なことは、「早急に弁護士に相談すること」です。
これまで述べてきましたように、身柄拘束には法律上厳格な制限時間が設けられていますので、スピード勝負になります。できる限り素早く弁護士に相談し、適切な弁護活動を行うことが、早期の身柄釈放および不起訴処分の獲得に向けては重要になります。
「動揺していて、72時間の間には動けずに勾留されてしまった」という場合でも、できることはまだまだ沢山あります。家族が逮捕されたと聞いた場合、多くの人が取り乱し、動揺してしまいますが、家族を「前科者」にしないためにも、まずは弁護士にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています