盗品と知らずに転売したら捕まる? 知っておきたい法律知識
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最近はオークションサイトや中古品買い取り店など、さまざまな場所で中古品の売買が行われています。中古品を売ったり、買ったりした経験がある岡山在住の方は多いのではないでしょうか。近隣だけでなく、全国各地にお住まいの方と気軽に売買ができる、非常に便利な時代になりました。広がるマーケットを利用して、転売ビジネスをしている人も多くなっています。
しかし、何でも自由に売買してよいというわけではありません。法律で規制されているものを売買したり、盗品を売買してしまったりなど、知らないうちに法律違反をしてしまうこともあるのです。場合によっては警察から呼び出しを受けたり、捕まってしまったりする可能性も考えられます。
そこで今回は、「転売をするときに知っておきたい法律知識」や「盗品を転売してしまった場合はどんな罪になるか」などについて、岡山オフィスの弁護士が紹介します。
1、違法となる転売行為とは?
人気アイドルのコンサートチケットを高額に転売して、書類送検されるようなニュースをみたことがあるでしょう。チケットなどについては、自分で購入することや、自分の所有している商品やチケットなどをフリマアプリやオークションサイト、中古品買い取り店などで定価、もしくは定価以下で譲るという行為自体には、もちろん違法性はありません。
しかし、事業とみなされるほど利益を得ていると、違法性があるとして処罰される可能性があります。また、次のような行為も場合によっては罪に問われる可能性があります。
- 中古品を購入して転売する
- 麻薬や違法コピー品など法律で禁止されているものを販売、転売する
- 大量購入したチケットを高値で転売する
- 購入したチケットを会場前などで声をかけて高値で転売する(ダフ屋行為)
2、ダフ屋行為はなぜ取り締まりを受けるのか
転売屋の一種とも考えられるダフ屋行為は、各都道府県の迷惑行為防止条例で禁止されています。迷惑行為防止条例は、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、もって住民生活の平穏を保持することを目的とする条例の総称です。
岡山県にも岡山県迷惑行為防止条例の第9条にはダフ屋行為の禁止について定めています。もし、ダフ屋行為をしてしまった場合は、50万円以下の罰金に処せられ、常習としてしていた場合は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。
さらには、通称チケット不正転売禁止法(特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律)が令和元年6月14日より施行されています。たとえダフ屋のように特定の場所で販売行為をせず、インターネット上などを通じて特定興行のチケットを不正に転売したり、不正転売を目的に譲り受けたりすると罪に問われることになります。
チケット不正転売禁止法違反として警察に捕まると、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはこれらを併科される可能性があるでしょう。
3、古物営業法違反とは?
古物営業法は、盗品の売買や換金を未然に防止し、速やかに発見することを目的として制定されている法律です。「古物(こぶつ)」といえば、古い絵画や骨董(こっとう)品などをイメージするかもしれませんが、古物営業法では古物について、次のように定義しています。
- 一度使用された物品(中古品)
- 使用されない物品で使用のために取引されたもの(新古品)
- 中古品や新古品に幾分の手入れをしたもの
したがって、洋服やパソコン、DVD、本・漫画、車、電化製品、アクセサリーなどの中古品や新古品も古物に該当することを知っておく必要があるでしょう。
自分の洋服をオークションで売ることや、中古品店で中古の電化製品などを購入する場合は、古物商の許可は必要ありません。しかし、古物商の許可を取得しないまま、稼ぐことを目的に古物を購入し、転売する行為を繰り返す場合は、古物営業法違反に該当する可能性があるでしょう。
もし、転売目的で中古品などを購入して、インターネット上などで販売するいわゆる「せどり」などの転売ビジネスを行いたいのであれば、古物商の許可の取得が必要です。もし、古物商の許可が必要であるにもかかわらず、無許可で営業した場合は、3年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。
4、盗品の転売はどのような罪になる?
もし、知人などから転売を依頼されたものが盗品だった場合は、どのような罪に問われることになるのか、ご存じでしょうか。
盗品を転売する行為は犯罪です。具体的には、刑法第256条に規定されている「盗品譲受等罪」として罰せられる可能性があります。
具体的には、次の5つの行為が処罰の対象となります。
- 盗品を無償で譲り受ける「無償譲受」
- 盗品を移動させる「運搬」
- 盗品を占有し管理する「保管」
- 盗品を有償で譲り受ける「有償譲受」
- 盗品の売買などに関与する「有償譲受あっせん」
前述した、盗品と知りつつ転売する行為は、「有償譲受あっせん」にあたり得ます。ただし、盗品とは知らなかった場合は、処罰の対象にはなりません。
5、盗品譲受等罪の罰則は?
盗品譲受等罪として罪に問われて有罪になると、「無償譲受」の場合は3年以下の懲役が科されます。さらに、「有償譲受あっせん」などその他の行為で罪に問われて有罪になったときは、10年以下の懲役および50万円以下の罰金が科されることになるでしょう。
盗品譲受等罪の罰則は、詐欺罪(10年以下の懲役)や窃盗罪(10年以下の懲役または50万円以下の罰金)よりも重い、という事実を知っておく必要があります。
もちろんこれには、理由があります。運搬や保管、転売などの行為は、被害者が盗品を取り戻すことを困難にする行為です。さらには、窃盗や詐欺、強盗などの犯罪を助長してしまう行為であるためです。
6、転売トラブルに巻き込まれたときには弁護士に相談を
自分が行った転売行為が、違法行為に該当するかどうか不安なときは、弁護士に相談することをおすすめします。刑事事件の豊富な解決数を誇る弁護士なら、適切なアドバイスを受けられます。
もし違反行為に該当して逮捕された場合でも、依頼を受けた弁護士は、警察・検察や被害者と交渉して早期の身柄釈放や不起訴処分を得られるよう、適切な対応を行います。刑事事件は初期対応が大切です。場合によっては、逮捕から起訴か不起訴かが決まるまでの間だけでも、最長23日も帰宅できない事態に陥ることがあり得ます。その後の社会生活に大きな影響を与えてしまう可能性は非常に高いでしょう。
盗品譲受等罪や古物営業法違反、迷惑行為防止条例違反に問われている、捕まる可能性があるのではないかとお悩みであれば、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。
7、まとめ
今回は、刑法や古物営業法、迷惑行為防止条例などで処罰される可能性のある転売行為や罰則についてご紹介しました。アプリやサイトなどを通じて、簡単に誰でも転売できるようになりました。しかし、盗品を転売したり、古物商の許可が必要な行為をしていたりするなど、知らないうちに犯罪行為に手を染めてしまっている可能性がありえます。
違法な転売に心あたりや不安があるなら、弁護士に相談してください。盗品譲受等罪や古物営業法違反など転売に関するトラブルに巻き込まれ、捕まりそうであれば急いだほうがよいでしょう。まずは、ベリーベスト法律事務所で相談してください。岡山オフィスの弁護士が、重すぎる罪に問われないよう、最適なアドバイスとサポートを行います。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています