児童買春・児童へのわいせつ行為で逮捕されるとどのような罪に問われる?

2019年03月25日
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児童買春・児童へのわいせつ行為で逮捕されるとどのような罪に問われる?

岡山市で2018年1月、児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで会社員の男が逮捕されました。男は、コミュニティーサイトにて知り合った17歳の女子高生に現金を渡してみだらな行為をした疑いがもたれていると報道されています。

このように、18歳未満に対する買春は児童買春・児童ポルノ禁止法違反として検挙されます。しかし、現金を渡していなくても、また18歳未満であることを知らなかったとしても、罪に問われる可能性があることはご存じでしょうか。

また、平成29年7月13日より、性犯罪を厳罰化した改正刑法が施行されました。18歳未満の相手にわいせつな行為をした場合、どのような罪に問われる可能性があるのか、岡山オフィスの弁護士が解説します。

1、児童買春で問われる罪とは

法律上「児童」とは、18歳未満の者のことを指します。

児童買春など、未成年者に対するわいせつ行為に関わる罪は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」、通称「児童買春・児童ポルノ禁止法」で定められています。性的搾取・性的虐待から未成年者を保護する目的で1999年に制定されました。

他にも、児童と関わった状況や内容によって、他の条令や法律で罪に問われる可能性がありえます。

  1. (1)児童買春罪(児童買春・児童ポルノ禁止法)

    児童または児童の保護者・支配者・周旋者などに対して対価を支払い、児童と性行為などをした場合に該当します。

    有罪となれば「5年以下の懲役」または「300万円以下の罰金」に処されます。

    また児童買春の周旋や勧誘についても処罰されます。児童買春の周旋をした者は「5年以下の懲役」もしくは「500万円以下の罰金」、さらにこれを業とした者は「7年以下の懲役」および「1000万円以下の罰金」に処すると定められています。

  2. (2)児童ポルノ提供・製造罪(児童買春・児童ポルノ禁止法)

    児童買春・児童ポルノ禁止法7条において、児童ポルノとは、「衣服の全部または一部を着けない児童の姿態であって、ことさらに児童の性的な部位(性器等もしくはその周辺部、でん部または胸部)が露出または強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ、または刺激するもの」と定義されています。

    これらの児童ポルノを撮影・録画した、またはそれを他者に提供した場合に該当し、「3年以下の懲役」または「300万円以下の罰金」に処せられます。また、児童ポルノを不特定多数の者に提供し、公然と陳列した者、もしくはこの目的で製造した者は「5年以下の懲役」もしくは「500万円以下の罰金」に処せられます。

    児童ポルノがインターネット上などに掲載し広まった場合、あとからそれらを完全に削除することは難しく、被写体となった児童の人権を著しく損ないます。より重い量刑が科せられるのも当然といえるでしょう。

  3. (3)児童ポルノ所持罪(児童買春・児童ポルノ禁止法)

    児童買春や盗撮などをしていなくても、自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノ画像を所持していたら、児童ポルノ所持罪に問われる可能性があります。

    有罪となれば「1年以下の懲役」または「100万円以下の罰金」に処されます。

    児童にわいせつな画像を自分で撮影させて、その画像を送らせて所持していた場合も、当然ながら児童ポルノ所持罪に問われます。

  4. (4)岡山県青少年健全育成条例違反

    また、都道府県で制定されている青少年健全育成条例においても、児童買春に関連する定めがあります。岡山県青少年健全育成条例では、第20条第1項に、「何人も、青少年に対し淫行またはわいせつ行為をしてはならない」と規定され、罰則規定として「2年以下の懲役」または「100万円以下の罰金」が定められています(同条令第35条第1項)。また青少年に対する淫行、わいせつ行為などの勧誘も禁じられています。違反すると、「1年以下の懲役」または「50万円以下の罰金」に処されます。

    第20条第2項では、青少年にわいせつ行為を見せることも禁じています。児童買春について未遂で罰せられることはありませんが、このために家出をそそのかしている場合にはこの行為について条例で罰せられることがあるでしょう。条例において、「非行助長行為の禁止」としてまとめられています。

  5. (5)強制わいせつ罪・強制性交等罪(刑法)

    強制わいせつ罪(刑法176条)は、暴行または脅迫を用いてわいせつ行為をしたときに問われる罪で、「6か月以上10年以下の懲役」に処されます。

    強制性交等罪(刑法177条)は、平成29年の改正前は「強姦(ごうかん)罪」と呼ばれていたものです。同じく暴行や脅迫を用いて性交を行った場合に該当し「5年以上の有期懲役」に処されます。今回の改正により、被害者に男性も認められることとなりました。

    13歳未満の者に対してわいせつな行為および性交をした場合には、合意があっても、暴行や脅迫がなくとも、これらの罪に問われます。罰金刑はなく、有罪で執行猶予がつかなければ、即収監される非常に重い罪となっています。また、未遂でも罪に問われます。

2、相手が18歳未満と知らなかった場合

よく問題になるのが、買春の相手が18歳未満だと知らなかったケースです。 児童買春罪は、対償の約束をしたときと、性行為に及んだときを通じて相手が18歳未満であることを知っていながら行った場合にのみ成立します。したがって、相手が18歳未満と知らなかった場合は、基本的には児童買春罪は成立しません。

この場合、相手が18歳以上と判断したことが、社会通念上一定の合理性があると理解してもらえるような根拠を説明しなくてはなりません。この判断には、児童の外見、ふるまい、知り合った経緯なども関係してきます。例えば児童が自らを18歳未満ではないと偽っていた、成人相当の見た目やふるまいをしていたことなどを客観的な証拠とともに提示する必要があるでしょう。

ただし、「18歳未満かどうか知らなくても、それでもかまわない」と考えていたのであれば「未必の故意」とされ、処罰されます。

また、岡山県青少年健全育成条例では、第35条第7項で「当該青少年の年令を知らないことを理由として、第1項から第5項までの規定による処罰を免れることができない」と規定されています。したがって、18歳未満ではなかったことを知らなかったとしても、条例違反に該当する場合、処罰されることがあります。本人から偽造した身分証明書を見せられたなど、明らかに過失がなかったことを証明する必要があります。

3、児童買春を解決するには

児童買春をしてしまった場合や、児童買春の嫌疑がかけられたならば、すぐに弁護士に依頼しましょう。

特に逮捕にいたった場合は、逮捕後72時間以内の対応いかんで、留置場に長期間身柄を拘束されるかどうかが変わるためです。長期にわたる拘束を受け、有罪となったときは、その後の人生を大きく左右することもあります。重すぎる刑罰が科されないためにも、まずは弁護士に状況を相談し、取るべき対応を見極めることが重要です。

  1. (1)警察が認知する前であれば、自首も検討する

    「自首」とは、自ら捜査機関に対し罪を犯した事実を報告することを指します。しかし、自首が成立するのは「犯罪が発覚する前」、そして「犯人がまだ判明していない」時点に限られます。

    自首により「反省しており、逃亡や証拠隠滅のおそれがない」と判断されれば、逮捕や長期勾留を免れる可能性があります。また、起訴にいたった場合も、情状酌量や量刑軽減の判断材料となるかもしれません。

    状況を包み隠さず弁護士に話し、自首すべきかどうか相談してみましょう。出頭やその後の取り調べが不安な場合は、弁護士に付き添いを依頼することもできます。

  2. (2)早期釈放のために、反省の証拠を提出する

    逮捕にいたった場合は、すぐに弁護士に依頼しましょう。逮捕後48時間以内は警察で、その後検察に送致され、さらに24時間以内の取り調べを受けます。その後も身柄拘束を続けての取り調べが必要と判断されると、検察から裁判所に対し「勾留(こうりゅう)請求」がなされます。

    これが認められると、最長で逮捕から23日間も警察署や拘置所に身柄を拘束され、家に帰ることも仕事に行くこともできません。仕事や生活に大きな影響が出ることは避けられないでしょう。

    裁判所が勾留を認めるかどうかの判断は「証拠隠滅のおそれがあるか」が大きく左右します。性犯罪の場合、常習性があるかどうかも非常に重視されるため、携帯や自宅PCの捜索などを行います。弁護士は、被疑者の身元引受人がはっきりしていることや、隠し立てせず捜査に協力し、反省していることを伝える反省文を作成し、早期釈放へサポートします。

    弁護士を通じて勾留が不要であることを証明する書面などを提出することにより、裁判所が「逃亡や証拠隠滅のおそれなし」と判断し、早期に自宅に帰ることができるかもしれません。

  3. (3)罪を認めるなら、示談交渉を試みる

    「示談」とは、当事者同士で話し合い、加害者が謝罪と賠償をする代わりに、被害者は加害者に対する処罰を求めないという約束を取り交わすことを指します。

    刑事事件では、示談を成立させられるかどうかがその後の進展に大きく影響します。捜査機関において、起訴・不起訴の判断、執行猶予の有無、量刑、それぞれの判断において被害者の処罰感情は大きく考慮されるためです。また示談交渉は、冷静に行うためにも第三者である弁護士を介することが必須といえるでしょう。

    しかし示談が成立しないケースもあります。特に児童買春事件では、多くの場合、交渉相手が被害者の保護者となります。治療費などを含めた賠償金を受け取ったとしても自分の子どもに対する性犯罪で「処罰を望まない」ケースは少ないのが現実です。

    示談不成立の場合でも、示談を目指して謝罪と賠償の交渉を行った事実は、量刑や保釈などの判断で考慮されるため、無駄にはなりません。

    もし示談が不可能であれば、贖罪(しょくざい)寄付するという選択肢もあります。これは反省の意を込めて犯罪被害者支援などの公益団体に寄付をするものです。同様に情状酌量の判断材料となりえます。

4、まとめ

法律における児童とは18歳未満のことであり、児童買春の成立には被害者が18歳未満であったことを認識している必要があります。児童買春の罪に問われ、もし相手が18歳未満ではないと思っていたのであれば、刑事事件の経験豊富な弁護士に依頼して、その主張を確かなものとしたほうがよいでしょう。

刑事事件は、供述の仕方、証拠の積み重ねが非常に重要です。不必要な刑罰や身柄拘束を受けることのないよう、早期から弁護士の支援を受けることを強くおすすめします。

特に示談交渉は、第三者である弁護士の仲立ちが必須といえます。まずは早期釈放を目指し、万が一裁判となった場合でも、弁護士が早期から関わっていればスムーズなサポートを行えます。

わいせつ行為、買春行為の対応にお悩みの方は、今すぐにベリーベスト法律事務所 岡山オフィスまでご相談ください。刑事事件の経験豊富な弁護士が、最善策を提案します。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています