夫や未成年の息子が公然わいせつ罪で逮捕!? 家族ができることとは?
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令和3年版の警察白書によると、令和2年に公然わいせつで検挙された人数は1379人で件数は1784件に上り、依然としてわいせつ事犯はなくなっていません。
もしも配偶者や子どもが突如、公然わいせつ罪で逮捕された場合、残された家族としては、どうすればいいのかわからず、慌ててしまうことでしょう。
本記事では、逮捕後の流れについてご紹介した後、公然わいせつとはそもそもどのような行為をいうのか、子どもが未成年の場合はどのような扱いになるのかなどについて、家族ができる手助けとともに、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスの弁護士が解説します。
1、公然わいせつ罪で逮捕された場合の流れ
逮捕とは、犯罪を起こしたことを疑われた「被疑者(ひぎしゃ)」が、捜査機関(警察など)によって身柄を拘束されることをいいます。公然わいせつ罪で逮捕されたケースでは、ほかの刑事事件と同じ経過をたどります。つまり、途中で釈放されない限り、「勾留(こうりゅう)」、「起訴(きそ)」、「裁判」まで身柄を拘束され続けることになるのです。
まずは、あなたの大切な夫や息子が逮捕されてしまった場合、どのような段階を経ていくのかについて説明します。
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(1)逮捕後の取り調べ
被疑者を逮捕した警察は、公然わいせつ罪の容疑について取り調べを行いますが、警察で捜査を行い、被疑者を拘束できる期限は限られています。警察は、逮捕から48時間以内に、被疑者が本当に罪を犯したのか、公判を求める必要があるのかなどを決めなければならないのです。
つまり、最初の48時間は極めて大きな意味を持っています。しかし、たとえあなたが夫や息子が逮捕をされたという連絡を受けて、拘束されている警察署へかけつけても、本人と会うことはできません。本人の携帯電話やスマートフォンなども取り上げられているので、被疑者となった夫や息子と話をすることも難しいでしょう。取り調べ中は、弁護士しか自由に面会できないルールになっているためです。
弁護士による面会のことを法律用語で「接見」と呼びます。弁護士は、逮捕された本人に直接公然わいせつの事実を確認し、これから進められる捜査や取り調べにどう対処すればよいのかアドバイスをします。このほか、被害者との示談交渉を取り持ち、本人の主張を捜査機関や裁判所に伝え、正しい捜査が行われるようフォローします。事件の内容によっては、釈放を目指し、長期拘束を回避できるよう、交渉を行うことも弁護士の仕事のひとつです。 -
(2)勾留による取り調べ
警察がさらなる捜査や刑事裁判が必要だと判断すれば、検察へ、被疑者の身柄と事件を送致します。検察では、送致から24時間以内に、「釈放」か、このまま身柄を拘束する「勾留」を行って取り調べを続けるのかを決めます。そして、勾留が必要と判断したときは、裁判所へ「勾留請求」を行い、引き続き被疑者の身柄を拘束し続けるための手続きを行います。
勾留が請求され、認められてしまうと、被疑者は最大20日間も警察・検察に身柄を拘束されてしまうことになります。逮捕後は「最大72時間拘束され、それまでが勝負」といわれるゆえんはこのためです。
勾留が決定したのちも、弁護士はさまざまな対応を行います。何より重要な仕事は、被疑者が罪を犯していない証拠を探して提出したり、被害者と示談の可能性がないか交渉を進めたりすることです。検察は勾留中に被疑者の起訴や処分を決めていきます。弁護士の活動次第で起訴が回避されたり、短期間で釈放されたりする場合もあるのです。 -
(3)起訴から裁判まで
起訴が決まってしまったら、「被疑者」と呼ばれていたあなたの夫や息子は「被告人」と呼ばれるようになります。ようやく裁判所に舞台が移り、裁判がスタートすることになるのですが、裁判にはそれなりの時間がかかります。事件内容や状況によっては、年単位の時間がかかることも珍しくありません。
保釈の手続きを行わない場合は、裁判の間も引き続き身柄を拘束され続けることになります。弁護士を依頼していれば、すみやかに保釈手続きを行うとともに、被告人が受ける刑罰が少しでも軽くなるように、本人の事情や環境、事件にまつわる情報をまとめて裁判所に提示します。検察により起訴が請求された事件で無罪を勝ち取れた事件は年1%程度のみと、大変険しい道です。しかし、刑罰が軽くなるかどうかは弁護士の力が大きくものをいいます。
ただし、公然わいせつ事件においては、たとえ起訴されても、裁判を行うのではなく書類手続きを通じて刑罰を決定する「略式命令(りゃくしきめいれい)」が請求されるケースが多いという現状があります。平成29年度に発表された犯罪白書によると、起訴された公然わいせつ事件のおよそ77%が略式命令請求となっています。略式命令を受けた場合は、引き続き拘束されることはありません。すぐに釈放され、日常生活を送りながら、検察や裁判所からの連絡を待つことになります。
2、夫や息子が公然わいせつ罪で逮捕された場合は何ができるか
前項のとおり、逮捕から裁判までの長い間、警察や検察、裁判所との間に入って本人が有利になるように働きかけるのが弁護士です。刑事事件を早期解決し、できるだけ前科を付けないように対処し、いち早く平穏な日常を取り戻すためには、弁護士の存在が欠かせないといえるかもしれません。
では、家族だけで対応できることはないのでしょうか? 家族ができるサポートもありますが、基本的には直接的なアプローチができる機会がほとんどないといってよいでしょう。しかしながら、どのような罪でどのような刑罰が与えられ、その後の社会生活にどれだけ影響を及ぼすものなのかは、知っておかなければサポートすらできません。ぜひ、あらかじめ知っておいてください。
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(1)公然わいせつとは
公然わいせつ罪とは、「公然とわいせつな行為」を行うことにより成立する犯罪のひとつです。刑法第174条で罰則が定められていて、裁判で有罪が確定すると「6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」が課せられる犯罪です。
具体的に、次のような行為が「公然わいせつ罪」に問われることになります。- 公園や路上で全裸になる、局部を露出する
- 公共の駐車場などに停車した自家用車の中で、自慰や性行為を行う
- 自宅内でも公道から見えることが明らかな場所で全裸になる
- 裸体や性行為などをインターネットでリアルタイム配信する
なお、岡山県内においては、平成29年に公然わいせつ罪があったと認知された事件数は20件、うち、警察による犯人の特定および逮捕などが行われた件数も20件と、検挙率100%の犯罪となっています。
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(2)未成年でも逮捕される可能性がある
未成年であっても公然わいせつ罪の容疑で逮捕されることがあります。実際に岡山県内でも、平成29年度には2名の少年が「公然わいせつ罪」の被疑者として検挙されています。
ただし、未成年は少年保護の観点から、成人が逮捕された場合とは手続きが異なります。被疑者が成年の場合は、刑罰を与えることを目的に起訴されることになりますが、未成年者の場合は、自身の反省を促し、更生の機会を与えることが最大の目的になるためです。
●被疑者が14歳未満の未成年のとき……「触法少年」と呼ばれ、刑事責任に問われないため逮捕もされません。ただし、事件や少年の状況を判断して児童相談所が身柄を保護する場合があります。
●被疑者が14歳以上……たとえ未成年であっても「犯罪少年」となり、公然わいせつ罪で成人と同じように逮捕、勾留されます。ただし、勾留場所は警察の留置施設などではなく、少年鑑別所に移送されることもあります。
また、未成年の裁判は、いずれの場合も家庭裁判所で少年審判として審理が進められることになります。 -
(3)家族ができる最大の手助け
夫や息子が逮捕されたとき、家族ができることは、被疑者が実際にどのような犯罪を起こしたのかを知り、それに基づき必要な行動をとることです。勾留以降であれば家族でも面会が可能となります。心の支えになることもできるでしょう。
しかし、逮捕されれば、勾留が決まるまでは最大3日、勾留で最大20日、合計で最大23日間もの長い日数、身柄を拘束される可能性があります。そのうえ、勾留が決まるまでの72時間は、弁護士しか本人と話をすることができません。
数日でも不安になるでしょうが、場合によっては拘束期間が1ヶ月や2ヶ月にも及ぶ可能性もあり、仕事や生活に大きな影響が出ることが予想されます。冷静な行動が、なるべく早く釈放されて帰宅するための糸口になります。
できるだけ早く弁護士に依頼することで、やったことを否定する、もしくは、やっていないことを認めてしまう……などによる、長期拘束や冤罪を防ぐことも可能です。 -
(4)釈放される3つのケース
夫や息子が逮捕や勾留をされても、次の3つのケースで釈放される可能性があります。弁護士に依頼することで、それぞれのタイミングに適した弁護活動を行い、釈放を目指すことになります。
- 逮捕後、勾留前の釈放
最大72時間以内の逮捕拘束の間に、勾留請求や決定が行われないよう捜査機関や裁判所に働きかけて、勾留を阻止します。 - 不起訴や略式罰金による釈放
逮捕から勾留されている間に被害者と示談がまとまると、不起訴処分となり釈放される可能性が高まります。また、罰金の納付と引き換えで事件が終了し、釈放されることもあります。 - 保釈による釈放
保釈金の納付と引き換えに釈放してもらう方法があります。保釈請求をして逃亡のおそれがないなどが認められた場合に限りますが、保釈金の納付後、数時間程度で釈放されます。
- 逮捕後、勾留前の釈放
3、まとめ
今回は、夫や未成年の息子が公然わいせつ罪で逮捕されたそのあと、どのような流れが待っていて、帰りを待つ家族として何ができるのかについて紹介しました。
刑事事件においてもっとも大切なことは、早期の釈放を目指すことです。特に、逮捕から勾留が決まってしまう最長72時間という短い間に、どのような手が打てるかによって、今後の生活に影響が及ばないように対処することも可能となります。万が一、勾留が決まっても、釈放に向けて働きかければ自宅に戻れる可能性があります。
ただし、逮捕から勾留決定までの間は、家族であろうと逮捕された本人と面会が禁じられてしまいます。事情を本人から直接聞くことも難しく、実際のところ、家族だけで対応することは難しいといえるでしょう。
しかし、逮捕から勾留の間も、依頼された弁護士であれば面会もできますし、家族の気持ちを伝えることや、取調べの対応についてのアドバイスもできます。刑事事件の対策は時間との勝負です。できるだけ早いタイミングで、刑事事件に対応した経験が豊富な弁護士に相談して、対応を依頼することをおすすめします。それこそが、家族ができる最高のサポートになるはずです。
大切な方が公然わいせつの疑いで逮捕されてしまったときは、岡山県岡山中央警察署や岡山県岡山西警察署ともアクセスが良い、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスまでご一報ください。岡山オフィスの弁護士が、迅速に、かつ親身になってアドバイスいたします。
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