盗撮で逮捕された旦那......。家族が知っておくべき逮捕後の流れ
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2018年4月、岡山県岡山市で、試着室にスマホを置いて盗撮したとして当時38歳のアパレル定員が逮捕される事件がありました。スマホで撮影しやすくなったこともあり、盗撮事件は身近な存在となっています。
もし、旦那が盗撮で逮捕されたときに何も対応をしないでいると、前科がついてしまい、会社を解雇されるなど社会生活の基盤を失い、取り返しのつかないことになってしまうかもしれません。そのようなとき、ご家族に何ができるでしょうか。
この記事では盗撮によって問われる罪や、逮捕された後の流れ、少しでも早く事件を解決する方法をベリーベスト法律事務所の弁護士監修の元、お伝えしていきます。
1、盗撮で問われる罪
盗撮によって問われる罪はいくつか考えられます。
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(1)迷惑防止条例違反
ひとつ目は、迷惑防止条例違反です。迷惑防止条例は都道府県ごとに制定されている条例です。内容については原則的には同じなのですが、地域特性によってわずかに異なる部分もあります。なお、盗撮については、岡山県における「迷惑行為防止条例」のなかでも、第3条第1項2号、第3条第2項、3項に定められた条文に違反したものとして、取り締まりの対象となります。
第3条「卑わいな行為の禁止」
第1項2号
衣服等で覆われている人の下着又は身体(次項において「下着等」という。)をのぞき見し、又は写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下この条において「写真機等」という。)を用いて撮影し、若しくは撮影する目的で写真機等を差し向け、若しくは設置すること。
第2項
何人も、正当な理由がないのに、衣服等を透かして見ることのできる写真機等を用いて、公共の場所にいる者又は公共の乗物に乗つている者の下着等の映像を見、又は撮影してはならない。
第3項
何人も、正当な理由がないのに、事務所、学校、病院、公衆浴場その他の多数の者が集まり、又は利用する施設のうち、人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所にいる者の姿態をのぞき見し、又は写真機等を用いて撮影し、若しくは撮影する目的で写真機等を差し向け、若しくは設置してはならない。
条文を読んでみるとわかる通り、盗撮は明らかに岡山県の迷惑行為防止条例違反です。盗撮行為が迷惑防止条例違反として有罪となったときの罰刑は、条文に以下のように記載されています。
第13条 第3条又は第4条の規定に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2 常習として前項に規定する違反行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
上記の通り、常習犯と認められた場合はより重い刑罰を受けることになります。 -
(2)軽犯罪法違反
ふたつ目は軽犯罪法違反です。第1条23項の「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」は、拘留又は科料に処すると記載されています。
つまり盗撮は、迷惑防止条例だけでなく、軽犯罪法違反として罪に問われる可能性があります。軽犯罪法違反の法定刑は「拘留又は科料」です。拘留とは、1日以上30日未満の期間、刑事施設に収監される処罰で、科料とは、刑法上もっとも軽い刑罰で、1000円以上1万円未満の財産罰です。「拘留又は科料」の刑罰は、刑法のなかでは軽いといえるものですが、前科がついてしまうという事実に変わりありません。
なお、軽犯罪法違反で捜査を受ける際は、逮捕状は発付されないため、原則、逮捕されることはありません。しかし、住所不定者や、出頭に応じない者は逮捕される可能性があります。 -
(3)そのほかの法律
上記のほかにも、状況によって他の複数の罪に問われる場合もあります。
- 住居侵入罪
- 建造物侵入罪
- 児童ポルノ法違反
盗撮の際に不法な住居・建造物への侵入を行っていれば、「住居侵入罪」や「建造物侵入罪」に。盗撮対象が18歳未満だった場合、「児童ポルノ法違反」に該当する場合があります。
2、旦那が盗撮で逮捕された後の流れ
旦那が盗撮で逮捕された場合、その後の流れはどのようになるのでしょうか。以下に解説いたします。
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(1)逮捕・取り調べ
現行犯逮捕の場合は、逮捕された後取り調べとなります。その場で逮捕されなかった場合も盗撮を疑われた場合、取り調べを受け、後日逮捕される場合があります。
取り調べでは「いつ・どこでどのようなことをしたか」、「今までに盗撮をしたことがあるか」などを聞かれます。その際の供述内容によって、場合により、刑が重くなる可能性もあります。 -
(2)送致・勾留
警察官は、取り調べを終えると、事件を検察に送るかどうか決めます。これを「送致」と呼びますが、この手続きは逮捕してから48時間以内に行われます。送致されたら、検察官でも取り調べが行われ、送致から24時間以内に「勾留」か「釈放」、もしくは「起訴」が決定されます。
上述したように、警察による逮捕から検察への送致まで72時間の間身柄拘束があります。その後勾留が決まってしまうと、そこから10日間から20日間の身柄拘束をされることになり、逮捕から最大23日間、身体を拘束されることになります。勾留されている間は外へ連絡をとることはできないため、仕事も長期で休むことになり、会社に事件のことが伝わってしまう可能性が高くなります。
勾留されてしまうと大きな不利益が生じることになるため、旦那が逮捕されてしまった場合、72時間以内に適切な対処が取れるよう、早急に弁護士に相談するようにしてください。 -
(3)起訴・不起訴の決定
検察は逮捕から23日間以内に、起訴・不起訴を決定します。
起訴されると、刑事裁判を行うことになります。刑事裁判で有罪・無罪が決定しますが、捜査段階で警察・検察は有罪と確信できる証拠をしっかりと収集した上で起訴しますので、日本の刑事裁判での有罪率は99%と非常に高くなっています。つまり、起訴されると高い確率で有罪判決になってしまいます。
不起訴の場合、刑事手続きはそこで終了し、釈放されます。不起訴になる要因は、多くの場合が被害者との「示談」が成立しているなど、深い反省がうかがわれる場合などです。そのほか、有罪の確信が持てない「証拠不十分」など、ほかの要因で不起訴となるケースもあります。
3、家族に知っていてほしいこと
旦那が盗撮で逮捕されたときに、ご家族の方に知ってほしいことについて、ひとつずつ解説します。
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(1)逮捕後72時間以内に釈放されないと、さらに最大20日間勾留される
前述しましたが、逮捕後72時間以内に釈放されないと勾留されてしまいます。勾留されると最大20日間は身柄を拘束されます。お仕事をされている方にとって、20日間の身柄拘束は社会的損失が非常に大きいはずです。会社に事件のことが伝わってしまい、解雇されてしまう恐れもあります。
ですので、逮捕後の勾留をできる限り避ける必要があります。 -
(2)72時間以内に被疑者に会えるのは弁護士のみ。家族でも会えない
前述したように、逮捕後の72時間が重要なのですが、この間はご家族の方でも旦那に会うことはできません。会えるのは弁護士のみです。
逮捕後の72時間以内の弁護活動次第で、勾留されるかどうか決まるといっても過言ではありません。ご家族で解決されようとせず、早急に弁護士に相談するようにしましょう。 -
(3)示談で不起訴となる可能性はあるが、弁護士抜きで成立する可能性は低い
盗撮事案に限らず、一般的に被害者は加害者と会って話したいとは思わないものです。また、正しい手続きを素人同士で行うのも難しいと思います。
示談を行う場合は、弁護士を間に入れることをおすすめします。
4、まとめ
旦那が盗撮の容疑で逮捕されてしまった場合、時間の制約もありますので、ご家族の方は早急に弁護士に相談してください。
ここで適切な弁護活動を受けなかったために、旦那が勾留・起訴をされてしまい、会社に事態が知れ、解雇されるなど社会的なダメージが広がり、ご家族にも大きな影響が発生してしまう場合があります。
旦那の盗撮容疑を知って大きく動揺されている気持ちもお察しします。しかし、本人は盗撮などしておらず、誤解されているだけの可能性もありえるのです。逮捕前であっても、落ち着いて、速やかにベリーベスト法律事務所 岡山オフィスまでご相談ください。刑事事件に対応した経験が豊富な弁護士が、適切な弁護活動を行います。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています