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自転車でもあおり運転で逮捕される? 妨害運転罪にあたる行為と罰則

2021年11月02日
  • 交通事故・交通違反
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  • あおり運転
自転車でもあおり運転で逮捕される? 妨害運転罪にあたる行為と罰則

岡山県警察は、危険なあおり運転を取り締まる対策としてホームページ上に「岡山県 あおり110番 鬼退治ボックス」を開設しており、市民からのあおり運転の情報を収集しています。令和元年11月21日からの1年間の間に寄せられたあおり運転に関する通報は338件で、通報から書類送検にいたった事例があるほか、大半は交通反則切符の交付や電話による警告対応につながりました。

道路交通法が改正されてあおり運転が厳罰化されたことに伴い、あおり運転への社会的な関心は高まるばかりです。この改正では、危険なあおり運転の形態が明確化されて罰則が設けられただけでなく、自転車であってもあおり運転が成立することが新たに盛り込まれました。自動車のドライバーだけでなく、自転車を運転する人でも、あおり運転をすれば逮捕・刑罰を受けるおそれがあります。

本コラムでは「自転車によるあおり運転」に注目し、適用される罪や罰則、逮捕された場合の刑事手続きの流れなどを岡山オフィスの弁護士が解説します。

1、自転車でもあおり運転になる! 問われる罪とは?

令和2年6月30日に改正道路交通法が施行されて、従来は個別の交通違反として取り締まるしか方法がなかった「あおり運転」が10類型に明確化され、罰則が強化されました。

あおり運転の厳罰化として注目された改正ですが、この改正ではさらに「自転車でもあおり運転として処罰される」という点でも注目を集めています。

自転車によるあおり運転で問われる罪を確認しましょう。

  1. (1)道路交通法の「妨害運転罪」にあたる

    あおり運転は、改正道路交通法第117条の2の2第11号として新設された「妨害運転罪」に問われます。妨害運転罪に問われるのは、次の10類型の行為であり、周囲の車両などに対して道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものである場合です。

    通行区分違反
    逆走などによって周囲の交通を妨害する行為です。

    急ブレーキ禁止違反
    不必要な急ブレーキによって後続車に追突などの危険を与える行為を指します。

    車間距離不保持
    前方車両との車間距離を詰めてプレッシャーをかける行為で、あおり運転という用語の語源となった典型的な違反形態です。

    進路変更禁止違反
    急な割り込みや後続車の前で蛇行運転をすることで周囲に危険を及ぼす行為が該当します。

    追い越し方法の違反
    前方車両の左側から無理に追い越すなど、追い越し方法の違反です。

    ● 減光義務違反
    前方・対向車両の運転を妨害する目的で走行用前照灯、いわゆる「ハイビーム」を照射し続ける行為を指します。

    警音器使用制限違反
    標識標示などによって指定されている場所や危険防止のためにやむを得ない場合を除き、無用に警音器(クラクション)を鳴らし続ける行為です。

    安全運転義務違反
    周囲の車両に不必要に接近する幅寄せや急な加減速などが該当します。

    ● 高速道路における最低速度違反
    高速道路を走行する際の最低速度である時速50キロメートルを下回る速度で走行する行為です。

    ● 高速道路における駐停車禁止違反
    高速道路上において、危険回避のためにやむを得ない場合などを除き駐停車する行為は後続車に危険を及ぼすため禁止されています。


    これらの10類型のうち、高速道路における最低速度違反・高速道路における駐停車違反は条文をみると「自動車」に限定しているうえに、そもそも自転車は高速道路への進入が禁止されているため対象とはなりません。また、自転車には高輝度の前照灯が装備されていないので、減光義務違反も対象外です。

    すなわち、条文で「車両」「車両等」を規制対象としている残り7類型の違反行為は、すべて軽車両である自転車も含まれることになります。自転車であっても、前方車両への接近、蛇行運転、割り込みや幅寄せなどは妨害運転罪による処罰を受けるおそれがあるのです。

  2. (2)あおり運転に対する罰則

    妨害運転罪の罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。運転免許を取得している場合は、違反点数25点の加算によって免許取消を受けたうえで、最低2年間の欠格期間が設けられます。

    さらに、違反行為によって著しい交通の危険を生じさせた場合は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金に加えて、違反点数35点の加算、最低3年の欠格期間を受けます。

    自転車による違反行為であっても運転免許を取得している以上は行政処分を免れることはできません。つまり、自転車であおり運転をすると、自動車の運転もできなくなる事態を招いてしまうのです

    一方で、そもそも運転免許を取得していない場合は違反点数の加算や欠格を受けません。ただし、その後に運転免許試験に合格しても欠格期間に相当する間は免許交付が拒否されるおそれがあります。

2、自転車でもあおり運転をすれば逮捕されるのか?

全国の警察は、あおり運転に対する取り締まりを強化しています。
妨害運転罪の容疑で逮捕されたというニュースも目立ちますが、その多くは自動車の運転によるものです。

自転車によるあおり運転でも逮捕されてしまうことはあるのでしょうか?

  1. (1)実際に自転車によるあおり運転で逮捕された事例

    令和2年10月、自転車で車の前や中央線に飛び出す行為を繰り返していた男が埼玉県警によって逮捕されました。改正道路交通法が施行となり妨害運転罪が新設されて初となる、自転車によるあおり運転の逮捕事例です。

    令和3年5月に開かれた刑事裁判では、前年にも道路交通法違反で有罪判決を受けており執行猶予中の身であったことや、複数のあおり運転を同時に立件されたこともあり、懲役8か月の実刑と罰金20万円という重い判決が下されました。

  2. (2)あおり運転はどのように逮捕されるのか?

    警察による逮捕には、犯行のその場で身柄を拘束する現行犯逮捕と、裁判官が発付した逮捕状に基づいて身柄を拘束する通常逮捕等があります。

    通報によって駆けつけた警察官があおり運転を現認したといったケースでは、現行犯逮捕されることになるでしょう。

    また、被害者や周囲の車両がドライブレコーダーなどで違反の様子を記録していれば、あおり運転がおこなわれたことが明らかです。この場合は、現行犯逮捕されずその場から逃げることができても、後日になって通常逮捕されるおそれがあります。

3、逮捕されたあとの刑事手続きの流れ

自転車によるあおり運転の容疑で逮捕されると、その後はどのような刑事手続きを受けるのでしょうか?

  1. (1)逮捕・勾留による身柄拘束を受ける

    警察に逮捕されると、取り調べなどに要する時間も含めて48時間を上限とした身柄拘束を受けます。自由な行動は制限されるため、自宅へ帰ることも、家族と連絡を取り合うことも許されません。

    逮捕から48時間が経過するまでに、逮捕された被疑者の身柄は検察官へと引き継がれます。
    この手続きを送致といい、ニュースなどでは送検と表現されています。送致を受けた検察官は、24時間以内に勾留を請求するか、釈放しなければなりません。

    検察官は「引き続き身柄を拘束して取り調べる必要がある」と判断した場合に裁判官に対して勾留を請求します。裁判官が勾留を認めると、原則10日間、延長請求によってさらに10日間の合計20日間にわたる身柄拘束を受けます。

    逮捕から数えると、最長で合計23日間にわたる身柄拘束を受けることになり、仕事や学校にも行けない日が続くため、解雇・退学といった不利益処分を受ける危険が高まります。

  2. (2)起訴されると刑事裁判になる

    勾留が満期を迎える日までに検察官が起訴すると刑事裁判が開かれます。刑事裁判では、裁判官があらゆる証拠を取り調べたうえで有罪・無罪を判断したうえで、有罪の場合は法定刑の範囲内で適当な量刑を言い渡します。

    一方で、検察官が不起訴とした場合は、刑事裁判は開かれません。令和2年版の犯罪白書によると、道路交通法違反事件の起訴率は54.4%でした。

    また、検察官が起訴に踏み切った場合でも、道路交通法違反事件では公開の裁判を開かず書面審理のみで命令が下される「略式起訴」が採用されるケースが大半です。

    しかも、裁判所に出頭して即日で罰金の命令が下される「待命略式(在庁略式)」も多いため、有罪判決が避けられないとしても、懲役や長きにわたる刑事裁判の負担を強いられるおそれは低いでしょう。

4、容疑をかけられたらただちに弁護士に相談を

自転車によるあおり運転で妨害運転罪の容疑をかけられてしまったら、ただちに弁護士に相談してサポートを求めましょう。

  1. (1)逮捕の回避を目指したサポートが得られる

    あおり運転は周囲の交通に危険を及ぼす行為であるため、厳しい取り締まりを受けるおそれが高いでしょう。特に、自転車によるあおり運転は、すでに前例があるとはいえ全国的にも摘発事例が少ないため、警察が積極的に妨害運転罪を適用して逮捕にいたる危険があります。

    弁護士に相談してサポートを得れば、定まった住所で家族と生活している、定職に就いているといった事情を積極的に捜査機関にアピールすることで逮捕が回避できる可能性が高まるでしょう

  2. (2)処分の軽減が期待できる

    妨害運転罪が適用されて逮捕・勾留されたとしても、必ず刑罰を受けるわけではありません。検察官が不起訴とした場合は刑事裁判が開かれず、刑罰も受けません。

    道路交通法違反事件の起訴率は決して高くないので、弁護士に依頼して深く反省していることを主張したうえで、被害者への謝罪や賠償を尽くせば、不起訴となる可能性も高いでしょう。

    また、検察官による起訴が避けられない場合でも、弁護士に依頼して被疑者にとって有利な証拠を集めれば、執行猶予や軽微な罰金で済まされる可能性もあります。

    条文のうえでは最長で3年の懲役を受けるおそれのある重罪なので、厳しい刑罰を回避したいと考えるなら弁護士のサポートは必須でしょう。

5、まとめ

道路交通法の改正に伴い、これまではマナー違反や軽微な交通違反としかとらえられなかった「あおり運転」が法律によって明確化され、罰則も強化されました。自転車によるあおり運転でも、自動車と同様に道路交通法の「妨害運転罪」が適用されるおそれがあるため、厳しく処罰されます。

自転車の交通マナー悪化が社会問題になっている現代では、たとえ自転車によるものでもあおり運転をすれば周囲から通報され、警察に逮捕されてしまう危険もあります。

自転車によるあおり運転で妨害運転罪の容疑をかけられている、逮捕や刑罰に不安を感じているなら、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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