夫が浮気! 不貞行為の証拠をつかむ方法とは? 弁護士が徹底解説

2019年04月10日
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夫が浮気! 不貞行為の証拠をつかむ方法とは? 弁護士が徹底解説

司法統計によると、平成29年度中に岡山地方裁判所で取り扱われた家事審判や調停のうち、「婚姻中の夫婦間の事件」数は699件ありました。そのうち、配偶者の不貞行為が原因で離婚そのものを争う夫婦は少なくないでしょう。

夫の浮気や不倫を知れば、つらい思いを抱えることになります。しかし、このままじっと黙認していても事態は変わりません。しかし、慰謝料を請求するためには、原則、お金を受け取る側が不貞行為の証拠を提示する必要があるのです。特に、夫や相手が不貞行為を否定する場合は、慰謝料請求どころか名誉毀損(きそん)とされてしまうケースもあり得ます。

もし夫が浮気していて、あなたが慰謝料請求を検討しているのであれば、証拠が必須です。何が証拠として認められるのか、どのように集めたらよいのかについて、岡山オフィスの弁護士が解説します。

1、不貞行為とは

一般的にいわれる「浮気」や「不倫」は、法律上では「不貞行為」という言葉で表現されます。では具体的に、どのような状態が「不貞行為」とみなされるのかなど、基礎的な部分を知っておきましょう。

  1. (1)不貞行為の定義

    「不貞行為」とは、既婚者が婚姻相手以外の人物と性交渉を伴う交際をすることを指します。裁判などにおいて、配偶者の不貞行為の事実が認められた場合は、不貞行為をした配偶者が離婚を拒否しても、審判や裁判により離婚が認められることになります。

  2. (2)不貞行為にあたるケース

    不貞行為かどうかは、性交渉の有無が決め手となります。具体的にどのような行動が不貞行為として認められうるか確認していきましょう。

    ●性交渉があったと推定できる場合
    ラブホテルや、浮気相手のひとり暮らしの部屋など、男女ふたりきりで同じ部屋に宿泊した、長時間滞在したことが明白な場合、性交渉があったと推定されるため、不貞行為があったと考えられます。

    ●性交渉を示す明確な証拠がある場合
    夫と浮気相手が性交渉をしている写真、動画、音声などの証拠があるケースでは、当然、不貞行為があったとみなされます。ただし、証拠の入手手段によっては、プライバシーの侵害として逆に訴えを起こされる可能性がある点については注意を要します。

    ●風俗店を利用した場合
    性交渉を行うことを目的とした風俗店を利用した場合でも不貞行為とみなされますが、離婚事由と認められるかは状況によります。

  3. (3)不貞行為とはみなされないケース

    一方で、あなたにとって「浮気」と思える行動をしていても、「不貞行為」とは認められず、慰謝料請求ができないケースもあります。

    ●性交渉のない浮気
    原則、不貞行為は性交渉の有無によって判断されることが一般的です。したがって、キスをする、愛しているという、ふたりきりで頻繁に会うなど、浮気と思う行動があったとしても、性交渉が伴わない場合には不貞行為とみなされるケースはごく少数と考えておいたほうがよいでしょう。

    ●別居中に起こった不貞行為
    夫との婚姻関係が続いていたとしても、夫婦関係がすでに破たんしていると判断される場合には、第三者との性交渉が不貞行為とはみなされないケースもあります。

2、夫の不貞行為の証拠となるものとは?

では、離婚や慰謝料の請求のために証拠を集めるとして、どのようなものが証拠となるのでしょうか。

  1. (1)証拠と認められる条件とは

    基本的に、裁判でも有効となる証拠は「いつ」「誰が」「どこで」「何をしたか」がはっきり示されている必要があります。したがって、「誰が」「何を」しているのか不明瞭なものは、原則として証拠にはなりません。しかし、単独の証拠でなくとも、複数の証拠の組み合わせで「誰が」「何を」しているかを示すことで、証拠として認められることもあります。

    また、どのように確実な証拠であったとしても、法を犯して得た証拠の能力は認められない場合があります。

  2. (2)不貞行為を証明する証拠の具体例

    それでは不貞行為を証明する証拠の具体例を見ていきましょう。いずれも、性行為があったことを直接的に示すか、または推測させるものであることが必要です。

    ●写真や動画
    「いつ、どこで、誰が、何をしているか」第三者でもわかる証拠として重要視されるのは写真です。ラブホテルへふたりで入る写真や動画データは有力な証拠となるでしょう。

    ●SNSやメールの文面
    デートの約束、性行為を匂わせる会話などの文面は、不貞行為の証拠と扱われるでしょう。他の証拠と組み合わせて、不貞行為の場所や回数、期間を示すための証拠にもなりえます。

    ●ホテルの領収書
    浮気相手と宿泊し、二人分の料金が明記されたレシートなども証拠となるでしょう。

    ●電話の通話履歴
    不貞行為の相手との通話履歴は削除している可能性があります。しかし、契約内容によっては通信会社から通話履歴や通話明細を取り寄せることができることがあります。ただし、通話内容はわからないため、明細だけでは不貞行為の証拠とはならず、交際の様子を示す一資料にはなりうるでしょう。

    ●クレジットカードの明細書
    二人分のホテル代や食事代、交通費、ETCの履歴なども、ある程度は証拠として認められる可能性があります。

    ●不貞行為を認める発言の記録
    性行為そのものの証拠は、取得が難しいものです。しかし、夫が不貞行為の存在を認める旨の発言をした場合に、その会話を録音しておくと、不貞行為を証明する証拠になります。ただし、あくまでも夫婦間の会話の記録としてでなくてはならず、盗聴のような犯罪行為によって得られた証拠である場合には、証拠力が認められないことがあるでしょう。

    また、夫や相手が浮気を自白した流れで念書を書いてもらうこともひとつの手です。

3、不貞行為の証拠を集めるには?

不貞行為の証拠を集めるには、自分で集めるか、興信所や探偵などに集めてもらうケースが中心となります。具体的な証拠の集め方について解説します。

  1. (1)自分で集める

    自分で証拠を集めるメリットは、すぐ着手できることと、調査費用がかからない点が挙げられます。同居していればなおさら、生活の一環として夫の行動や所持品を確認することもできるでしょう。手帳やメモ、ポケットの中に入っていたもの、気になるものは写真に撮る、現物を保管するなどして記録しておきましょう。

    夫や相手のSNSやブログなど公開されている記事や写真でも、後で書き換えられる可能性があるため、見つけた段階で印刷して保存することをおすすめします。メールやLINEは非常に重要な証拠となる可能性が高いものです。しかし、法律に触れることなくその証拠をおさえる方法を考える必要があります。

    しかし、このような法律的な判断は素人には難しいでしょう。自力で証拠を集めたい場合には、まず弁護士に相談して自分にあった証拠の集め方のアドバイスを得るとよいでしょう。

  2. (2)興信所や探偵に依頼する

    自分自身も仕事や家事育児などの生活を行いつつ、夫の不貞行為を証明する証拠をおさえることは非常に難しいものです。そのようなときには、興信所や探偵事務所に尾行調査(浮気調査)を依頼することを検討してもいいかもしれません。

    相応の料金がかかりますが、専門の調査スタッフによる調査報告書は、万が一裁判になっても証拠として利用することができるでしょう。興信所選びで悩むときは、弁護士に相談して紹介してもらうこともひとつの手となります。

  3. (3)不正アクセス禁止法に注意

    証拠集めの際、夫と相手のメールやLINEのやりとり、ウェブ上の写真などにアクセスする場合「不正アクセス禁止法」に抵触しないよう注意が必要です。不正アクセス禁止法とは、他人のIDやパスワードを利用して、無断でその人のウェブ上の情報にアクセスしたときに成立する犯罪です。

    ただし、すでにダウンロードされているデータであれば、相手の携帯で画像やメールを閲覧しても、不正アクセス禁止法にはあたりません。しかしながら、プライバシーの侵害として不法行為にあたる可能性がありますので、証拠集めを行うときは、弁護士へ相談しながら進めることをおすすめいたします。

4、まとめ

不貞行為によって、離婚を考えるだけでも、精神的に大変負荷のかかる状況であることは間違いありません。しかし、証拠を集める以前に、相手への怒りで問い詰めてしまえば、かえって証拠を消されてしまう可能性は否定できません。また、証拠集めのための行動が法に触れてしまえば、意味がないと考えられます。

許せない行為だからこそ、まずは落ち着いて対策を考える必要があるでしょう。夫の不貞行為を知った場合には、まずは冷静に頭を整理するためにも、弁護士に相談することをおすすめします。

離婚問題に対応した経験が豊富な弁護士が、適切な条件で離婚を成立させるために必要なサポートを行います。ベリーベスト法律事務所・岡山オフィスまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています