子どもが2人の場合、養育費はいくらになる? 岡山オフィスの弁護士が回答!

2019年02月08日
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子どもが2人の場合、養育費はいくらになる? 岡山オフィスの弁護士が回答!

離婚をすることになれば、たとえ子ども2人分の養育費を決めなければならなくても、どうしても冷静さを欠いてしまい、話し合いが泥沼化しかねません。岡山市は、離婚の際、子どもの利益を最優先し、養育費や面会交流を協議の上、決定するよう、市のホームページで呼びかけるとともに、相談機関を紹介しています。

養育費などの金銭的な話は特にデリケートな問題になり、いざ当事者になってみると、どうしたらよいかわからなくなってしまうケースも少なくないでしょう。では、離婚が決まって養育費の話し合いになったとき、一体どのくらいの金額に決めるのが妥当なのでしょうか。「子どもが2人いる」場合を例にしながら、弁護士が解説します。

1、養育費とは?

  1. (1)養育費の意味

    離婚する際、夫婦の間に未成年の子どもがいる場合には、その子どもの親権をどちらが持つか決めることになります。親権者となった親は、子どもを引き取り養育監護する役目を担いますが、子どもを育てるためには何かとお金がかかるものです。

    たとえば、毎日の食費、小さいうちのおむつ代やミルク代、保育園などに預けるための費用があります。子どもが大きくなれば学費もかかってきますし、塾や習い事に通うこともあるでしょう。これらのように、子どもが社会人として自立するまでの費用を養育費といいます。

    養育費の支払いは、「生活保持義務」のひとつです。これは、子どもが最低限の生活ができればそれでよいというものではなく、義務者が子どもの生活を、自分と同程度の生活水準に保てるように支払うことが大前提となります。つまり、元配偶者に支払うお金ではありません。夫婦の事情で成長を見守ることができなくなった親が、最低限子どもに対して見せることができる「愛情のかたち」であるともいえるでしょう。

    そのため、「養育費の支払いで生活が厳しい」といって、支払いを免れることはできません。話し合いにより減額することはありますが、自分の生活水準を見直してでも、子どもにも同じ水準の生活を保障する義務を果たす必要があります。

    なお、養育費は、離婚の際に子どもを引き取った親(権利者)が、もう一方の親(義務者)に対して請求する権利でもあります。養育費についての取り決めは離婚の話し合いのときに行われるのが一般的ですが、特に何も決めずに離婚してしまった場合でも、あとから請求することができます。また、子ども自身が権利者として養育費を請求することも可能です。

  2. (2)養育費の支払期間

    それでは、養育費は一体いつまで払い続けるものなのでしょうか。子どもが20歳になるまでが支払期間といわれていますが、両親で協議の上、支払期間を独自に設定するケースも多々あります。
    たとえば、子どもが大学に進学する予定で考えている場合は、20歳の時点では子どもが自活できる状態ではないと考えられます。そこで、子どもが大学を卒業するまで養育費を支払うとの合意をすることもできます。しかし、この場合に支払期間を「大学を卒業するまで」と定めると、留学や留年などにより卒業年が伸びたときに、支払期間をめぐる争いが生じることがあります。こうした事態を回避するには、たとえば、「22歳に達した後に到来する3月末日まで」などと、支払期間を明確にすることが一般的です。

    親として、たとえ離婚していなくても子どもにしてあげられることやしてあげたいことはあったのではないでしょうか。その範囲で考えてみてはいかがでしょうか。

2、養育費の金額の決め方は?

  1. (1)両者で話し合って決める

    養育費は「この金額にしなければならない」と明確な決まりがあるわけではありません。条件があるとすれば、前述のとおり、「親権を持たなかった側と同等の生活を送ることができること」が条件になるかもしれません。最終的には、親権者と養育費を支払う義務者、双方の合意があれば、両者で合意した金額になります。

    しかし、一方が提示した金額に他方が同意しない場合は調停などで決めることになります。その際は裁判所が公表している算定表をもとに金額を決めていくケースが一般的です。算定表は、両親それぞれの収入や子どもの年齢などをもとにして計算されたもので、裁判所のホームページでも閲覧できるようになっています。

  2. (2)子ども2人の場合の養育費の計算

    では実際に、子どもが2人いる夫婦が離婚する場合、養育費はいくらが妥当なのでしょうか。子どもの人数と子どもの年齢、権利者と義務者のそれぞれの年収と、会社員か自営業かを加味して、算定表を確認すると、養育費を割り出すことができます。

    たとえば、子どもを引き取り育てる親(権利者)の年収が100万円、養育費を支払う親(義務者)の年収が500万円でどちらも会社員の場合、子ども2人分の養育費は、以下のとおりです。

    • 15歳と12歳の2人の子どもがいるケースの養育費……月々約6~8万円
    • 子どもが2人とも15歳以上となっているケースの養育費……月々約8~10万円


    最終的には、おのおのの事情に応じて協議の上、決めることになるでしょう。

    なお、ベリーベスト法律事務所では、上記で触れた裁判所の養育費算定表をもとにした、養育費計算ツールをご用意しています。ぜひご活用ください。

    養育費計算ツール

  3. (3)どのような手続きがある?

    養育費は一定期間継続して払い続けるものです。調停などを行わずに当事者の話し合いで決めた場合も、養育費の金額や支払い方法や支払期間などを記載し、その支払い義務を明らかにするために両者の間で離婚協議書を作成しましょう。

    また、可能な限り協議書は、「強制執行許諾文言」を入れた、公証人による公正証書を作成することをおすすめします。調停や離婚訴訟などを行えば、調停調書や判決書などが作成されることになります。これらの書類があれば、後々、未払いなどのトラブルが起こったときも、強制執行(預金や給与などの差し押さえ)を速やかに行うことができます。

  4. (4)あとから金額の変更はできる?

    事情によっては養育費をあとから増額または減額することができます。たとえば、子どもが私立の学校に進学することになったり、病気を患い医療費がかかったりした場合、権利者(子どもを引き取った親)から養育費の増額を要求されることがあります。

    また、義務者(養育費を支払う親)からは、再婚後に新たに子どもができたなどの理由で、養育費の減額を要求できる場合もあります。このような金額変更の場合も、両者で協議して、合意した金額を決めますが、合意できなければ調停などで決める必要があります。

3、まとめ

今回は、離婚の際の養育費について、金額の決め方を中心に説明しました。離婚の話し合いは、感情の問題も大きく、こじれてしまうことが多いようです。精神的に疲弊してしまう前に、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士が間に入ることで、スムーズに交渉を進めることができますし、調停や裁判となったときも適切な対応が可能となります。

養育費についてお悩みのときは、ひとりで抱え込まず、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスで相談してください。岡山オフィスの弁護士が、親身になって力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています