モラハラ夫と離婚したい! どうすればスムーズに離婚できる?
- 離婚
- モラハラ夫
- 離婚
- 岡山
岡山市が公開している人口動態によると、平成28年の離婚数は1270件となっています。また月別の離婚数の推移をみると、4月から10月にかけては毎月100件前後、11月から1月は80~90件台、2月3月は130件を超える離婚が成立しています。ここ岡山市では、年度の切り替わりに向けて離婚に踏み切る夫婦が多いことが予想されます。
今このときも、夫との離婚を考えている方の中には、夫のモラハラ、つまり精神的暴力に悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。モラハラを日常的に受けていると、そこから脱するための行動を起こすことは非常に難しいことが知られています。
もちろん、あなたの生活の安寧が夫の暴力によって脅かされることはあってはならないことです。あなたをそのような重大な人権侵害から守ることも、弁護士の重要な仕事のひとつです。モラハラ夫と、スムーズに離婚をするためのポイントを整理していきましょう。
1、モラハラとは?
モラハラ、つまりモラルハラスメントとは、家庭内暴力(ドメスティックバイオレンス=DV)の中でも精神的な暴力や嫌がらせのことをいいます。
身体的な暴力とは異なり、言葉や態度によって行われる精神的な暴力は、外部からは見えにくく、発覚しにくいものです。また、日本は家父長制の名残で、女性は男性に付き従うものという文化がいまだに根強く残っています。そのため、夫を怒らせた自分が悪いのだと我慢して、そもそもご自身で被害を受けていることに気づいていない方が多いことも特徴のひとつです。
-
(1)モラハラの具体例
モラハラの具体例としては、以下のような行動があげられます。
- 罵声をあげて怒鳴る
- 誰のおかげで生活しているのだと言う
- 被害者の人付き合い(被害者の実家や友人も含めて)をチェックし、人付き合いを制限する。そのために電話や手紙、メールなどをチェックする。
- 被害者が何を言っても無視する
- ばかにして、命令口調で物を言う
- 被害者が大切にしている物を捨てたり、壊したりする
- 生活費を渡さない
- 被害者が外で働くなと言ったり、仕事を辞めさせたりする
- 子どもに危害を加えると脅す
- 殴るそぶりや物を投げるそぶり(暴力をふるうふり)をして脅かす
- 被害者の親兄弟に危害を加えると脅す
夫の行動がこれらに該当する場合は、あなたもモラハラを受けている可能性があるのです。
また夫婦間でも、「見たくないのにポルノビデオや雑誌を見せる」「嫌がっているのに性的行為を強要する」「妊娠の中絶を強要する」「避妊に協力しない」のような行為は性的暴力として認められます。
2、モラハラ夫と離婚するには
あなたが受けている仕打ちがモラハラであり、夫のモラハラ行為がおさまる気配がないのであれば、離婚したいと思うのも当然です。
離婚は、原則として夫婦間で合意ができれば、お互いが署名押印した離婚届を役所に提出することで成立します。これを協議離婚といいます。他方、夫婦のどちらかが離婚に合意しないときは、第三者を介した調停や裁判による「調停離婚」を目指すこととなります。
それでは、万が一、モラハラ夫が離婚を拒否した場合に、打つべき手段と対策を解説していきます。
-
(1)モラハラは「法定離婚事由」になる
相手が離婚を拒否している場合でも、審判や裁判において離婚が認められうる「法定離婚事由」というものがあります。
民法第770条 1項
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
- 1号 配偶者に不貞な行為があったとき。
- 2号 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
- 3号 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
- 4号 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
- 5号 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2項
裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
モラハラは、民法第770条第1項第5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するケースが多いようです。 -
(2)モラハラの証拠を集める
モラルハラスメントを理由に離婚するためには、相手の言動が第三者から見ても耐えがたいものと言えなければなりません。家庭裁判所の調停委員や裁判官を説得するだけの証拠が必要となります。
証拠となる可能性が高いものの一例は以下のとおりです。
- 詳細な経緯を記したもの
- 夫に言われた言葉やされたことを詳細に日記に残したもの(日時と回数がわかるように)
- 夫の言動を録音・撮影したもの
- 夫から来たメールの中の侮辱的言辞
夫に見つかり破棄されるかもしれない、と不安な場合は、信頼できる友人や知人に預けることも一案です。また、可能であればこの段階から弁護士に相談し、証拠集めのアドバイスを受け、証拠の保全を依頼しましょう。
3、モラハラ夫と離婚するためには第三者の協力が不可欠
モラハラにお悩みの場合、ひとりで立ち向かうことは大きな困難を伴います。多くのケースで、あなたから離婚を切り出すことは、夫の意に反することでしょうから、強い剣幕であなたを傷つける言動をすることは想像に難くありません。
そのモラハラ行為を脱することが離婚の目的であっても、目下の恐怖から、離婚を言い出せない方も少なくないでしょう。また、家庭内のいざこざを他人に話すことが恥ずかしいと思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、それこそが夫の思うつぼなのです。
第三者からみたら、十分に避難すべき状況であることは大いにありえます。まずは、現状を第三者に話してみましょう。
-
(1)行政に相談する
行政に設けられている女性のための相談窓口に相談してみることもよいでしょう。無料ですので、お金の心配がありません。また、シングルマザーのための就職相談や、暴力から逃れるための母子シェルターなど、必要に応じて住居の相談にも乗ってもらえるでしょう。
自分が頼ることができる行政サービスを理解することも、モラハラ夫から離婚し、自立していくための大事なプロセスといえるでしょう。 -
(2)心療内科や精神科を受診する
もしも、不眠や動悸が止まらないなどの症状がある場合は、心療内科や精神科を受診することもよいでしょう。モラハラによって精神的に追い詰められている可能性があります。その場合は、診断書を書いてもらいましょう。医師による診断書は、調停や裁判においても非常に強力な客観的証拠となります。
また、夫との関係性から逃れることができず、一時的に離れたあと、「やっぱりあの人には私がいないと」と、結果としてまた元の生活に戻ってしまうこともあるでしょう。場合によっては、医療機関で継続的なカウンセリングを受けることで、自らの状況を冷静に考えられるようにすることも必要かもしれません。 -
(3)弁護士に相談する
家庭内のトラブルこそ、第三者であり、法律を熟知している弁護士を間に挟むことで、早期解決へとつながります。離婚問題に対応した経験が豊富な弁護士であれば、モラハラの知識も十分にあります。どのようなプロセスで夫に離婚交渉をもちかけるかなども、弁護士の経験が非常に有効となるでしょう。
弁護士を代理人に立てれば、あなた自身は夫と直接交渉する必要はありません。弁護士が窓口となり対応することもできるでしょう。特に、証拠集めにおいては、妻側が法に触れる行為とならないよう、十分に注意する必要があります。
弁護士に相談することができれば安心でしょう。また、あなたが受けた精神的被害が大きいものであれば、必要に応じて、慰謝料の交渉を依頼することも可能でしょう。その際も、調停、裁判につきそってもらうことも可能です。
4、まとめ
人格の尊重がなされないモラハラは精神的な虐待です。あなたは、人権侵害の被害者ともいえるでしょう。
少しでも「これはモラハラではないだろうか」と思われたときには、まずはベリーベスト法律事務所・岡山オフィスで相談してください。あなたの明るい未来のために、尽力します。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています