学資保険は財産分与の対象になる? 財産分与のトラブル対処法とは
- 離婚
- 学資保険
- 離婚
- 財産分与
- 岡山
平成29年の厚生労働省の人口動態調査によると岡山県の1年間の離婚件数は1271件でした。婚姻件数が3773件なので、約3分の1が離婚している計算になります。
離婚の際には、話し合って決めなければならないことはたくさんあります。もしも子どものために学資保険を契約しているとなれば、学資保険の扱いについても決めなければいけません。離婚の手続きは大変なため、学資保険のことを失念する可能性がありますが、話し合いをしなければ、後でトラブルにもなりかねません。
子どものために契約した学資保険は解約すべきか? 続けるなら名義変更したほうがいいのか? など、考えるべきことはいくつかあります。そこで今回は、離婚時の学資保険についてベリーベスト法律事務所 岡山オフィスの弁護士が解説します。
1、離婚の際に学資保険は財産分与の対象となる?
財産分与とは、離婚の際に夫婦の財産を分割することをいいます。貯金、マイホームなど、結婚期間中に増えた財産は名義がどちらのものでも、原則として2分の1ずつ分けるのです。
学資保険は、子どもが保険金の受取人としているケースが多いかもしれません。しかし、夫婦の財産とみなされるので財産分与の対象となります。なお、財産分与の請求期限は離婚してから2年間です。離婚成立から2年を超えると請求権がなくなりますので、忘れずに話し合い必要な手続きを行いましょう。
2、学資保険の財産分与の方法と手続きしないリスクとは
財産分与は原則として結婚期間中に築いたすべての財産を2分の1にします。学資保険も夫婦の財産なので2分の1に分割する必要がありますが、学資保険は不可分であるため、即座に分割することはできません。
したがって、学資保険を財産分与する際の選択肢は「解約して解約返戻金を分割する」もしくは、「学資保険の契約を継続する」の2択です。
ここではそれぞれの方法とメリット、デメリットについて解説します。
-
(1)解約して解約払戻金を分配する
離婚の際に学資保険も解約し、解約返戻金を2分の1にわけるという、トラブル回避のためには最適な方法です。解約返戻金という現金をきっちり2分の1に分割できるため、面倒な手続きなどは必要ありません。
しかし、学資保険は満期まで保険料を支払うことで、支払った保険料以上の保険金を受け取ることができるものが多いものです。したがって、途中解約して受け取れる解約返戻金は、これまで支払った保険料よりも少なくなる可能性が高いでしょう。つまり「金銭的に損をする」ということです。
また、その後、親権者が新たに学資保険に加入しようとしても子どもの年齢制限により加入できない可能性もあります。手続きの煩雑さやトラブル回避のためには、最適な方法ですが、金銭的にはデメリットもあるので注意しなければなりません。 -
(2)学資保険の契約を続行する
子どもの年齢が大きくすでに多くの保険料を支払っている場合や、子どもの将来のためのものだから解約したくないという場合は、解約せずに学資保険の契約を続行することも可能です。
ただし、契約を続行する場合は、「契約者=親権者」の状態にしておくことをおすすめします。親権者ではない方を契約者にしておくと、勝手に解約する、受け取っても子どもに渡してもらえないなどのトラブルが発生する可能性があります。
同様に、その後の保険料支払いについても、原則「契約者=親権者」にしておくことが望ましいと考えられます。養育費の一部として学資保険を支払うというケースもありますが、勝手に解約されてしまう、保険料を支払わないなどのリスクがあるので、おすすめしません。 -
(3)学資保険を契約続行する場合も解約返戻金相当分の分割が必要
学資保険の契約を続行する場合は「名義変更」、とともに「解約返戻金相当分の支払い」も考えなければなりません。
学資保険の契約を続行するということは、どちらかが学資保険の保険金をすべて受け取るということです。したがって、離婚の際に解約した場合の解約返戻金を計算してもらうとともに、算出された解約返戻金の半額を相手に渡さなければ、財産分与したことにならないためです。
ただし、調停や裁判で離婚するのではなく、話し合いで離婚が決まるのであれば解約返戻金相当分の支払いまでは求めないケースも少なくありません。
3、離婚の際、学資保険の名義を変更する方法は?
-
(1)学資保険の名義変更方法
契約者や保険料の支払いを誰にするのか、などを決定したら名義変更の手続きを行いましょう。名義変更は、カスタマーセンターや担当者、代理店に問い合わせることで必要書類を案内してもらえます。一般的には以下の書類が必要になることが多いので用意しておきましょう。保険証券がない場合は、再発行の手続きを同時に行うことも可能なので、電話で問い合わせてみてください。
- 保険証券
- 印鑑
- 契約者本人の本人確認書類
-
(2)相手が名義変更に応じない場合
相手が名義変更に応じていない場合は、そもそも、学資保険の財産分与の話し合い自体がうまくいっていないということなので、話し合いからやり直しましょう。当事者同士で話し合いが進まない場合は弁護士に交渉を一任することをおすすめします。
4、離婚問題を弁護士に依頼するメリット
離婚問題を弁護士に依頼するメリットは、「自分の正当な権利を主張できること」と、「離婚問題のストレスから解放されること」です。
弁護士を通さずに交渉すると、財産分与の対象となる財産をきちんと把握できていなかったり、慰謝料を受け取れるケースであることを知らなかったりするケースが少なくありません。当事者同士で話し合うことで、「本来受け取ることができるお金」を見逃してしまったり、逆に支払う必要がないものを支払ってしまったりする可能性があるのです。金銭面での失敗を防ぐためには弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。
また、学資保険の問題だけに限らず、離婚にはさまざまなことを決定しなければなりません。慰謝料に財産分与、親権者の決定やマイホームの所有権など、すべてを短期間で決定する必要に迫られるため、非常に手間がかかりますし、大きなストレスになります。
そもそも離婚直前はお互いに友好な雰囲気を保てる状態ではないでしょう。日常の会話すらままならないことがほとんどです。そのように理性を欠いている状態で、この先、子どもの人生を左右する可能性がある学資保険などの財産分与の話をスムーズに進めることは難しいと考えられます。
新しい人生をベストな状態で始めるためにも、弁護士に交渉を依頼して「離婚後の生活」にあなたのエネルギーを注ぐことを強くおすすめします。
5、まとめ
学資保険は、財産分与の対象となります。その際、解約して分割するのか、もしくは契約を続行して分割するのかを決定する必要があります。契約を続行する場合は、親権者=契約者の状態にしておくことが望ましいでしょう。
離婚の際は、学資保険だけではなく家や車、貯金など結婚期間中に築いたすべての財産を分割しなければならないので、正当な権利を主張するためにも弁護士に相談することをおすすめします。学資保険をはじめとする財産分与の実績が豊富なベリーベスト法律事務所 岡山オフィスでは、あなたの状況に応じて適切なアドバイスを行います。まずはご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています