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企業が就業規則を変更するとき、注意すべき点を岡山市の弁護士が解説

2020年02月21日
  • 一般企業法務
  • 就業規則
  • 変更
  • 岡山
企業が就業規則を変更するとき、注意すべき点を岡山市の弁護士が解説

事業をしていく中で、業績が良い時もあれば、悪い時もあります。そのような時、状況に合わせて就業規則を変更したいと思われることもあるのではないでしょうか。

従業員全てにとって良い条件に変更する場合には、特に問題になることはありませんが、賃金を減らしたり、休日を減らしたりというように従業員にとって不利益となる変更をする場合には、一定の要件を満たす必要があります。

そこで、今回は、企業として就業規則を不利益変更する場合には、どのような手続きが必要なのか、どのようなことに注意する必要があるのかなどについてベリーベスト法律事務所 岡山オフィスの弁護士が解説します。

1、どのようなケースで就業規則を変更するか

  1. (1)就業規則とは?

    まずは、就業規則とは何かについて確認しておきましょう。就業規則とは、労働者が守るべき規律および労働条件に関する内容について定められた規則のことをいいます。

    常時10人以上の従業員を使用する使用者は、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。就業規則を変更する場合も同様に、所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があります。

  2. (2)就業規則の変更が必要なケース

    就業規則の変更が必要なケースとしては、一般的に次の3つが挙げられます。

    ①法令が改正された場合
    就業規則は、社内のルールを定めるものですが、法令の範囲で認められるものなので、法令が改正され就業規則の規定が法令の基準を満たさなくなった場合には、就業規則を変更しなければなりません。法令は頻繁に改正されるので、就業規則の変更が必要か頻繁に確認する必要があります。

    ②社内のルールを変更する場合
    就業規則は社内ルールを定めたものなので、社内ルールを変更したい場合には就業規則を変更する必要があります。具体的には、業務時間の変更、定年延長、固定残業代の設定、手当の新設、テレワークの新設などです。また、就業規則以外に新たに規定を設ける場合、就業規則に「〇〇については、〇〇規程による」と規定する必要があるため変更が必要になります。

    ③助成制度を利用する場合
    雇用関係にはいろいろな助成制度があります。助成金を受け取るためには、定められた要件を満たす必要がありますが、その要件を確認するのに就業規則の提出が求められることがあります。その場合、要件を満たすように就業規則を変更する必要があります。

2、就業規則を変更する際の手続きの流れ

  1. (1)労働者の同意の重要性

    労働契約法では、「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない」と定めています。したがって、就業規則を不利益変更する場合には、原則として労働者の同意が必要になります。

    ただし、「変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする」と例外規定があります。そのため、就業規則に反対する労働者がいたとしても一定の要件を満たせば就業規則を変更することは可能性です。

  2. (2)就業規則変更の手続き

    ①就業規則改正案の作成
    就業規則の改正案を作成します。この時、どこが変わったのかを明らかにするため「新旧対照表」も作成します。作成にあたっては、労働基準法などの関連法や、労働協約に反しない範囲で行わなければなりません。もし、就業規則に労働法令や労働協約と矛盾する内容があれば、その規定は無効となります。

    ②労働者への説明と意見の聴取
    就業規則の変更について労働者に説明し、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数の代表者から意見を聞く必要があります。あくまで意見を聞くだけなので、同意が得られない場合でも就業規則の変更をすることはできます。しかし、後で紛争になるおそれがあるので修正できる内容なら、修正した上で同意を得ることが望まれます。

    ③労働基準監督署への届け出(常時10人以上の労働者を使用の場合)
    「就業規則変更届」を記入し、変更後の就業規則、労働組合または従業員代表からの意見書、新旧対照表をそろえて労働基準監督署に提出します。持ち込みでも郵送でも可能です。

    ④労働者への周知
    就業規則は、すべての労働者に対して周知しなければならないので、①労働者に書面で交付する、②常時各事業所の見やすい場所に掲示する、③事業所に備え付ける、④誰でも見られる内部のイントラネットなどに保存するなどの対応をします。また、就業規則をメールに添付して全従業員に周知する方法も認められます。

3、不利益変更をする場合に注意するべき点とは

  1. (1)合意による場合

    労働契約は使用者と労働者との間の契約なので、契約当事者の合意によって変更するのが原則です。そのため、企業としては、労働者に不利益変更の内容を説明し理解してもらうことが重要です。その上で合意が得られれば不利益変更であっても特に問題になることはありません。

    合意により労働条件を変更する方法としては、従業員全員に個別に合意を得る方法と労働組合と合意する包括合意の2種類があります。社員の数が少ない場合には、個別の合意でもいいでしょうが、社員の数が多い場合には、個別に合意を得ることは難しいので、労働組合との合意によることが考えられます。

    労働組合との間で変更内容について労働協約を締結すれば、当該組合の組合員については、個別の同意なくして労働条件の変更を行うことができます。もっとも、非組合員については、効力が及ばないので、非組合員については個別の合意を得る必要があります。ただし、事業場に常時使用される同種の労働者の4分の3以上の数の労働者が、一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該事業場に使用される他の同種の労働者に関しても、当該労働協約が適用されます(事業場単位の一般的拘束力、労働組合法17条)。労働協約は書面にて作成し、両当事者が署名または記名押印する必要があります。

    ちなみに個別合意の場合には、書面であることは要件になっていませんが、後日、「言った、言わない」でもめることがあるので、書面でするようにすべきです。

  2. (2)合意によらない場合

    個別的合意や労働協約による合意が得られない場合であっても、一定の要件を満たすことで合理的な内容であれば就業規則の変更が認められます。ただ、合意を得られない変更というのは従業員に受け入れられない内容ということなので、変更内容に問題はなかったのか改めて再検討すべきです。合理性はないとして争われる可能性があるからです。再検討しても変更が必要という場合、合理性を説明できるよう準備した上で、就業規則を変更することにより労働条件の変更を行います。

    また、全員の合意が得られない場合でも、合意してくれる労働者がいる場合には合意書を書いてもらうことで、合意している労働者がいることをアピールできます。

  3. (3)内容面での注意事項

    「合理性」があるかについては、労働者の受ける不利益性と使用者側の変更の必要性とが総合的に判断されます。労働者に与える不利益が大きいほど、変更の必要性がより求められることになります。合理性が認められない場合、当該変更は無効とされるので、企業としては不利益に対する代償措置や経過措置を設けるなど、不利益の緩和についても検討することが重要です。

    就業規則は、法令や労働協約に反してはならないので、就業規則の変更によって法令や労働協約に反するものとなっていないか確認する必要があります。労働協約に反する場合は、労働協約を解約した上で就業規則の変更を行う必要があります。労働協約を解約するには、有効期間の定めのない労働協約の場合、当事者の一方が、90日前に書面によって相手方に予告することにより、その効力を将来に向かって消滅させることができます。

4、不利益変更を強行した場合のリスク

これまで説明してきたとおり、労働者の合意が得られない場合であっても、一定の要件を満たし合理性のある変更であれば就業規則の変更が認められます。しかし、労働者の合意を得ずに強行的に就業規則を変更した場合、以下のようなリスクがあります。

  1. (1)労使紛争に発展するリスク

    労働者からの合意が得られていないと労働者から就業規則の変更は無効であると訴えられるリスクがあります。訴えられ合理性が認められなければ無効となります。実際、裁判にまで至っているケースもあります。

  2. (2)従業員の士気低下のリスク

    労働者の納得が得られないまま就業規則を変更すると、不合理な規則を押し付けられたと従業員の士気が下がるリスクがあります。士気が下がれば業績が下がるおそれがあり、効率化のためにする就業規則の変更がかえってマイナスに作用することになります。そのため、合意が得られないにしても、繰り返し説明を行い納得してもらえるよう努めることが重要になります。

  3. (3)風評被害が発生するリスク

    今は、SNSで個人が情報を発信できる時代なので、就業規則が一方的に変更されたとSNSに批判的に発信されると、その企業はいわゆるブラック企業と評価されるリスクがあります。一度ブラック企業と評価されると、企業イメージが悪くなり、業績に影響が生じる可能性があります。

    また、採用の面においてもブラック企業と評されて敬遠されるようになり、人材確保が難しくなる可能性があります。

    たとえ、就業規則の変更が合理的な内容であったとしても世間的に「弱者いじめ」と捉えられると評判は悪くなるので、やはり労働者に納得してもらうことが重要になります。

5、まとめ

今回は、就業規則を変更する場合の手続きについて見てきましたが、不利益変更をする場合には注意が必要です。労働者にしっかり説明し合意を得ることが基本であり、合意が得られない場合には、さまざまなリスクが生じます。

本記事による注意事項を確認しながら、就業規則の変更を行っていただければ、手続き的には問題なく進めることができるはずですが、労働者との交渉も含めて心配という場合には、弁護士に依頼することもひとつの方法です。

ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスでは、就業規則変更の手続き、労働者との交渉においてサポートすることが可能ですので、お気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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