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【個人事業主向け】 事業承継をスムーズに行うための5つのポイント

2021年07月19日
  • 事業承継・相続対策
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【個人事業主向け】 事業承継をスムーズに行うための5つのポイント

経営者にとって、事業を後継者に引き継がせる事業承継はとても重要な課題となっています。事業承継の問題を先送りにしていたため、いざ事業承継を行おうとしても、スムーズに手続きが進まず、事業自体を廃業せざるを得ない状況に追い込まれることもあります。

このような事業承継の問題は、企業特有の問題ではなく、個人事業主として事業を行っている場合にも同様に生じる問題です。しかし、個人事業主の場合には、企業とは異なる特殊性もありますので、事業承継の手続きや方法にも違いがあります。そのため、個人事業主の方が事業承継を検討するにあたっては、これらの相違点をしっかりと理解した上で行っていくことが重要です。

今回は、個人事業主が事業承継をスムーズに行うための5つのポイントについて、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスの弁護士が解説します。

1、個人事業主と法人企業の違い

個人事業主と法人企業の事業承継については、主に以下のような違いがあります

  1. (1)すべての事業用資産の引き継ぎが必要

    法人企業の事業承継の場合には、企業の資産は、経営者個人ではなく法人の所有資産になりますので、経営者の交代による事業用資産の引き継ぎは不要となります。そのため、法人企業の事業承継では、主に、自社株式の引き継ぎを行うだけで足ります。

    これに対して、個人事業主の場合には、事業用資産は、すべて個人の所有になりますので、事業承継にあたっては、すべての事業用資産を後継者に引き継ぐ手続きを行わなくてはなりません。事業用資産の引き継ぎにあたっては、個々の資産の評価をしなければなりませんし、資産の移転にあたっては、税金の問題も発生します。

    このように、事業用資産の移転の面では、個人事業主の方が手間がかかるという特徴があります。

  2. (2)当事者双方に手続きが必要

    法人企業の事業承継の場合には、主に、法人内部で自社株式の引き継ぎのための株主総会の手続きを行うだけで足りますので、現経営者や新経営者自身は、特別の手続きを行う必要はありません。

    これに対して、個人事業主の場合には、現経営者の廃業の手続きと、新経営者の開業の手続きが必要になってきます。また、事業用資産の引き継ぎや契約の変更を伴いますので、現経営者名義の資産や契約については、すべて新経営者の名義に変更をする手続きを行う必要があります。

    このように、手続き面でも個人事業主の場合には、煩雑な手続きが必要になります。

2、個人事業主が事業承継する方法

個人事業主が後継者に対して事業承継を行う方法としては、主に以下の三つの方法があります。

  1. (1)事業譲渡(M&A)

    事業譲渡(M&A)とは、現経営者の事業を第三者に対して対価を得て譲渡する方法をいいます。事業譲渡は、主に、親族や従業員以外の第三者を後継者とするときにとられる方法です。現経営者としては、事業譲渡により対価を得ることができますので、引退後の資金に充てることができるというメリットがあります。

    他方、事業の種類や規模によっては、売却先の相手を探すことが難しいこともあります。

  2. (2)贈与

    贈与による事業承継とは、現経営者が後継者に対して無償で事業を譲る方法をいいます。贈与は、主に現経営者が信頼できる親族や優秀な外部の後継者を見つけてきて事業承継するときにとられる方法です。

    事業用資産を贈与した場合には、贈与税がかかりますので、高額な資産を贈与する場合には、事前に対策を講じておく必要があります

  3. (3)相続

    相続による事業承継とは、経営者が亡くなったときに、相続によって事業を引き継ぐ方法をいいます。上記の二つの手段が経営者の生前に行う事業承継の手段であるのに対して、相続による事業承継は、経営者の死後に行う事業承継という点で違いがあります。

    経営者が遺言書を残していれば、遺言書に従ってスムーズに事業承継を行うことができますが、遺言書がない場合には、相続人による遺産分割協議が必要になり、遺産分割が完了するまでは事業承継ができず、経営に支障が出ることもあります。

    そのため、経営者としては、生前に事業承継を行わないのであれば、必ず遺言書を残しておくようにしましょう。

3、個人事業主が事業承継する際の流れ

個人事業主が事業承継をする際の流れとしては、一般的には以下のような流れとなります。

  1. (1)後継者の選定

    個人事業主が事業承継を行うにあたっては、まずは後継者を誰にするかを決めることから始めます。

    後継者を誰にするかは、事業の円滑な承継のために極めて重要な事項となります。個人事業主の場合には、親族が現経営者の事業を引き継いで行うことが多いといえますが、第三者への譲渡を含めて慎重に判断するようにしましょう

    また、後継者が決まったとしても、すぐに事業承継をするのではなく、後継者の育成や取引先へのあいさつなど関係先への周知を十分に行ってから引き継ぐようにしましょう。

    個人事業主では、個人の信用や人間関係を基礎にして取引を行っているという側面もありますので、このような引き継ぎを怠ると、その後の事業継続に支障を生じるおそれもあるため注意が必要です。

  2. (2)事業譲渡契約書または遺言書の作成

    事業承継の方法が、事業譲渡(M&A)や贈与である場合には、現経営者と新経営者との間で、事業承継契約書を作成します

    相続による事業承継の方法をとる場合には、事業用資産を後継者の相続人に相続させる内容の遺言書を作成します。

  3. (3)被承継者による廃業手続

    個人事業主の事業承継では、事業承継を終えた被承継者は、税務署や市区町村の関係機関に対して、事業の廃業手続きを行う必要があります

    相続による事業承継の場合には、事業を承継した相続人などによって廃業手続きを行います。

  4. (4)承継者による開業手続

    個人事業主の事業承継は、当事者間で事業承継の契約をしただけでは足りず、税務署や市区町村の関係機関に対して、事業の開業手続きをする必要があります。被承継者が青色申告の承認を受けていた場合でも、それを引き継ぐことはできませんので、改めて手続きをする必要があります。

    また、行政機関の許認可を要するものである場合にも、承継者が改めて許認可の申請をする必要があります。

  5. (5)事業用資産や契約の名義変更

    個人事業主の事業用資産は、個人名義ですので、事業承継をした場合には、名義変更を行う必要があります。また、賃貸借契約や取引先との契約についても、個人名義の契約ですので、関係先に連絡をして、新たに契約を締結し直す必要があります。

4、個人事業主が事業承継する際にかかる税金

個人事業主が事業承継をする際には、以下の税金がかかります。

  1. (1)贈与税

    事業承継の方法として贈与を選択した場合には、贈与税が課税される可能性があります。贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間の贈与額が基礎控除の110万円を超える場合に課税されます。贈与額の計算は、贈与財産の価額から債務負担額を控除して計算します。

    なお、現経営者が60歳以上であり、かつ後継者が20歳以上の子どもや孫であるときには、相続時精算課税制度による贈与を選択することもできます。相続時精算課税制度は、多額の資産を贈与する場合に、贈与税負担を軽減する効果がありますが、相続時の相続税との比較検討も必要になるため、詳しくは専門家に相談をしながら判断するようにしましょう。

  2. (2)所得税

    事業承継の方法として事業譲渡(M&A)を選択した場合には、事業譲渡によって得た対価については所得税が課税されます

    また、事業を承継した後継者は、承継後に得た事業所得に対して所得税が課税されます。

  3. (3)相続税

    事業承継の方法として相続を選択した場合には、現経営者の死亡後その相続財産の金額に応じて相続税が課税されます。相続税については、3000万円+600万円×相続人の人数が基礎控除額とされていますので、基礎控除額を上回る場合に、相続税が課税されることになります。

  4. (4)消費税

    事業承継の方法として事業譲渡(M&A)を選択した場合には、譲渡した財産の種類によって消費税が課税されることがあります。

    事業承継の方法として贈与や相続を選択した場合には、事業承継自体で消費税が課税されることはありませんが、2年前の年間課税売上高が1000万円を超える場合には、消費税を支払わなければなりません

    贈与の場合には、承継者の事業年度を基準にすることになりますが、相続の場合には、被承継者の納税義務も相続することになりますので、被承継者が消費税の課税業者だとすると、承継者が消費税を支払わなければならないこともあります。

5、個人事業主の事業承継で弁護士がサポートできること

個人事業主の事業承継を検討している場合には、弁護士によるサポートを受けながら進めていくことをおすすめします。

  1. (1)煩雑な承継手続のサポートを受けることができる

    個人事業主の事業承継にあたっては、当事者間の事業承継の契約だけでなく、関係機関や自治体への各種届け出が必要となってきます。

    事業承継にあたって必要となる契約や書類などを正確に理解している方は少ないといえますので、このような専門的な手続きについては弁護士に相談しながら進めるのが安心です。届け出によっては、提出期限が決まっているものもありますので、早めに行動することが必要です。

  2. (2)適切な事業承継手段の選択ができる

    個人事業主の事業承継の方法としては、主に、事業譲渡(M&A)、贈与、相続の三つがあります。いずれの手段にもメリットとデメリットがありますので、事業内容や後継者の候補者などそれぞれの個人事業に応じた適切な内容を選択していく必要があります

    ベリーベスト法律事務所では、弁護士だけでなく税理士も所属していますので、法律面からだけではなく、税金面からもベストな事業承継方法をアドバイスすることが可能です。個人事業主の事業承継では、さまざまな税金がかかりますので、個人版事業承継税制の検討などしっかりと対策をすることが重要です。

6、まとめ

個人事業主の事業承継では、法人とは異なる点が多々ありますので、その特徴をしっかり理解した上で行っていく必要があります。

事業承継を適切に行っていくためには、専門家の関与が必要不可欠ですので、個人事業主の事業承継をお考えの方は、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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