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失火罪と重失火罪の違いは?岡山の弁護士がわかりやすく解説

2021年08月02日
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失火罪と重失火罪の違いは?岡山の弁護士がわかりやすく解説

平成27年、岡山県の隣の広島県では、元飲食店店長が店内の虫をガスバーナーで駆除しようとしたところ、この火が延焼しビルが燃えるという事件がありました。重過失失火と重過失致死傷の罪に問われた元飲食店店長に対して、広島高裁は令和3年4月、禁錮3年、執行猶予5年とする一審の地裁判決を支持したため、被告側は即日上告しています。

失火に関する事件はときどきニュースでも耳にしますが、失火罪と重過失失火罪にはどのような違いがあるのでしょうか。今回は、岡山オフィスの弁護士が失火罪の概要や重失火罪との違い、民事上の責任や刑事罰、逮捕後の流れを解説します。

1、失火罪とは

失火罪とは刑法116条に規定されている犯罪です。失火によって現住建造物等又は、他人所有の非現住建造物等を焼損した場合等に、50万円以下の罰金に処すると規定されています。
失火とは、放火とは異なり「過失」で火災を発生させることをいいます。他人の家を燃やす目的で、ガソリンをまいて火をつける行為は「放火」です。しかし、自宅でたき火をしていて他人の家に火が燃え移ったような場合は、故意ではなく過失であるため「失火」となります。

2、重過失失火罪と業務上失火罪、失火罪との違いは?

失火罪と同じ失火に関する罪は、「重過失失火罪」と「業務上失火罪」です。
重過失失火罪とは、ほんの少しでも注意しておけば回避できた失火に適用される罪です。業務上失火罪は、業務上必要な注意を怠ったことにより失火をしてしまった場合に適用されます。重過失失火罪も業務上失火罪も、失火罪よりも刑罰が重く、3年以下の禁錮または150万円以下の罰金と規定されています。

失火罪には禁固刑はありませんが、重過失失火罪には3年以下という禁錮刑が規定されています。失火罪と重過失失火罪の差は、起きた火災の大きさではありません。「火災が起きることが容易に想定できるのに注意を払わなかった」、「火災が起きたら延焼する可能性が高いのに慎重に行動しなかった」、などのケースが重過失失火罪に問われるおそれがあります。

たとえば、「ガソリンスタンドでたばこを吸った」、「たばこの火を消さずに自宅の庭に捨てた」、「揚げ物をしている最中に外出した」などのような事例です。冒頭で紹介した、「虫をガスバーナーで駆除しようとした」という事件も、屋内で虫に向かってガスバーナーを利用することは火災のリスクが高いと容易に判断できることから、重過失失火の罪に問われていると考えられます。

なお、平成29年には長野県で蜂の巣を駆除しようとして県指定文化財のかやぶき屋根の軒下で殺虫剤を使い、煙を発生させる駆除用品に点火し、誤って建物に燃え移らせてしまった男性が重過失失火罪で起訴されています。

3、失火罪で問われる民事上の責任

不注意により火災を発生させて他人の財物に損害を与えた場合、民事上の責任を負う可能性もあります。通常の失火であれば、「失火責任法」という法律により、失火による不法行為に基づく損害賠償責任は発生しないとされています。しかし、重大な過失による失火の場合は、不法行為に基づく損害賠償責任が生じるとされています。

失火責任法における重大な過失と、刑法の重過失失火罪における重大な過失は同一ではないものの、刑事裁判で重過失失火罪が有罪になれば、民事上の責任も負わなければならない可能性が高いといえます。民事上の責任とは、失火によって被った損害の損害賠償です。燃えたものの復元費用や、時価額などを被害者に支払うことになります。

4、火事で人を死亡させてしまった場合の刑事罰

失火によって、人を死亡させてしまった場合は、上記の失火罪や重過失失火罪だけでなく、他の罪にも問われることになります。被害者が死亡してしまった場合は「重過失致死傷罪」や「過失致死罪」に問われます。被害者が怪我をした場合は過失傷害罪です。

重過失致死傷罪の刑罰は5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金です。過失致死罪の刑罰は50万円以下の罰金としています。過失傷害罪は30万円以下の罰金または過料に処すると規定されています。

失火は故意ではなく、過失によるものなので被害者が死亡した場合でも重罰が科されるというわけではありませんが、重過失致死傷罪に問われれば懲役刑が命じられる可能性は大いにあります。重過失失火罪に問われるような、重大な過失によって引き起こされた火災によって他人が死亡した場合は、重過失致死傷罪が適用されるおそれがあるでしょう。

5、失火罪・重過失失火罪で逮捕された後の流れ

ここでは、失火罪や重過失失火罪で逮捕された場合の流れを解説します。

●逮捕後最長48時間の身柄拘束と取り調べ
失火罪や重過失失火罪で逮捕されると、まずは警察によって身柄を拘束されます。警察による身柄拘束は最長で48時間続き、この間は原則、家族と面会することもできません。面会ができるのは弁護士のみです。警察では取り調べが行われ、取り調べで自白した内容は供述調書としてまとめられ、起訴の判断や訴訟などで重要な証拠として取り扱われます。したがって、逮捕後の取り調べでは、慎重に対応をしなければなりません。

●検察官による取り調べと裁判官による勾留の判断
警察による取り調べが終わると検察官に身柄が引き渡されます。検察官は、警察の取り調べの内容や自身の聴取などをもとに起訴するか、不起訴とするのか判断します。引き続き捜査が必要だと判断する場合は、被疑者を勾留することを検討します。勾留とは、最長20日間に及ぶ身柄拘束のことです。証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断されると、検察官は裁判官に対して勾留請求を行い、裁判官が認めれば勾留が決定します。なお、検察官は24時間以内にこれらの手続きを行います。

●勾留と起訴・不起訴の決定
検察官が起訴すると判断した場合は刑事裁判へと進みます。不起訴になると身柄は解放されます。
起訴されると保釈請求が可能になり、保釈請求が認められれば、保釈金を支払うことで一時的に身柄が解放されます。
保釈請求が認められなければ裁判が終了するまでの期間、身柄拘束が続きます。逮捕から計算すると、半年から1年以上も身柄が拘束され続けることも少なくありません。勾留が長期にわたる場合、退職や退学を余儀なくされる可能性が非常に高く社会的なダメージは計り知れないでしょう。

●刑事裁判
失火罪や重過失失火罪に問われて刑事裁判が開かれた場合、非常に高い確率で有罪判決が言い渡されます。日本での刑事裁判の有罪率は99.9%であり、有罪を免れることは困難です。

6、重過失失火罪で家族が逮捕されたらすべきこと

もしも身内が重過失失火罪の疑いで逮捕された場合、残されたご家族が早期にすべきことは、弁護士を探し、弁護を依頼することです。ここでは、刑事事件において弁護士ができることを解説します。

●家族が面会できない期間に弁護士が接見し適切なアドバイスを行う
逮捕から勾留が決定するまでの間は原則、家族であっても面会することができません。しかし弁護士であれば時間に制限がなく、接見することができます。取り調べを通じて作成される供述調書は、刑事裁判になった際には重要な証拠となるため取り調べ中の発言や対応には細心の注意を払わなければなりません。しかし、取調室という閉鎖的な環境で厳しい取り調べが続けば、心が折れそうになったり自分に不利な供述をしてしまうこともあるものです。そのような取り調べに対して弁護士は、どのように対応すべきかといったアドバイスをしたり、精神的なサポートをしていきます。

●不起訴処分獲得や勾留阻止に向けた弁護活動を行う
日本の刑事裁判の有罪率は99.9%と非常に高く、無罪判決を勝ち取ることは容易ではありませんが、実は起訴率は高くありません。起訴されなければ事件は終了となるため、日常生活に戻ることができます。起訴、不起訴が判断される前であれば弁護士は不起訴処分の獲得に向けて、弁護活動を行います。
もし、起訴された場合には、保釈請求や勾留取消請求を行い、身柄の解放に向けて活動します。

●刑罰の減軽に向けた弁護活動
失火による被害が広範囲にわたっている場合は、不起訴処分の獲得は難しいケースもありますが、弁護士の活動により、執行猶予付き判決の獲得などの結果が期待できます。重過失失火罪によって有罪判決を言い渡されても、執行猶予が付けば刑務所に行く必要はありません。弁護士は刑事裁判までに被害者がいるのであれば示談成立に向けて動いたり、酌むべき事情がある資料を収集し、裁判で主張するなど行い、少しでも刑が軽くなるよう尽力します。

7、まとめ

重過失失火罪は、禁固刑も規定されている犯罪です。失火罪よりも罪が重く、損害賠償義務が発生するおそれもあります。また、失火によって死傷者が出た場合は、過失傷害罪や過失致死傷罪などに問われることも少なくありません。重過失失火罪で逮捕された影響を最小限におさえるためには弁護士による弁護活動がかかせません。
刑事事件は早期に対応することが重要です。失火罪や重過失失火罪を犯してしまい弁護士を探されているようでしたらベリーベスト法律事務所 岡山オフィスまでご相談ください。弁護士が力になります。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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