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ギャンブルが原因の借金を自己破産することは可能なのか

2022年09月12日
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ギャンブルが原因の借金を自己破産することは可能なのか

裁判所が公表している司法統計によると、令和2年に岡山地方裁判所に新たに申立てのあった破産事件の件数は、1056件でした。岡山県内でも多くの方が借金の返済に困り、自己破産を選択していることがわかります。

借金する原因は人それぞれですが、パチンコ、競馬、競輪、オンラインカジノなどギャンブルが原因で多額の借金を抱えてしまう方もいます。このようなギャンブルでの借金については、破産法上の免責不許可事由に該当しますので、原則は、破産申し立てをしたとしても借金をゼロにすることができません。

しかし、ギャンブルのような免責不許可事由に該当する場合でも免責を受けることができるケースや自己破産以外の方法で借金を整理することが可能なケースもあります。今回は、ギャンブルが原因の借金を債務整理する方法について、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスの弁護士が解説します。

1、自己破産とは

自己破産とは、借金の返済ができなくなってしまった場合に、裁判所に申立てをして、免責決定を受けることによって、借金をゼロにすることができる手続きです。自己破産をすることによって、借金の返済をする必要がなくなりますので、多額の借金を抱えている方にとっては、借金問題を解決する手段として非常に有効な手段となります。

ただし、一定以上の資産を有している方は、自己破産の手続きにおいて、資産を手放さなければならないというデメリットがあります。

生活に不可欠な財産については、処分の対象にはなりませんが、預貯金、車、不動産などを所有している場合には、それを処分して債権者への返済にまわさなければなりません。

2、ギャンブルを理由に自己破産はできる?

それでは、借金をした原因がギャンブルにある場合でも自己破産をして借金をゼロにすることができるのでしょうか。

  1. (1)ギャンブルは免責不許可事由にあたるため原則として免責を受けられない

    自己破産をすれば借金がゼロになると思っている方が多いですが、正確には、自己破産をして「免責決定」を得ることによって、はじめて借金をゼロにすることができます。そのため、借金がゼロになるかどうかは、裁判所から免責決定を受けることができるかがポイントとなります。

    免責決定は、誰でも無条件で受けられるわけではなく、破産法上の免責不許可事由に該当する場合には、免責決定を受けることができないとされています。破産法252条で挙げられている免責不許可事由は以下のとおりです。

    • 不当な破産財団価値減少行為
    • 不当な債務負担行為
    • 不当な偏頗(へんぱ)行為
    • 浪費または賭博その他の射幸行為
    • 詐術による信用取引
    • 業務帳簿隠滅等の行為
    • 虚偽の債権者名簿提出行為
    • 調査協力義務違反行為
    • 管財業務妨害行為
    • 7年以内の免責取得など
    • 破産法上の義務違反行為


    このうち、ギャンブルは、「浪費または賭博その他の射幸行為」に該当します。そのため、ギャンブルによって多額の借金を抱えた場合には、免責不許可事由に該当しますので、原則として、裁判所による免責決定を受けることはできません

  2. (2)裁量免責が認められればギャンブルの借金も免責される

    ギャンブルが免責不許可事由に該当するからといって、自己破産の手続きを諦めてしまう必要はありません。破産法では、免責不許可事由に該当する場合であっても、裁判所の裁量によって免責をすることを認めています。これを「裁量免責」といいます。

    裁判所の裁量免責を受けることによって、ギャンブルによる借金であっても免責が認められる可能性があるのです。

    裁判所が裁量免責を認めるかどうかは、以下のような事情を考慮して判断されます。

    • 免責不許可事由の内容、程度
    • 支払不能に至った原因
    • 支払不能時から現在に至る経過
    • 破産者の反省の有無・内容
    • 債権者が被る不利益の程度、内容
    • 免責についての意見
    • 自己破産手続への協力の有無・程度


    免責不許可事由に該当する事情があった場合でも、裁量免責によって免責を認めてもらうことができるケースが圧倒的に多いのが実情です。裁量免責も認められず、免責不許可になってしまうのは、相当悪質な事案に限られるといえるでしょう。

    なお、自己破産の手続きには、同時廃止と管財事件という2つの手続きがあります。ギャンブルが主な借金の原因であった場合には、免責を認めてよいかどうかについて破産管財人による調査が必要となりますので、必ず管財事件となります。管財事件になった場合には、裁判所に納める予納金が高額になる点に注意が必要です。

3、他の債務整理も検討しよう

ギャンブルの程度によっては、裁量免責を受けることができない可能性もあります。そのような場合には、自己破産以外の債務整理も検討しましょう。

  1. (1)任意整理

    任意整理とは、個々の債権者との交渉によって、借金の減額、将来利息のカット、支払い方法の見直しなどを求めていく手続きです。

    任意整理は、自己破産とは異なり、裁判所を介することなく債務整理を行うことができます。そのため、債務整理の対象に含めたくないローンや保証人が付いている借金などがある場合には、それを除外して手続きを進めるということも可能です。

    もっとも、任意整理は、債権者との合意によって行う債務整理ですので、自己破産とは異なり、借金をゼロにすることはできず、大幅な借金の減額をすることもできません。

    そのため、長期の分割払いによっても返済が難しいほどの借金がある場合には、任意整理の方法では解決が難しいといえるでしょう。

  2. (2)個人再生

    個人再生とは、裁判所に申立てをして、再生計画の認可を受けることによって、借金の総額を大幅に減額し、減額後の借金を原則3年(最長5年)で返済していく手続きです

    任意整理とは異なり、法的な債務整理の方法ですので、個人再生の要件を満たせば、債権者の合意がなかったとしても借金を減額することが可能です。また、住宅ローンの負担のある自宅を所有している場合には、住宅ローン特別条項を利用することによって、自宅を手放すことなく借金を減額することもできます。

    そして、個人再生には、自己破産のような免責不許可事由に該当する規定は存在しませんので、ギャンブルが原因の借金であったとしても、個人再生の手続きを利用して借金を減額することが可能です。そのため、裁量免責を受けることが難しいと考えられる場合には、当初から個人再生の申立てをした方がよいケースもあるといえます。

4、借金問題は弁護士へ相談を

借金問題でお悩みの方は、一人で悩むのではなく弁護士に相談をすることをおすすめします。

債務整理の方法には、任意整理、自己破産、個人再生の3種類があります。

  • 任意整理には、借金をゼロにしたり、大幅に減額したりすることは難しいものの、柔軟な対応が可能という特徴があります。
  • 自己破産には、一定以上の資産を手放さなければならないというデメリットがありますが、借金をゼロにすることができるという特徴があります。
  • 個人再生には、借金を大幅に減額することができ、かつギャンブルが借金の原因であっても利用することができるという特徴があります。


このように、債務整理の方法には、それぞれ異なる特徴がありますので、どの債務整理の方法が最適であるのかは、借金の経緯、負債総額、資産内容、収支状況などを踏まえて判断しなければなりません。このような判断を適切に行うことができるのは、債務整理の経験豊富な弁護士だけですので、まずは弁護士に相談をしましょう。

5、まとめ

ギャンブルが原因で作った借金であっても、自己破産によって解決することが可能です。「ギャンブルが原因だから自己破産はダメだろう」と諦めてしまう前に、まずは、弁護士に相談をするようにしましょう。

ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスでは、お客さまのご希望やご状況に合わせて、最適な債務整理の方法をご提案いたします。借金でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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