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元配偶者の祖父母に養育費の支払い義務は? 請求することは可能?

2020年10月21日
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元配偶者の祖父母に養育費の支払い義務は? 請求することは可能?

厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、母子世帯における養育費の受給状況として、「養育費を受け取ったことがない」と回答した人が56.5%となっています。

離婚後の子どもの成長のために大事な資金である養育費ですが、元結婚相手の金銭的状況などによっては、養育費を受け取れないことも十分にあり得るのです。そこで、今回は子どもの養育費を、元配偶者の祖父母から受け取れるのかについて、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスの弁護士が詳しく解説します。

1、養育費の回収はできる?

  1. (1)養育費の根拠

    養育費とは、未成年者の子どもを育てていくためにかかるお金のことであり、法的に扶養義務がある親が支払義務を負うものです。具体的には、衣食住にかかる費用、教育にかかる費用、医療費、お小遣いなど生活にかかわるあらゆる費用を含みます。

    親が結婚している間には、双方の親が親権を持っており、また、共同して子どもを養育します(共同親権)。夫婦が離婚するときには、親権は夫婦のどちらか一方に定めなければならないため、夫婦のどちらかは必ず親権を失うことになります。

    しかし、親権を失っても、親子であることには変わりありません。

    そして、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」(民法877条1項)という法律を根拠に、親は子どもを扶養していく責任を負い続けます。この扶養義務を具体化したものが、養育費の支払い義務です。

    この場合、親権者は、毎日の食事や衣服など、子どもの生活費を支出し、子どもの世話という家事労働を担います。一方、親権者ではない親は、養育費を支払うことで扶養義務を果たすことになるのです。そのため、親権者は親権者ではない親に対して、養育費を請求することができます。

  2. (2)養育費の取り決め方

    離婚する際に、親権とともに、今後の養育費を定めておくことが親権者にとって重要です。養育費の具体的な金額や支払い方法を決めずに離婚してしまうと、その後の回収が困難になります。

    離婚した後に親権者ではない親が行方不明になってしまったり、連絡先がわからなくなったりすることはよくあることといえます。たとえ時間がかかっても、離婚する際には必ず以下のポイントを押さえて、公正証書により養育費の取り決めを明確にしておきましょう。

    • いつまで……子どもが何歳になるまで
    • いくら……毎月いくら
    • どうやって……支払い口座の指定など


    どうしても夫婦で話し合いができない場合には、家庭裁判所で養育費支払の調停を起こして、きっちりと調停調書にしてもらうべきです。

    もしも調停を起こしても相手が支払いに応じない場合には、家庭裁判所の家事審判という制度で、適切な金額を定めてもらうことができます。この場合、養育費は、お互いの年収、子どもの年齢と人数などを基礎にして算定されます。

  3. (3)養育費の支払いは止まることがある

    養育費の支払いに関する夫婦間の取り決めや、家庭裁判所での調停調書まで作ったにもかかわらず、相手が養育費を支払わない場合もあります。最初の何回かは支払ったけれども、そのうち支払いが止まってしまったということもあるでしょう。

    養育費は、長ければ20年近くの支払いになりますので、最後まで払ってもらうのはなかなか大変なことです。とはいえ、子どもを育てるためにはお金がかかります。

    子どもの年齢が上がるにつれて教育費も上がっていきますので、ますます親権者の負担は大きくなります。養育費の支払いが止まると生活に困る場合もあるため、あきらめてはいけません。

  4. (4)支払いが止まったときの手段

    相手が養育費の支払いに応じない場合、考えられる主な手段は以下の2つです。

    ①履行勧告
    家庭裁判所での調停や審判で金額が決まっている人は、まず、その家庭裁判所に連絡しましょう。家庭裁判所には、相手に対して支払いを行うように無料で連絡してくれる「履行勧告」という制度があります。

    履行勧告では、相手に対して電話や封書で、裁判所で決めた養育費を支払う旨の通知を行います。これには強制力はありませんが、裁判所から連絡があれば、焦って支払いを開始する人もいるため、ある程度の効果は期待できるでしょう。

    相手の支払いが止まったら、まずは履行勧告を家庭裁判所に申し出てみてください。ただし、家庭裁判所を通さずに、夫婦間で取り決めをした人や、公正証書での取り決めしかしていない場合には、履行勧告は使えません。

    ②強制執行
    履行勧告は法的な強制力がないため、相手が無視すれば、強制的に養育費を回収することはできません。

    ここで取るべき手段は、強制執行手続きです。強制執行は、相手の給料や預金、不動産などの財産を差し押さえて、養育費相当分を回収する手続きです。

    強制執行をするためには、強制執行を受けてもかまわない旨の記載がある公正証書(強制認諾文言付き公正証書)、家庭裁判所の調停調書、審判などが必要です。当事者同士だけで作った協議書では強制執行はできないのでご注意ください。

    また、強制執行をしても、相手名義の財産が実際になければ意味がありません。たとえば相手が無職で収入がない、相手名義の不動産も預金もないという場合は強制執行をしてお金を回収することはできません。養育費を支払いたくないために、周到にお金を隠す人もいますし、新型コロナの影響などで大きな経済的打撃を受けた人や、失職したり、収入が激減したりした人もいるでしょう。

    養育費の支払いは親の義務ではありますが、実際にない袖は振れないわけで、お金が現実になければどうしようもないというのが実態です。強制執行にはそれなりの費用と手間がかかるため、せっかく執行手続きをしたのに相手の財産が空っぽで空振りをしてしまうと、ダメージが大きくなります。

    それでは、このように、相手から養育費を受け取れず、強制執行でも回収できないというとき、親権者ではない親の親、子どもにとっての祖父母に養育費の支払いも求めることはできないのでしょうか?

2、元配偶者の祖父母に養育費の支払い義務はある?

  1. (1)支払ってほしいと頼むのは自由

    相手が養育費を支払ってくれない場合に、相手の親である祖父母に対して請求をしたいと思う人も多いでしょう。この場合、支払ってほしいとお願いしてみること自体は自由です。それで、祖父母が払ってくれれば問題はありません。

    離婚しても孫は孫ですから、祖父母と孫の関係がよく、離婚後も交流を続けているような場合には、祖父母が代わりに支払ってくれる場合もあるでしょう。問題は、祖父母が支払いをしてくれない場合、法的に、祖父母に養育費の支払い義務はあるのかという問題です。

  2. (2)祖父母に養育費支払い義務はあるか

    原則として養育費とはあくまで親の子どもに対する義務ですから、相手の両親には、孫の養育費を支払う義務はないとされています。言い換えれば、祖父母が支払いに応じなければ、法的には対処のしようがありません。

    たとえ祖父母が裕福で、生活にかなりの余裕がある場合でも、法的な結論は変わりません。ただし、例外的に相手の両親に養育費相当額を請求できる場合があります。

  3. (3)例外的に祖父母に養育費相当額を請求できる場合とは

    祖父母が養育費支払い義務の連帯保証人になっている場合、例外的に祖父母に養育費相当額を請求することができます。

    扶養義務はどの親でも必ず有していますが、具体的な金銭としての養育費支払義務は、夫婦間での取り決めによって、法的な債務となります。そして、その取り決めにおいて、支払う側が負う養育費の債務について、祖父母が連帯保証をしていれば、祖父母に養育費相当額の支払いを求めることが可能です。

    もちろん、この保証もれっきとした契約ですから、夫婦だけの署名押印では祖父母に対して効力を持ちません。祖父母が自分の意思で保証することが明白な内容で、それに自ら署名押印した場合に限って、祖父母に養育費の保証人として支払いを請求することが法的に可能となるのです。

3、生活扶助義務に基づく請求が可能な場合

養育費ではなく、生活扶助義務という民法上の規定に基づいて、子どもの生活にかかる費用を祖父母に請求できる場合があります。

生活扶助義務とは、自分自身に経済的余裕がある場合に、扶養すべき相手が健康で文化的な生活を送れるように援助する義務のことをいいます。

混同しがちなものとして生活保持義務がありますが、これは、夫婦や親子関係だけで認められ、たとえ生活が苦しい状況であっても、自分と同じ程度の生活レベルを相手にも提供する義務です。

これに対して、生活扶助義務は、まずは自分の生活をしっかり確保し、それでも余裕があれば、近しい親族には助けを差し伸べることを求めています。

したがって、祖父母が生活にゆとりがあり、自分たちの生活を維持するには余るだけの経済的余裕があるならば、生活扶助義務に基づいた請求ができる場合があります。

4、元配偶者の祖父母へ養育費を請求する流れ

  1. (1)まずは話し合いを

    実際に祖父母に請求をするとなったら、何から始めればよいか迷うでしょう。望ましいのは、大きな紛争にならないでスムーズに支払いをしてもらうことです。したがって、いきなり裁判所に訴えるなどの方法をとるよりは、まず、子どもを育てる環境について、祖父母と話し合う機会を持つように連絡してみることをおすすめします。

    できるだけ丁寧に祖父母に現状を知らせ、あくまで孫の健やかな成長のために相談する心づもりで連絡を取りましょう。孫の将来の夢や今の様子、頑張り具合などをしっかり知らせることも大切です。

    また、祖父母に話をする際には、養育費の支払いが行われていないため大変苦労していることもきちんと伝えましょう。それによって、祖父母から自分の子ども(孫の親)に対して、支払うよう説得してくれる可能性もあります。

    あくまで本来の養育費支払い義務は祖父母ではなく孫の親にあることを、祖父母との間でも確認し、そのうえで、どうしたら子どものためになるのかを一緒に話し合う関係を作りましょう。

    そして、祖父母が支払いをしてくれることになったら、後からもめごとにならないように、書類を作成したほうがよいでしょう。

  2. (2)折り合いがつかない場合

    祖父母と話し合っても折り合いがつかない場合、または、話し合い自体ができない場合には、祖父母に対して支払いを求める調停手続きを申し立てるしかありません。申し立て先は家庭裁判所です。

    この場合、親は、子どもの法定代理人として申し立てを行い、調停を申し立てると、家庭裁判所から相手祖父母に対して呼び出しがされます。

    そして調停の日には、調停委員により、調停委員が申立人である親権者と、相手方である祖父母の主張や事情を聴きとられます。相手方と申立人は原則として同席することはありません。

    ポイントとなるのは、養育費の支払い状況や子どもの様子、生活にかかる費用、養育している親権者の収入や仕事の状況、そして、祖父母の経済状況などです。

    1回の期日でお互いの納得がいく合意に至れば、その内容で調停が成立することもありますが、話し合いがまとまらなければ何回か期日をもうけてお互いの譲歩点を探り、合意の成立を目指すことになります。

    当事者の意見だけでは合意ができなければ、調停委員から双方に対して解決案が提示され、双方がその解決案に納得すれば、その内容で調停が成立します。それでも合意に至らない場合は、自動的に審判手続きに移行し、最終的に裁判官が判断を下し、支払い義務があるかどうか、ある場合にはいくら払うかを決定することになります。

5、まとめ

親が離婚をした子どもにとって、離れて暮らす親が養育費をきちんと払ってくれるかどうかは大変重要なポイントです。離婚時に決めたはずの養育費を支払わないままの親、途中まで支払っていつしか支払いを止めてしまう親、払いたくても収入が減って払えなくなる親も、残念ながら少なくありません。

養育費の不払いは社会問題化しており、特に、新型コロナによる社会不況は、現実に失業者を増やしています。それでも、子どもにかかる費用が減るわけではありません。
どうしても相手が養育費の支払いに応じない場合、履行勧告、強制執行、祖父母への保証人としての請求、そして、生活扶助義務としての祖父母への請求などを行うのもひとつの手です。

養育費の不払いで悩んでいる方は、迷わず弁護士にご相談することをおすすめします。ベリーベスト法律事務所では、養育費の回収問題に豊富な経験をもつ弁護士が多数在籍しています。お困りの方は、大切なお子さんの未来のためにも、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスの弁護士に、お早めにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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