会社名義の資産は離婚時の財産分与の対象になり得るのか!? 岡山オフィスの弁護士が解説
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岡山県では、平成28年には3245組の夫婦が離婚しています。
離婚の際には夫婦の財産を清算する財産分与が行われますが、会社名義の資産が財産分与の考慮の対象になり得るかが問題になることがあります。
というのも身内で会社を経営しているような場合には、夫婦の財産と会社の財産を明確に区別していないことも多いためです。
本コラムでは、会社名義の資産は離婚するとき財産分与の考慮の対象になるのかといったテーマでベリーベスト法律事務所 岡山オフィスの弁護士が解説していきます。
1、財産分与とは
財産分与とは、離婚に際して夫婦が婚姻期間中に築き上げた財産をそれぞれの貢献の度合いに応じて分配する制度です。
「貢献の度合い」というと、収入という形で貢献度が図りにくい専業主婦の場合などには、財産分与が夫より少なくなってしまうのではないかという懸念をもたれることも多いものです。
しかし夫が収入を得るために、妻は家事や育児を負担するなどして財産形成に貢献してきたと考えられます。
実際に現在の裁判例や実務では、貢献の度合いは夫婦それぞれ半分ずつと考えて分配されることが多くなっています。
2、会社名義の資産は財産分与の考慮の対象になる?
会社を経営する夫と離婚することになった場合、夫の会社名義の資産は財産分与の対象に含まれるのでしょうか。
会社名義の資産が財産分与の対象に含まれない場合と財産分与に含まれる場合があるので、それぞれご説明していきます。
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(1)財産分与の考慮の対象にならない場合
法人である会社の資産は、個人的な夫婦の財産と分けて考えるべきものです。
そのため原則として、会社名義の資産は財産分与の考慮の対象とはなりません。
経営者の離婚という私的な問題によって会社の資産に変動があるとすれば、会社の取引先や従業員などに不利益を生じさせてしまうおそれがあります。 -
(2)財産分与の考慮の対象になる場合
例外として、会社名義の資産が実質的に夫婦の財産といえる場合には財産分与の考慮の対象に含まれることがあります。
たとえば夫婦で会社を経営していたような場合には、税金対策などで会社名義の資産にしているケースが多いものです。
このような場合には、会社名義の資産が財産分与の考慮の対象に含まれる可能性があります。
判例でも夫婦のみで経営していた同族会社という事情が重視され、会社の資産も財産分与の対象に含まれると判断しているものがあります。
3、財産分与の考慮の対象になる財産・考慮の対象にならない財産とは?
財産分与の考慮の対象になる財産・対象にならない財産には、主に次のようなものが挙げられます。
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(1)考慮の対象になる財産
財産分与の考慮の対象になる財産は、夫婦が婚姻期間中に築き上げた財産です。
したがって、マイホームなどの不動産や自動車などの動産、預貯金や有価証券などの財産はすべて含まれるのが原則です。
そして、これらの財産の名義が夫婦のどちらの名義になっているかは問題となりません。
また、プラスの財産だけでなく住宅ローンや自動車ローンなどのマイナスの財産に関しても財産分与の考慮の対象に含まれます。 -
(2)考慮の対象にならない財産
財産分与の考慮の対象にならない財産には、夫婦の一方が婚姻前に築いていた財産や、相続や贈与によって取得した財産があります。
これらの財産は、夫婦が婚姻期間中に築き上げた財産には当てはまらないため財産分与の考慮の対象となりません。
4、財産分与を決めるべきタイミング
財産分与は、離婚後2年を経過すれば請求できる権利が消滅してしまいます。
そのためどのような財産を分与するかは、離婚後2年以内に決める必要があります。
しかし、離婚してからは、互いに連絡を取る機会も少なくなって話が進まなかったり、対象財産を相手に処分されてしまうといった事態が考えられます。
したがって財産分与は、離婚成立前にしっかりと取り決めておくことが大切でしょう。
5、財産分与はどのような方法で決める?
財産分与については、次のような方法で取り決めていきます。
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(1)話し合いで決める
財産分与は、当事者である夫婦の話し合いで自由に決めることができます。
話し合いで財産分与について合意できた場合には、必ず書面に残しておくことが重要です。
公証人役場に行って合意内容を強制執行認諾文言付き公正証書にしておくと、取り決めた財産が支払われなかった場合でも差し押さえなどの強制執行をスムーズに行うことができます。 -
(2)調停で決める
財産分与は、離婚成立前であれば離婚調停の中で話し合うことができます。
また離婚成立後は、財産分与請求の調停を申し立てることができます。
財産分与請求の調停では、当事者である夫婦が調停委員を交えて話し合います。しかし話し合いがまとまらなければ、自動的に審判手続が開始され審判で決まることになります。 -
(3)離婚訴訟の中で決める
離婚成立前に財産分与を決める場合には、離婚訴訟の中で決めることもできます。
訴訟では当事者である夫婦双方の主張を踏まえた上で、裁判所が判決によって財産分与についての結論を示すことになります。
6、財産分与でもめたらどうすればいい?
財産分与は本来夫婦が納得できれば自由に決めることができるものです。しかし、お互いに冷静に話し合いを行う状況になく、財産分与をめぐって争いが起こることも少なくありません。
そういった場合には、弁護士に相談することを検討するとよいでしょう。
弁護士は代理人として相手側と話し合い、調停や訴訟になった場合でも対応することができるので、財産分与の問題を有利に解決することができます。
財産分与の問題を弁護士に相談した場合、弁護士ができることやメリットを、次の章で挙げていきます。
7、財産分与を弁護士に相談するメリット
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(1)対象財産の調査を行い、見落としを防ぐ
財産分与を弁護士に相談した場合、弁護士は相手の財産の調査を行って対象財産から見落とされている財産がないかチェックします。
そのため相手に隠し財産があるような場合でも見つけ出せる可能性が高まるので、結果として適正な財産分与額を算出できることになります。 -
(2)適正な財産分与の金額が分かる
複雑な権利関係の不動産や、財産が財産分与の対象となり得るのかといった判断に迷う場合にも、弁護士に相談すれば適正な財産分与の金額を導いていくことができます。
離婚の際には、決めなければならないことはたくさんあるので、財産分与の金額の算出については弁護士に任せることで精神的な負担を軽減することにつながります。 -
(3)交渉によって財産分与の金額が上がる可能性がある
弁護士は、豊富な知識と経験をもって相手との交渉にのぞみます。
弁護士は、高い交渉力でご相談者にとって有利な財産分与になるように交渉を進めます。
そのため財産分与の金額をアップさせられる可能性が高まります。 -
(4)直接交渉する負担から解放される
離婚時には、「相手と直接話をすると感情的になってしまう」「顔を合わせたくない」などといった事情がある場合も少なくありません。
しかし弁護士に相談すると、弁護士に相手との話し合いを任せることができます。
そのため、相手と直接交渉する負担から解放されることになります。 -
(5)離婚問題全般を有利に進められる
離婚の際には、財産分与だけでなくさまざまな問題を取り決めて整理していく必要があります。
弁護士は、慰謝料や子どもの親権などの離婚問題全般にも対応することができます。
そして離婚問題全般をご相談者にとって有利に解決できるように相手と交渉していきます。
8、まとめ
本コラムでは、会社名義の資産は離婚時の財産分与の対象になるのかという点を中心に解説していきました。会社名義の資産は、会社を夫婦で経営していたような場合には財産分与の考慮の対象になる可能性があります。会社名義の資産が財産分与の対象になるかどうかで請求できる財産分与の金額は大きく異なることになるので、詳しくは弁護士に相談して進めるとよいでしょう。
ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスでは、離婚や男女問題についてのさまざまなご相談をお受けしております。離婚における財産分与問題で悩みを抱えていらっしゃる場合には、どうぞお気軽にご相談ください。弁護士がご相談者さまのお気持ちに寄り添って、解決に向けて尽力いたします。
ぜひお気軽にご相談ください。
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