親権者はどう決まる? 裁判までの流れをくわしく解説します
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岡山県庁によると、平成29年には、岡山県全体では3241組の離婚があり、人口千人あたりの離婚率は、全国平均とほぼ同様の1.72であったという統計が出ています。
しかし、離婚に至るまでには、それぞれの夫婦の抱える事情によって、当然様々な問題が生じます。たとえば、子どものいる夫婦であれば、子どもの親権が問題となることが多いものです。
日本では、離婚後は夫婦の一方が単独で親権を持つため、離婚の際には親権者を決めておかなければなりません。
そのため、夫婦間で離婚には合意していても、親権をめぐって争いになり、最終的に裁判で親権者を決めて離婚が成立するというケースも生じます。
ここでは、子どもの親権を獲得したいときに知っておくべき裁判までの流れをベリーベスト法律事務所・岡山オフィスの弁護士が解説していきます。
1、親権とは?
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(1)親権の内容
親権とは、未成年の子どもを監督保護するため、子どもの父母に認められた権利であり、義務です。
親権は、「身上監護権」と「財産管理権」の2つの種類があります。
ひとつ目は「身上監護権」です。身上監護権とは、子どもの住む場所を決めたり、子どもに教育を行ったりするなどといった権利義務のことです。
ふたつ目は「財産管理権」です。財産管理権とは、子どもの財産を管理したり、契約の締結などの財産上の行為を子どもに代わって行うなどといった権利義務のことです。 -
(2)親権者と監護者
一般的には、親権者が身上監護権と財産管理権を持ちますが、父母の一方が親権者として財産管理権だけを持ち、もう一方の父母を、身上監護権を持つ監護者として定めることも可能です。たとえば、父親の親権に服しながらも、監護者である母親のもとで暮らすといった場合です。
ただし、親権者と監護者を分けるケースは、親権争いが長引いて解決できない場合などに限られており、あまり多くはありません。
2、親権者は、どのように決まる? 裁判までの流れとは?
では、親権者はどのように決まるのでしょうか。
主な流れとしては、協議、調停、裁判の流れの中で親権者が決まります。
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(1)協議で親権者が決まる場合
父母が協議離婚するときには、その協議で父母の一方を親権者として定めなければなりません。
なお、子どもが複数いる場合には、子ども一人一人について、父母のどちらが親権者になるかを定めなければなりません。
夫婦の話し合いで、離婚と親権者について合意できれば、定めた親権者を記載した離婚届を提出して役所に受理されると、協議離婚が成立し親権者が決まることになります。
しかし、夫婦の話し合いで親権者が決まらなかった場合には、離婚の合意があったとしても協議離婚することができません。
この場合は、家庭裁判所に離婚調停の申し立てをして、その中で「親権者指定」の申し立てをすることになります。 -
(2)調停・審判で親権者が決まる場合
家庭裁判所に離婚調停を申し立てたときには、夫婦は、調停委員を交えて親権者を決めるための話し合いをします。
調停での話し合いで親権者が決まらないときには、調査官が子どもの意見を聞いたり、学校の先生から子どもの様子を聞き取るといった調査を行うこともあります。
その場合は、調査官の調査結果や意見も参考にしながら、親権者を決める話し合いがさらに進められます。
こういった離婚調停での話し合いの中で、離婚と親権者について合意できれば、調停成立時に調停離婚が成立し、親権者が決まることになります。
しかし、調停での話し合いによっても親権者が決まらなければ、家庭裁判所に離婚訴訟を提起して、離婚の判決とともに裁判所に親権者を指定してもらうことができます。
なお、離婚調停で、離婚については合意できているものの、親権者については争っている場合、夫婦が裁判所の指定に委ねる合意をしているのであれば、親権者の指定については審判を行う方法により、調停離婚を成立させることができます。 -
(3)裁判で親権者が決まる場合
家庭裁判所に離婚訴訟を提起したときには、裁判官は、原則として公開の法廷で、夫婦それぞれの主張を聞き、証拠をもとに、どちらが親権者にふさわしいかを判断することになります。
裁判は、必ず判決か和解によって結論が出る最終的な解決手段といえますが、裁判官の判断に納得できない場合でも、判決に従わなければなりません。
裁判所は、夫婦について離婚の判決を下すときには、主文に父母の一方を親権者とする旨を明記して、親権者を指定します。
裁判では、判決が確定したときまたは和解が成立したときに裁判離婚が成立し、親権者が決まることになります。
3、親権者を決める判断要素になるものとは?
話し合いで親権者が決まらなかった場合には、家庭裁判所が、審判や判決で親権者を決めることになります。家庭裁判所が親権者を決める際には、子どもの福祉に適うようにという観点から、さまざまな要素を総合的に判断します。
その判断要素となる事情や原則などには、たとえば次のようなものがあります。
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(1)現状尊重の原則
子どもが問題なく生活できていれば、その現状を尊重して継続すべきという考え方です。
これは、単純に現状を追認するということではなく、これまでの監護実績・状況と現在の監護状況を全体的にみて判断するということです。 -
(2)父母側の事情
父母側の事情として、資産や収入、住居、生活態度などの精神的・経済的家庭環境が判断要素となります。
また、父母の年齢や健康状態などの監護能力や子どもに対する愛情の度合い、親族の援助なども判断要素になります。 -
(3)子ども側の事情
子どもの年齢や性別や心身の発達状況、これまでの環境への適応状況や環境変化への適応性も判断要素になります。
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(4)子どもの意思の尊重
子どもの年齢が15歳以上であれば、手続き上において子どもの意思を聞く機会があり、子どもの意思が尊重されます。
また、15歳未満でも、子どもの意思が尊重されることがあります。 -
(5)兄弟姉妹の不分離の原則
兄弟姉妹は、同じ親のもとで監護し、離れ離れにならないようにするという原則です。
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(6)離婚後の面会交流の寛容性
子どもは両親の双方と交流して人格的成長をしていく方が好ましいという観点から、親権者となった場合に他方の親との面会に対していかに寛容になれるかという面会交流の寛容性も判断要素に含まれます。
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(7)母性優先の原則
母性優先とは母親優先という意味ではなく、特に乳幼児期の場合には、子どもに対する母性的な役割を持つ親を優先するということです。
4、親権を獲得できなかったときには
離婚の際に親権を獲得できなかったときには、その後親権を手に入れることは、非常に厳しいとされています。
ただし、親権者の死亡、親権者による虐待や育児放棄などの理由により、子どもの生活環境が悪化しているといった場合には、親権者を変更することができます。
親権者の変更については、当事者の協議では変更することができず、家庭裁判所に親権者変更の調停または審判の申し立てを行わなければなりません。
そして、家庭裁判所において、親権者になることを希望する事情や現在の親権者の意向、現在の家庭環境などの事情を考慮して話し合いが進められます。
しかし、話し合いで当事者の双方が合意できない場合には、審判で親権者の変更の可否の判断がなされることになります。
5、まとめ
ここでは、子どもの親権を獲得したいときに、知っておくべき裁判までの流れを解説していきました。
子どもの親権を獲得したいのであれば、裁判までの流れを理解して、万が一裁判になったときでも家庭裁判所の判断要素に対応できるようにしておくことは、重要なポイントといえるでしょう。
そして、より子どもの親権を獲得する可能性を高めるために、弁護士に相談することも視野に入れると良いでしょう。
弁護士は、裁判になった場合に親権を獲得できる可能性を客観的に判断し、その上で、協議や調停での話し合いを少しでも有利に進める方法をアドバイスします。
また、早い段階で弁護士に相談すれば、親権獲得の可能性を高めるため、どのようなことができるかといった対策を一緒に考えることもできます。
ベリーベスト法律事務所・岡山オフィスの弁護士は、お子さんの利益とともに、ご相談者様のお気持ちを考え、親権の獲得にむけて尽力いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています