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離婚時の預貯金の取り扱い|財産分与の対象になる預貯金とならないもの

2022年11月17日
  • 財産分与
  • 離婚
  • 貯金
離婚時の預貯金の取り扱い|財産分与の対象になる預貯金とならないもの

岡山県が公表している統計年報によると、令和2年の岡山県内の離婚件数は、2986件であり、前年よりも78件減少しています。

離婚をすることになった場合には、財産分与によって夫婦の共有財産を分けることになります。夫婦名義の預貯金についても当然財産分与の対象に含まれるとお考えの方も多いですが、実は、夫婦名義の預貯金であっても財産分与の対象に含まれないものも存在しているため注意が必要です。また、子ども名義の預貯金についても、同様に財産分与の対象になるものとならないものがあります。

そのため、財産分与をお考えの方は、どのような財産が財産分与の対象になるのかをしっかりと理解しておくことが大切です。今回は、離婚時の財産分与における預貯金の取り扱いについて、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスの弁護士が解説します。

1、離婚時の預貯金の取り扱い

離婚時の預貯金については、財産分与においてどのように取り扱われるのでしょうか。以下では、夫婦の預貯金と財産分与との関係について説明します。

  1. (1)財産分与の対象になるもの

    財産分与とは、夫婦が協力して維持・形成してきた財産を離婚時に清算する制度のことをいいます。このような財産分与の趣旨から、財産分与の対象財産は、夫婦の協力によって維持・形成された財産である「共有財産」が対象となります。

    たとえば、婚姻期間中に夫婦の収入で貯めた預貯金、生活費のやり繰りによって貯めたへそくりなどは基本的に財産分与の対象となる共有財産にあたります。

  2. (2)財産分与の対象にならないもの

    夫婦の協力とは無関係に維持・形成した財産については、財産分与の対象とはなりません。このような財産を「特有財産」といいます。

    たとえば、婚姻前に貯めた預貯金、親族から贈与された現金、親からの相続した不動産などが特有財産にあたります。

    このように、共有財産であるか特有財産であるかについては、単に当該財産の名義ではなく、その実質によって判断するという点がポイントです。

2、子ども名義の預貯金は財産分与の対象になるのか?

子ども名義の預貯金については、財産分与の対象となる共有財産に含まれるのでしょうか。

  1. (1)財産分与の対象になるもの

    財産分与の対象となる共有財産にあたるかどうかについては、当該財産の実質面で判断していくことになります。

    たとえば、子ども名義の預貯金の原資が夫婦の収入から捻出されていた場合には、口座名義は子どもであるものの実質的にみれば夫婦の財産と同視することができます。そのため、このような場合には、子ども名義の預貯金についても財産分与の対象となる財産に含まれると考えられます。

  2. (2)財産分与の対象にならないもの

    夫婦の協力とは無関係に形成された財産については、特有財産として財産分与の対象外となります。

    たとえば、子ども名義の預貯金口座の原資が祖父母や親戚からのお年玉によって形成されている場合には、夫婦の協力関係とは無関係な預貯金になりますので、財産分与の対象外となります。また、祖父母から教育資金として贈与を受けたお金や祖父母が保険料を負担している学資保険などについても同様に夫婦の協力関係とは無関係なお金ですので、財産分与の対象外となります。

    もっとも、子ども名義の預貯金は、財産分与の対象に含めるかどうかで揉めやすいものでしょう。子どもの財産であると主張する場合には、祖父母の口座から子ども名義の口座に振り込まれているなど、特有財産であることを証明する証拠を残すようにすることをおすすめします。

3、預貯金を配偶者が勝手に使い込んだ場合

それでは、離婚による財産分与前に、預貯金を配偶者が勝手に使い込んでしまった場合には、どのように対処したらよいのでしょうか。

  1. (1)預貯金が共有財産にあたる場合

    配偶者が使い込んだ預貯金が共有財産にあたる場合には、いつ使い込みをしたのかによって対応が異なってきます。

    ① 婚姻後別居前に使い込んだ場合
    財産分与の対象となる財産は、いつの時点で存在する財産が対象になるのかという「基準時」が問題になります。

    財産分与は、夫婦が協力して築いた財産を清算する制度であることから、夫婦の協力関係が終了した時点を基準にするのがもっとも合理的であるとされています。夫婦が別居をした場合には、特段の事情がない限りはその時点で夫婦の協力関係は終了したといえますので、別居時が財産分与の基準時になります。

    そのため、婚姻後別居前に配偶者が預貯金を使い込んだとしても、別居時点の預貯金額が財産分与の対象になり得ます。

    もっとも、配偶者の使い込みによって夫婦の共有財産が大幅に減少することになった場合には、財産分与の割合で調整をすることがあります。夫婦の財産形成・維持に対する貢献度は、基本的には等しいものと考えられていますので、財産分与の割合については2分の1が原則となります。しかし、婚姻後別居前に配偶者の使い込みが判明した場合には、財産分与の割合を修正することによって、公平な財産分与を実現することが可能です

    ② 別居後に使い込んだ場合
    それでは、配偶者が別居後に夫婦の共有財産である預貯金を使い込んだ場合はどうでしょうか。

    財産分与の対象となる財産は、別居時を基準に判断されますので、別居後に配偶者が預貯金を使い込んだとしても財産分与の対象となる財産が減るということはありません

    たとえば、夫婦の共有財産として500万円の預貯金があったとします。別居後に夫がそのうち200万円を使い込んだとしても、財産分与においては、500万円の預貯金があったものとして扱われます。これを夫と妻で2分の1ずつ分けると、妻が250万円、夫が250万円ずつもらうことになりますが、夫はすでに200万円を使い込んでいますので、夫がもらうことができるお金は50万円ということになります。

    このように、別居後であれば使い込みがあったとしても基本的には財産分与への影響は生じません。もっとも、別居後に預貯金の全額を使い込まれてしまうと財産分与を受けることが困難になってしまいますので、配偶者が預貯金を使い込むおそれがある場合には、保全処分も検討するとよいでしょう。
  2. (2)預貯金が自身の特有財産にあたる場合

    仮に、自身の特有財産を配偶者に勝手に使い込まれた場合、自身の特有財産については配偶者には一切権利がない財産ですので、違法な使い込みにあたり得ます。その場合、配偶者によって使い込まれた自身の特有財産については、不法行為に基づく損害賠償請求や不当利得返還請求によって取り戻すことが考えられます。

4、配偶者が預貯金を隠しているときの対処法

財産分与の対象となる金銭は、先述のとおり、へそくりなどの隠し財産も含まれています。
そのため、財産分与を話し合う際は、隠し財産があるかどうか、事前に確認をしておかなくてはなりません。

配偶者が預貯金を隠している疑いがある場合には、以下のような対処法が考えられます。

  1. (1)離婚を切り出す前に預貯金通帳や取引明細書等を集める

    離婚を切り出した後では、財産分与で渡すお金を少なくするために、知られていない預貯金口座を隠されてしまうおそれがあります。夫婦であっても配偶者の預貯金口座のすべてを把握しているわけではありませんので、配偶者に預貯金口座を隠されてしまうと、それを探し出すのは非常に困難になります。

    そのため、離婚の話を切り出す前に、預貯金通帳や取引明細書等を探して集めておくことをおすすめします。

  2. (2)弁護士会照会

    弁護士会照会とは、弁護士会が企業などの団体に対して、照会を行い、回答を求める制度のことをいいます。弁護士会照会を利用して、配偶者の預貯金口座があると考えられる金融機関に対して照会をすることによって、口座の有無および残高を明らかにすることができる場合があります。

    ただし、弁護士会照会は、弁護士に事件を依頼していることが前提となりますので、配偶者が預貯金を隠している疑いがある場合には、弁護士に離婚事件の依頼をして、財産調査を行ってもらうとよいでしょう

  3. (3)裁判所の調査嘱託

    裁判所の調査嘱託とは、裁判所が企業などの団体に嘱託をし、必要な事項の回答を求める制度のことをいいます。弁護士会照会では、個人情報保護などの理由により金融機関から回答を拒否されることもありますが、裁判所の調査嘱託であれば回答に応じてくれる場合もありますので、弁護士会照会よりも回答してもらえる可能性が高い手続きとなります。

    ただし、調査嘱託の申し立てをするためには、離婚問題が離婚調停や離婚訴訟が裁判所に係属していることが前提となります。
    調停や訴訟の段階まで進むと、個人で対応することが困難な場合がありますので、弁護士のサポートを受けながら離婚問題に対応すると良いでしょう

5、まとめ

夫婦の預貯金については、財産分与の対象となる共有財産と、対象とはならない特有財産があります。その判断は実質的な判断になりますので、対象となる財産かどうか疑問がある場合は弁護士のアドバイスが不可欠といえます。

しっかりと財産分与を受けることによって、離婚後の経済的な不安が解消されますので、弁護士のサポートを受けながら財産分与の手続きを進めていくようにしましょう。

離婚や財産分与、慰謝料、養育費などでお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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