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離婚や別居のときに必要な引っ越し費用はどこまで請求できる?

2021年06月21日
  • その他
  • 離婚
  • 引っ越し費用
離婚や別居のときに必要な引っ越し費用はどこまで請求できる?

岡山市が公表している人口動態の統計によると、平成30年の岡山市内での離婚件数は、1213件でした。平成26年から平成30年までの離婚件数の統計を見ると、毎年1200件から1300件前後の離婚件数があることがわかります。

それまで一緒に生活していた夫婦が離婚や別居をするときには、どちらか一方が自宅をでていくことになりますので、当然に引っ越し費用が生じてきます。離婚の原因が相手にあるにもかかわらず、自分が自宅を出ていくことになりその引っ越し費用まで負担しなければならないことに不満を抱いている方もいるでしょう。離婚や別居のときに生じる引っ越し費用については、相手に負担を求めることができるのでしょうか。

今回は、離婚や別居のときに必要な引っ越し費用をどこまで請求することができるかについて、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスの弁護士が解説します。

1、別居や離婚の際、請求できる可能性がある費用

引っ越し費用の負担を説明する前提として、夫婦が別居や離婚をすることになったときには、どのような費用を請求することができるかについて説明します。

  1. (1)別居時に請求することができる費用

    離婚が成立するまでの間はたとえ別居をしていたとしても夫婦であることには変わりありません。法律上、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」とされています(民法760条)。これを婚姻費用の分担といい、別居をした際には、一方の配偶者が他方の配偶者の生活費として婚姻費用を支払わなければなりません

    婚姻費用には、一般的に以下の費用が含まれています。

    • 衣食住に関する費用
    • 子どもの生活費
    • 子どもの教育費
    • 医療費
    • 冠婚葬祭費
    • 相当な範囲の交際費・娯楽費
    • その他夫婦が生活していくために必要な費用
  2. (2)離婚時に請求することができる費用

    婚姻費用は、あくまでも法律上の夫婦であることから生じる費用ですので、離婚をして婚姻関係が解消されたときには、婚姻費用を請求することはできません。もっとも、離婚に伴っては、離婚条件として、以下の費用を請求することが可能です。

    • 養育費(夫婦に子どもがいる場合)
    • 慰謝料(離婚にあたってDVや不貞などの有責性があるとき)
    • 財産分与

2、意外とかかる引っ越し費用の請求はどこまで可能?

引っ越しをするにあたっては、引っ越し業者に支払う費用以外にもさまざまな費用がかかります。これらの費用を相手に請求することができるのでしょうか。

  1. (1)意外とかかる引っ越し費用

    引っ越しをする際に、引っ越し業者に依頼する場合にはその費用がかかります。また、新しいアパートを借りてそこに引っ越すという場合には、敷金礼金などの初期費用や、生活をしていくために必要となる家具家電などをそろえるための費用も発生するでしょう。

    そのため、引っ越しにあたっては数十万程度の費用がかかることになります。子どもと一緒に引っ越すという場合には、より広い物件を選択しなければなりませんし、持っていく荷物も増えることから、単身での引っ越しに比べてさらに費用がかかることになります。

  2. (2)原則として引っ越し費用は自己負担

    「このような高額な引っ越し費用を自分だけが負担するのはおかしい」、「相手も当然負担すべきだ」と考えている方も多いかもしれません。しかし、引っ越し費用の負担を相手に求める法律はないことから、原則として別居をする方が自己負担することになります

    「婚姻費用を請求できるのだから、そこに引っ越し費用を含めることはできないのか」と思う方もいるかもしれません。しかし、婚姻費用に含まれる費用としては、前述のとおり、別居中の社会生活を維持するために要する費用ですので、別居にあたって生じる引っ越し費用は含まれないと考えられています。そのため、婚姻費用として引っ越し費用を増額して請求するということも難しいのが実情です。

    もっとも、夫婦が話し合いによって、引っ越し費用の負担をどちらにするか決めるのは自由です。そのため、引っ越し費用の相手に負担してもらうということが合意できれば、引っ越し費用を自己負担する必要はありません。

3、交渉タイミングと交渉成功のヒント

引っ越し費用を相手に負担してもらうためには、相手と話し合うタイミングや内容が重要となってきます。話し合うタイミングによっては、相手も引っ越し費用を負担することに応じてもらえる可能性が高まります。

以下では、別居前から離婚後までの交渉する時期に分けて説明します。

  1. (1)別居前

    相手に婚姻費用の負担を認めてもらうタイミングとしては、別居前のタイミングが最適だといえます。離婚の話し合いをしているのであれば、その中で引っ越し費用の負担も求めてみるとよいでしょう。

    相手が離婚を望んでいるケースであれば、離婚に応じることを条件として引っ越し費用を負担してもらうという交渉ができることがあります。また、相手のDVや不貞によって別居をしなければならなくなったというケースでは、相手に原因があることを強く主張して負担を求めるとよいでしょう。相手に少しでも負い目があるのであれば、引っ越し費用の負担について応じてくれる可能性があります。

  2. (2)別居後から離婚前

    別居をした後に、すでに自己負担した引っ越し費用を相手に支払ってもらうことは難しいことが多いです。特に、相手に事前に相談をすることなく別居をしたというケースでは、そもそも相手が別居すること自体に反対している可能性があるので、引っ越し費用を負担してもらうということは難しいでしょう。

    別居後に引っ越し費用を請求するためには、別居前から別居することについて事前に話をしておき、費用の負担についても提示するなどして、別居について一定の理解を得ることが重要です。そのうえで、引っ越し費用について、全額ではないものの、半分や一部負担してもらうように求めてみてはいかがでしょうか。別居にあたって経済状況が苦しくなったということを併せて説明することで、引っ越し費用の負担について応じてもらえる可能性が高まります。

    また、離婚前であれば、離婚時の慰謝料や財産分与の話し合いのときに、引っ越し費用も含めて考慮してもらうように話してみるのもよいでしょう。明確に引っ越し費用という項目で請求するのは難しいですが、慰謝料や財産分与を多少増額してもらう要素として交渉してみるのもよいかもしれません。

    なお、引っ越し費用をまったく負担してくれないという場合でも、前述のとおり別居後から離婚成立までの間は、婚姻費用という生活費を請求することができます。そのため、引っ越し費用とは別に、婚姻費用の請求をすることを忘れないようにしましょう。

  3. (3)離婚後

    引っ越し費用の負担を求めるタイミングとして離婚後はもっとも悪いタイミングです。離婚をしてしまえば、夫婦は他人になってしまいますので、相手の生活を援助する義務は一切ありません。また、離婚後は、連絡先も変更してしまい相手と連絡が取れなくなってしまうこともありますので、話し合いすら困難なこともあります。

    さらに、離婚にあたって、離婚協議書などを作成したときには、一般的には清算条項という規定を設けることがあります。清算条項とは、今後お互いに金銭などの請求を行わないことを確認する内容の条項であり、この規定があると引っ越し費用の請求を求めることは基本的にはできません。

    このように、離婚後に引っ越し費用を請求しようとしても非常に難しいことが多いですので、引っ越し費用の請求を考えているのであれば、できる限り早い段階で請求するようにしましょう。

4、別居や離婚に伴う引っ越しの際に考慮すべきこと

別居や離婚に伴い生じる問題は引っ越し費用以外にもあります。別居や離婚に伴い引っ越しをされる方は、以下のことも考慮しておくべきです。

  1. (1)子どもに関すること

    子どものいる夫婦で子どもを連れて別居をするのであれば、子どもに関することもしっかりと考えて引っ越しを決めなければなりません

    公立の学校は、住所によって学区や校区が決まっていますので、引っ越し先が同一市内であったとしても、転校が必要になることがあります。学校や市区町村の担当窓口に相談をすることで、学区外就学を認めてもらえる可能性もありますので、事前に相談をしてみるとよいでしょう。

    保育園や幼稚園に通っている子どもの場合でも引っ越しに伴い転園が必要になる可能性があります。転園がスムーズにいかないと自宅で子どもの面倒を見なければならず仕事に支障が出るかもしれません。スムーズに手続きするためには、計画的に引っ越しを行う必要があります。

  2. (2)生活費に関すること

    別居後から離婚が成立するまでの間は、相手から婚姻費用をもらうことができますので、一定の生活費は確保することができます。しかし、離婚が成立してからは、子どもの養育費以外には相手から定期的なお金の支払いはありませんので、離婚後の生活設計をしっかりと立てておく必要があります

    離婚してひとり親家庭となったときには、各地方自治体の援助や手当(児童扶養手当など)を受けることができます。事前に最寄りの市区町村役場の担当窓口で相談をすることで、離婚後の生活設計が明確になります。離婚成立前の段階であっても一度相談してみるとよいでしょう。

  3. (3)離婚や別居に伴うお金の問題は弁護士に相談を

    引っ越し費用の負担については、基本的には相手に負担を強制することはできません。

    しかし、離婚に伴う話し合いの中で、引っ越し費用の負担を考慮してもらうことは十分に可能です。世帯収入が多い家庭であれば、婚姻費用や養育費も高額になりますし、財産分与でもらうことができる財産も多くなる傾向にあります。相手と交渉をして、適切な金額を受け取るためにも、専門家である弁護士に相談をしてみることをおすすめします。

5、まとめ

別居や離婚にあたって自分だけ引っ越し費用を負担しなければならないことに納得がいかない場合、相手との交渉次第では引っ越し費用の負担を認めてもらうことも可能です。

そのためには、法律の知識や交渉の経験がなければうまくすすめることが難しいといえますので、適切な条件での離婚を希望する方は、弁護士に相談をするとよいでしょう。

離婚に関する問題でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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