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会社指示の休みには休業手当が支給される? 支給条件や計算方法を弁護士が解説

2020年08月28日
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  • 休業手当
  • 岡山
会社指示の休みには休業手当が支給される? 支給条件や計算方法を弁護士が解説

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、岡山県内にある約130店舗のパチンコ店のほとんどが営業自粛の要請を受け入れて休業しました。

大規模な感染症の拡大に限らず、会社側の指示によってやむを得ず休みとなるケースはめずらしくありません。経営難で一時的に休業する場合や、原材料の不足で生産ラインが稼働できなくなり休業することもあります。

このような事態に直面すると、労働者は「休み」を喜んではいられません。長期の休業となれば、収入面での不安も高まるでしょう。

このコラムでは、会社指示による休みに対する「休業手当」について、支給の条件や計算方法をベリーベスト法律事務所 岡山オフィスの弁護士が解説します。

1、休業手当とは

労働基準法には休業手当が支給される条件が示されています。この条件に合致する場合、会社・事業主などの使用者は労働者の生活を守るために必ず休業手当を支給しなくてはなりません。

  1. (1)休業手当の定義

    休業手当とは、使用者である会社・事業主の責任で労働者を休業させた場合に、休業した労働者に対して支払われる手当のことです。

    本来、賃金は労働に対して支払われるものとされています。

    労働者の自己責任で休業した場合は、有給休暇を除いて賃金支払いから除外されますが、会社の責任において休業を指示した場合は、最低限の手当が保障されるのです。

  2. (2)労働基準法による考え方

    休業手当の根拠となるのは、労働基準法第26条です。

    【労働基準法第26条 休業手当】
    使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者にその平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。


    本来、賃金は労働に対して支払われるべきものですが、労働者の生活を保護するために、休業手当という制度が用意されているのです。

    もし、人件費削減などの会社都合で自由に労働者を休ませて、その分の賃金は支払わなくてもよいという制度だったとすれば、労働者の生活は不安定なものになります。

    こういった事態を防ぎ、労働者の生活を守るために労働基準法が休業手当を保障しているのです。

  3. (3)「使用者の責に帰すべき事由」の解釈

    休業手当の支給に際してもっとも重要な条件となるのが「使用者の責に帰すべき事由」の存在です。

    これは、単なる会社側の独断であることを指すのではなく、広く使用者側に原因がある経営・管理上の障害を含むと考えられています。

    たとえば、次のような事情がある場合は、たとえ会社側に全責任があるものではなくても「使用者の責に帰すべき事由」に該当します。

    • 経済事情などから原材料が不足して生産がストップした
    • 倉庫充満となり生産できない状態になった
    • 親請け企業の経営難で下請け企業の資材・資金調達が不能になった
    • 裁判によって解雇が無効とされた

2、休業手当の計算方法

休業手当の支給対象となった場合の支給額について、基本的な計算方法をみていきましょう。

  1. (1)「1日あたりの平均賃金の60%×日数」が基本

    休業手当は、労働基準法第26条によって「平均賃金の100分の60以上」と定められています。
    つまり、平均賃金を割り出したうえでその60%の金額を、実際に休業した日数に乗じることで、休業手当の最低額が計算できます。

  2. (2)平均賃金の算出方法

    ここでいう「平均賃金」とは、算定すべき事由が発生した日以前の3か月間に支払われた賃金の総額から、その期日の総数を割ることで算出できます。賃金の総額は、基本給に加えて時間外労働に対する残業代や通勤手当、家族手当などのすべてを含む金額のことです。

    たとえば、直近3か月の給与が合計で90万円だった場合、これを3か月の歴日数90日で割ると1日あたりの平均賃金は1万円になります。

    これに支給率60%を乗じると休業手当の基本額は1日あたり6000円となり、休業日数に応じて休業手当が支給されます。

    ここで注意が必要なのが「休業日数」の考え方です。平均賃金の算出における期日の総数は、実際の労働日数ではなく歴日数を用います。

    たとえば、平日5日勤務の人が、1日(火曜日)から7日(次の週の月曜日)まで休業し、8日(火曜日)から勤務を再開するケースを考えてみましょう。この場合、労働日数は5日ですが、暦日数で計算すると、7日間の休業日数となります。

3、アルバイトや派遣社員も休業手当の対象となる

会社指示の休業によって生活が不安定になってしまうのは、正規雇用のフルタイム正社員だけではありません。
アルバイト・パートタイム従業員・派遣社員なども同じく給与によって生活をしているので、労働基準法は雇用形態を区別することなく、労働者すべてを休業手当の対象としています。

  1. (1)休業手当の計算方法における注意点

    非正規雇用の労働者の場合でも、休業手当の計算方法は同じです。

    しかし、非正規雇用の労働者は正社員と比べると出勤日数や労働時間が少なく、それに応じて賃金総額も少なくなってしまいます。歴日数で割って計算すると平均賃金が小額になってしまうでしょう。

    そのため、非正規雇用の労働者に限っては、歴日数ではなく実労働の日数で割って平均賃金を算出します。

    休業手当の支給にいたった場合、会社側の有利になるように歴日数で計算されていないかをチェックしましょう。

  2. (2)採用内定のまま休業になった場合

    会社全体の休業期間が採用予定日にわたった場合、採用内定を受けたまま休業する事態にもなりえます。ここで問題となるのが「使用者の責に帰すべき事由」が存在するのかということです。

    たとえば、経営難や生産ラインの都合などで休業に陥ったケースなどは、内定者に対しても休業手当が発生します。

    一方で、大規模な震災の被害などの場合は、状況によって休業手当の支払いの必要性が変わるため注意が必要です。

    たとえば、震災被害により会社そのものが損壊し、休業せざるを得なくなった場合は、会社側に原因があるとは考えにくいため、原則として、休業手当は支払われません。

    会社の損壊等はなかったものの、原材料の入手が困難になり休業せざるを得なくなった場合は、原則として、休業手当が支払われます。

    ただし、これらはあくまで原則であり、状況や程度などから総合的に判断されることになるでしょう。また、会社によっては、休業手当を支払わなくてもよい状況であっても、従業員を保護するために、支給する可能性もあります。

    では、新型コロナウイルスの感染拡大のように大規模な感染症の流行によって自主的に休業した場合はどうなるのでしょうか。

    基本的には「天災地変」には当たらないため休業手当が支給されるべき事情になるものと考えられますが、会社の資金も無限ではありません。

    会社から内定者に対する説明や労使における協議によって、お互いが最大限に譲歩できる着地点を模索する必要があるでしょう。

4、休業手当に似た手当や制度は対象となるのか?

休業手当の支給対象にならない場合は「ほかにも何らかの手当や制度の対象にならないのか?」と考えるでしょう。
ここでは、休業手当に似た手当や制度を紹介しながら、対象となるケースを解説します。

  1. (1)休業補償

    休業補償とは、労働者が業務上の負傷や疾病にかかった場合に、その休業期間において賃金を補償する制度です。主に労働災害を想定したものであり、使用者が支給するのではなく、労災保険によって支払われます。

    休業手当と同じく平均賃金の60%が支給されるほか、休業特別支給金の20%が加算されます。

  2. (2)傷病手当金

    業務外の事由による病気やケガで休業を余儀なくされた場合は、傷病手当金の対象となります。こちらも使用者が支給するのではなく、健康保険組合から支払われる手当です。

    3日間の待機を経て、休業4日目以降から支給され、最長1年6か月にわたって支給対象額に日数を乗じて支払われます。

  3. (3)雇用調整助成金

    雇用調整助成金とは、事業主が雇用の維持を図るために休業手当を支給した場合にその費用を助成する制度です。
    対象となるのは労働者ではなく使用者ですが、休業手当に対する助成なので、使用者が雇用調整助成金の対象となることで休業手当などの補償が充実する可能性があります。

5、会社が休業手当を支払ってくれない場合の解決策

休業手当の支給対象になっているのに会社が支払ってくれていない場合は、まず会社側への交渉が必須です。
個人では対応してもらえないのであれば、労働組合を通じて支払いを求めるべきでしょう。

それでもなお会社が休業手当を支払わない場合は、弁護士への相談をおすすめします。

弁護士に相談すれば、労働者の代理人として会社との交渉が期待できるほか、会社が支払いに応じない場合は裁判によっての決着が期待できます。

労働に関する法令や事例に応じた対応に詳しい弁護士に依頼することで、休業手当の支給を実現し、休業中における生活の安定が期待できるでしょう。

6、まとめ

会社側の指示によって休業を余儀なくされた場合、基本的には休業手当の支給対象となります。

ただし、休業手当の支給対象となるには「使用者の責に帰すべき事由」に該当するか否かが重要となるため、支給対象となるのかは具体的に検討する必要があるでしょう。

会社指示による休業を強いられてしまい、休業手当の支給について疑問や不安がある方は、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスにご相談ください。個別の事情を法令に照らして詳しく検討し、実際に支給の対象となるのかを正確に判断します。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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