【後編】残業代を払わないのは労基法違反! 会社に請求する方法はある?

2019年09月25日
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【後編】残業代を払わないのは労基法違反! 会社に請求する方法はある?

残業代を適切に支払ってもらえないと悩む方は、ここ岡山でも少なくありません。そこで前編では、会社が残業代を支払わない理由として挙げる可能性がある言い訳について紹介しました。前編で該当する理由によって残業代請求をあきらめていた方は、本項をぜひ参考にしてください。

後半も引き続き岡山オフィスの弁護士が、残業代を支払わない会社が受ける可能性がある罰則や、請求方法について解説します。

2、残業代を支払わないことで、会社が受ける罰則は?

労働基準法では残業代を支払わないという労働基準法違反をした場合は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処すると定められています。しかし、即座に罰則を科されることはありません。通常は労働基準監督署への通報や労働基準監督官の立ち入り調査などによって残業代の未払いが発覚し、労働基準監督署が会社に対して「残業代を支払いなさい」という是正勧告を出します。

ほとんどの会社が勧告に従って未払い分の残業代を支払いますが、勧告に従わずに無視し続けるなど悪質と判断された場合に、ようやく罰せられます。

3、残業代を支払わない会社に請求する方法は?

上記のような理由で残業代の未払いが発覚した場合、段階的に請求の姿勢を強めていくことになります。

  1. (1)話し合いをする

    会社が支払うべき残業代の金額を計算し、その金額を会社に支払ってくれるように会社に申し入れます。コンプライアンス(法令遵守)を重要視している会社であれば、この時点で未払いの残業代を支払ってもらうことができます。

  2. (2)内容証明郵便を送付する

    労働基準法で賃金の請求権の時効は2年と定められているため、未払いの残業代は2年前のものまでしか請求できません。しかし、支払いの請求をすれば、6か月間は時効の進行を停止することができるので、交渉に応じてくれない場合には内容証明郵便をすぐに出すようにしましょう。

    内容証明郵便は、郵便局が「誰が、誰に、いつ、どのような内容の通知を出したのか」ということを証明してくれるサービスです。内容証明郵便を出すことで、会社に対して請求した事実を証拠として残すことができます。配達証明付き内容証明郵便として送付することで「届いていない」という言い訳を防ぐことができるでしょう。

    内容証明郵便に記載する内容は以下のとおりです。

    • 勤務先(あるいは勤務していた)会社の名前・住所
    • 請求者の名前・住所
    • 雇用契約の内容
    • 残業していた事実と残業代が支払われていない事実
    • 残業代の金額(残業代計算書を別送する)
    • 請求金額と支払期限
    • 支払先口座(金融機関名・支店名・口座番号・口座名義)
  3. (3)労働審判

    会社と任意の交渉をしたにもかかわらず、残業代を支払ってもらえなかった場合は労働審判を裁判所に申し立てることができます。平成18年に始まった労働審判は、残業代や賃金の未払い、不当解雇など、事業主と労働者との間の労働関係に関するトラブルを迅速、適正かつ実効的に解決することを目的としています。

    労働審判は3回以内に決着がつくので、訴訟に比べると早期に解決することが期待できます。また、審判の内容が確定すれば訴訟の判決と同じ効力があります。

    労働審判によって下された審判の内容に異議の申し立てがあれば、民事訴訟に移行します。民事訴訟になると、遅延損害金を追加で受け取れる可能性がありますが、決着がつくまでは数年かかってしまう可能性がある点に注意が必要です。

4、未払い残業代請求を弁護士に相談するメリット

未払いの残業代を請求することそのものは、個人でも可能です。しかし、労働者側が会社側に交渉を持ちかけて残業代の支払いを了承してもらおうとしても、「証拠が不十分である」「残業を支払う義務はない」などと主張し、あしらわれてしまうケースが少なくありません。

たとえ話し合いの場ができても、すでに弁護士がついている企業であれば、法律の知識や交渉力などが必要不可欠となるため、対等に交渉できる可能性は非常に低くなります。場合によっては意に沿わない配置転換や退職勧奨などの嫌がらせを受けることも考えられるでしょう。

未払いの残業代を請求する場合は、まず弁護士に相談することをおすすめします。会社との交渉を進める前に弁護士に相談することで、証拠集めの方法や請求するタイミングなどのアドバイスが受けられます。また、未払いの残業代が発生しているのか怪しい場合でも、弁護士が正確に算出してくれるため、「請求したけど、実際は残業代は発生していなかった」というトラブルが避けられます。

さらに弁護士に残業代請求そのものを依頼すれば、十分な証拠を集めてから交渉に臨むうえ、訴訟を視野に入れた強気の交渉が可能となります。結果、スムーズに交渉が進み、早期にトラブルを解決できる可能性を高めることができるでしょう。

5、まとめ

今回は、会社が残業代を支払ってくれない状況に違和感を抱いている方のために、誤解してしまいそうなケースと未払い分の残業代を請求する方法を紹介しました。会社の就業規則や慣習によって残業代が支払われない状況は労働基準法違反に該当します。また、未払いの残業代の請求権は2年で時効を迎えてしまうため、すぐに手を打つ必要があるでしょう。一刻も早く未払いの残業代を受け取るためにも、会社との交渉の前段階から弁護士に依頼することをおすすめします。

未払い残業代の請求をしようかとお悩みであればベリーベスト法律事務所 岡山オフィスまでご連絡ください。残業代請求事件に関する知見が豊富な弁護士が全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています