労働問題を解決したい! 労働問題を弁護士に相談するとき、知っておきたいこと

2019年07月05日
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労働問題を解決したい! 労働問題を弁護士に相談するとき、知っておきたいこと

2016年4月20日、岡山県津山市にあるJAつやまの職員214人が残業代の支払いを求めて集団提訴したことが報じられました。残業代の金額は3億円にも上るとされているようです。

ここまで高額な事例でなくとも、未払い残業代に関わる問題や不当解雇についての問題など、労働問題全般について悩みを抱えている労働者の方は多数おられますし、どこへ相談したら良いのかわからないという声もよく聞きます。

労働問題で悩まれている場合、まずは弁護士へ相談することをおすすめします。今回は、労働問題を弁護士に相談するメリットや、相談する前に用意しておくと良いものなどについて、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスの弁護士がご説明します。

1、労働問題はどこに相談したら良い?

残業代の未払い問題をはじめ、不当解雇、ハラスメント問題、違法な長時間労働など、労働問題にはさまざまな種類があります。
これらの労働問題が生じた際には、ひとりで抱え込まず、誰かに相談することをおすすめします。
以下では労働問題が起こった場合の相談先や、それぞれの相談先がどのような対応をしてくれるのか、簡単に説明します。

  1. (1)労働基準監督署

    労働基準監督署は、会社が労働法を守れているかチェックし、違反が見られれば指導を行う機関です。公的機関への相談を考える場合、まず労働基準監督署が選択肢のひとつとなるでしょう。労働基準監督署は無料で相談することができます。
    労働基準監督署は、会社全体に対する指導を行うことができたり、悪質な場合には使用者の逮捕なども行います。
    しかし、指導に法的拘束力がないことや、相談にあたって労働基準法に違反があることについての十分な証拠を示さないと対応してくれない場合があります。

  2. (2)労働局

    都道府県労働局は厚生労働省の出先機関で、労働法に関する法令順守や労災保険についての業務を行っています。労働基準監督署は労働局の下部機関にあたるため、労働局に相談した結果として労働基準監督署が動くこともあります。

    また、労働局は労使トラブルに対するあっせんを行います。紛争調整委員会という機関が労使の間に立ち、話し合いをサポートします。しかし、紛争調停委員会によるあっせんにも法的拘束力はなくそもそもあっせんを設けられない可能性があります。

  3. (3)ユニオン

    ユニオンは誰でも相談することができる労働組合で、企業に労働組合がない労働者の助けになります。ただ、ユニオンに相談する場合はユニオンへの加入と組合費の支払いが必要となる点、会社との交渉にあたっては、団体交渉という方法を使うことになる点は知っておきましょう。

  4. (4)弁護士

    当オフィスのような弁護士事務所への相談も労働問題解決の有効な手段です。弁護士は労働者からの相談に対しての法的な解決と労働者の代理が可能です。
    次の章で、労働問題を弁護士に相談するメリットを解説します。

2、労働問題を弁護士に相談するメリット

労働問題を一人で解決できない理由として大きいのは、個人では交渉力が低いことや、労働法についての知識がないことです。法律を知らなければ、何が問題でどういった権利が失われているのか明確に分からず、権利を回復することができません。そんなとき、労働問題に通じた弁護士に相談するとこのようなメリットが得られます。

  1. (1)適切なアドバイスを受けられる

    まず、今の状態が違法なのか合法なのか、仮に違法だとしたらどのような形で企業に対して交渉をしていくことができるのかを知ることができます。
    労働問題には、「不服だけど合法」という論点も「気にもとどめていなかったけれど違法」という論点もあるものです。
    弁護士は法律と過去の裁判例をもとに、今、身に降りかかっている労働問題の解決方法を導き出していきます。

  2. (2)難しい手続きを任せることができる

    法に違反していることがわかったとしても、解決に向けた手続きを自分で行えないことはよくあります。たとえば未払いの残業代を請求するにあたって残業代を正しく計算したり、会社をクビになった際、解雇を実際に取り下げさせたりするのは個人では難しいでしょう。

    弁護士であれば、残業代請求であれば複雑な残業代計算から請求書の提出を、不当解雇の場合も解雇取り下げについての主張や文書作成をすべて行うことができます。

  3. (3)労働審判・訴訟の代理が可能

    交渉や示談がまとまらない場合は裁判所で決着をつけることになります。裁判所で行う手続きは労働審判手続きと訴訟がありますが、いずれも弁護士があなたの代理人となって主張をしていきます。労働審判手続は労働審判員が間に立って行う調停です。和解するか、労働審判に合意すれば終わりとなります。労働審判に合意できない場合は民事訴訟が行われます。

    民事訴訟は原告と被告で審理を尽くし、裁判所から判決が出されます。労働審判や訴訟は示談以上に明確な法的根拠に基づく立証が求められます。間違いなく弁護士の力が役立つでしょう。

    弁護士に代理をお願いすれば労働者は毎回出廷する必要がなくなります。

3、労働問題の弁護士相談で必要なものは?

労働問題を弁護士に相談する際は弁護士が問題の解決を見立てるために、判断材料となるものが必要です。
ここでは弁護士相談をするときに必要なものや用意しておくと良いものを紹介します。

  1. (1)事案の経緯をまとめたもの

    まずは、抱えている労働問題の経緯をまとめておきましょう。とりとめもなく弁護士との相談の場で「こんなことがあった。あんなことがあった」と話しはじめても、記憶が曖昧だったり弁護士にうまく伝わらなかったりすることが考えられます。あらかじめ、いつどのようなことが起こったのか、事案の要点を整理しておくことが大切です。
    ポイントは感情や気持ちの面ではなく、事実として何があったのかということです。メモなどで記録して弁護士へ相談するとよいでしょう。

  2. (2)就業規則と雇用契約書

    労働問題は、就業規則や雇用期間がその根拠となりますので、就業規則と雇用契約書は手元に用意しておくとよいでしょう。
    不当解雇で争う場合、特に懲戒解雇の根拠となる懲戒事由の部分は就業規則を見る必要があります。

  3. (3)勤怠記録

    残業代は、契約書や就業規則で決められていなくても支払うことが義務で、残業代を無視する契約についてはその全部または一部が無効となります。よって、残業代は実際に働いた時間と割り増しの比率で算出します。勤怠記録が信用できないときは業務日報が役立ちます。

  4. (4)音声や画像の記録

    パワハラ・セクハラや退職勧奨などの問題にあたっては、音声を録音しておくと良いでしょう。もし録音音声があるようであればそれを持参のうえ、弁護士に相談するとよいでしょう。なお、相談の際は、音声データをそのまま書き起こして弁護士に見せると効率的です。

4、まとめ

企業が労働問題の解決を拒むのは労働者を弱い存在だと思っているからです。そのため、個人が交渉をしようとしても、時には話し合いの場すら設けてもらえないことがあります。
そのためにも、あなたの代理人となって企業と対峙(たいじ)してくれる存在が、問題解決のためにも必要です。
もし労働問題に見舞われお困りのようでしたら、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスまでご相談ください。労働問題に通じた弁護士が、あなたの力になります。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています