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相続登記を忘れると相続できなくなる? 遺言書と民法改正のポイントを解説

2020年04月17日
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相続登記を忘れると相続できなくなる? 遺言書と民法改正のポイントを解説

親が亡くなってしまえば、その子どもが土地・建物などの財産を相続することになります。土地・建物といった不動産を相続した場合は「相続登記」をする必要がありますが、手続きの方法がわからない、そもそも手続きが必要であることを知らないがために相続登記をしていない方も少なくありません。

岡山地方法務局では、本局や各支局・出張所での登記相談を受け付けています。相談は予約制なので、まずは最寄りの法務局に問い合わせてみましょう。

平成の最後と令和の最初となった2019年には、相続に関する法令が大幅に改正されました。そのなかでも、不動産の相続が予定されている方が注目すべきは「遺言書」に関する改正です。
本コラムでは、相続に関する法改正と相続登記との関係について、概要や注意すべきポイントを岡山オフィスの弁護士が解説します。

1、遺言書は万能ではなくなった! 民法改正のポイント

財産の所有者が亡くなり、生前に遺言書をのこしていた場合は、遺言書に書き記された内容が故人の遺志として優先されます。ある意味では、遺言書は相続において万能でしたが、今回の法改正によってその優位性は弱くなってしまいました。

まずは法改正における遺言書の効力の変化について解説しましょう。

  1. (1)改正前の遺言書の効力

    遺言とは、人が生前だけでなく死後においても自分の財産を自由に処分するための最終の意思表示です。これを書き記したものが「遺言書」と呼ばれます。
    遺言書があれば、法定相続分に関係なくどの財産を誰に相続させるのかを指定できます。たとえ法定相続人の間に不平等があったとしても遺言書の内容が優先されるため、遺言書で遺産相続を指定されていない相続人は、最低限の遺留分を除いて相続財産を得ることができません。

  2. (2)民法第899条の2の新設

    複数人の相続における権利関係については、民法第898条が「相続人が数人あるときは、相続財産はその共有に属する」と定めています。また、その共有の割合については、民法第899条により「相続分に応じて」被相続人の権利義務関係を承継すると定められています。

    そして、今回の民法改正によって「第899条の2」が新設されました。
    (共同相続における権利の継承の対抗要件)

    民法第899条の2第一項
    相続による権利の継承は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条および第901条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。


    民法第900条は法定相続分について、第901条は代襲相続分についての規定です。つまり、新設された第899条の2第一項における「相続分を超える部分」とは「法定相続分を超える部分」と読み解くことができます。
    そして、法定相続分を超える部分の権利を主張する場合は、登記・登録などの対抗要件がない限り、第三者に権利を主張することができないとしています。

    新設された第899条の2第一項をごくかんたんに説明するなら「遺言書によって法定相続分を超える財産を相続しても、登記・登録などをしておかないと第三者が権利を主張した場合に負けてしまう」と解釈できるでしょう。

2、遺言書があっても相続登記していないと負ける? 具体例と対策

民法改正によって新設された第899条の2第一項では「登記がないと第三者に対抗できない」と示しています。これはいったいどのようなケースを想定しているのでしょうか?
具体例と対策を解説していきましょう。

  1. (1)適法に登記した第三者の権利には勝てない

    たとえば、実家の名義人である母親が亡くなり、長男Aと次男Bが実家の土地・建物を相続する立場になったとします。母親は「土地・建物はすべて長男Aに相続させる」という内容の遺言書をのこしており、長男Aと次男Bの間に不平等が生じていました。

    そこで、次男Bは土地・建物の法定相続分を勝手に買い主Cに売却して代金を手に入れました。当然、長男Aは「遺言書の内容に従えば、土地・建物は私のものだから売却は無効だ」と主張しますが、買い主Cは「次男Bと適法に売買契約を結んで代金も支払ったのだから、私にも権利がある」と対抗してきました。

    民法改正前では、このようなケースでは買い主Cの権利が排除されていました。遺言書の内容が優先されるため、そもそも次男Bには最低限の遺留分を除いて相続財産を得ることができなかったという解釈です。
    これでは、遺言の内容を知らなかった善意の買い主Cが一方的に不利益を被ってしまうことになります。

    ところが、民法改正によって第899条の2第一項が新設されたため、法定相続分を超えた財産を相続する長男Aは「登記がないと第三者に対抗できない」ようになりました。つまり、ここでいう買い主Cが先に登記をしてしまえば、たとえ遺言書の内容が「長男Aにすべて相続させる」となっていても、第三者である買い主Cの権利や登記を否定することはできないわけです。

  2. (2)素早い相続登記が重要

    民法改正によって、適法に登記・登録された財産については、たとえ遺言書が存在していても第三者の権利が保護されるかたちになりました。
    今後、ここで例示したようなケースが発生するおそれがあるため、トラブルに発展することも少なくないでしょう。

    遺言書によって相続人に指定された方がこれに対抗する方法は、実はかんたんです。
    第三者よりも早く相続登記すること、これに尽きます。

    新設された民法第899条の2第一項の効力は令和元(2019)年7月1日に開始された相続について適用されます。すでに土地・建物の相続について遺言で指定を受けている方や、これから土地・建物の相続が予定されている方は、早急な相続登記が必要であることを意識しておきましょう。

3、遺言書がある場合の相続登記の流れ

遺言書による指定で土地・建物を相続する場合は、早急な相続登記が重要です。
では、遺言書がある場合の相続登記はどのような流れでおこなわれるのでしょうか? 公正証書遺言や自筆証書遺言それぞれの確認方法を説明しつつ、相続登記の流れを解説します。

  1. (1)公正証書遺言の確認方法

    遺言書が公証人役場で作成された公正証書遺言の場合は、被相続人が死亡した後、家庭裁判所による検認手続きが不要です。そのため、すぐにでも不動産の所有権移転登記手続などをすることができます。

  2. (2)自筆証書遺言の確認方法

    遺言が亡くなったご本人が自書された自筆証書遺言の場合、相続人が勝手に開封して内容を確認することはできません。自筆証書遺言は、家庭裁判所による検認手続きが必要です。検認を経ずに遺言書を開封しても内容が無効になるわけではありませんが、民法の規定によって5万円以下の過料が科せられます。

  3. (3)所有権移転の登記

    遺言書の内容に従って、管轄の法務局に出向いて所有権移転の登記をおこないます。
    相続によって所有権移転登記をすることを「相続登記」と呼びます。

    所有権移転登記の申請書は、公正証書遺言・自筆証書遺言ともに同じものを使いますが、自筆証書遺言の場合は家庭裁判所の検認済み証明書付きの遺言書を提出する必要があります。
    そのほか、遺言書によって土地・建物の相続登記をするために必要なものは次のとおりです。

    • 相続の対象となる不動産の登記簿謄本
    • 被相続人の住民票の除票 ※本籍地記載のもの
    • 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
    • 相続人全員の現在の戸籍謄本
    • 遺言書 ※遺言書がない場合は遺産分割協議書
    • 相続人全員の印鑑証明書 ※遺産分割協議の場合
    • 相続人の住民票 ※不動産を相続する相続人のみ
    • 相続の対象となる不動産の固定資産評価証明書
  4. (4)相続登記の負担を軽減する方法

    相続登記は期限があるわけでもなく、登記せずとも不都合は生じないように考えている方が多いのが実情です。しかし、核家族化が進んだ現代では、実家の土地・建物を相続してもその家に住むことなく売却したり放置して空き家になってしまったりするケースが増えています。いざというときに「相続登記ができていないため売却などの手続きが進まない」と困ってしまう方も多いようです。

    相続登記が浸透していない理由のひとつとして、手続きの煩雑さが挙げられます。以下では、相続登記の負担を軽減する方法を紹介します。

    ●郵送申請やオンライン申請を利用する
    所有権移転登記は、法務局の窓口での申請のほか、郵送やインターネットを利用したオンライン申請でも可能です。郵送申請では必要書類をそろえて郵送する、オンライン申請では自宅やオフィスのパソコンで申請用総合ソフトをダウンロードして申請するため、法務局まで出向くことなく申請できます。

    仕事が忙しく法務局の開庁日・執務時間内に出向くのが難しい方にはとても便利なサービスといえます。

4、まとめ

民法が改正されて、これまでは「いつでもいい」と思われていた相続登記が、第三者への対抗を考慮すれば「早急にすべきもの」になりました。手続きが煩雑に感じるかもしれませんが、どのような書類が必要なのか、遺言書がある場合はどのような対応をとるべきなのかを弁護士に相談すると良いでしょう。

ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスでは、遺言書によって取得した不動産の相続登記など、相続に関するさまざまな悩みやトラブルの解決に向けてサポートしております。相続問題でお困りの場合は、どうぞお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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