3ヶ月家賃滞納したら督促される? 追い出されないためにすべきこと

2019年10月09日
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3ヶ月家賃滞納したら督促される? 追い出されないためにすべきこと

賃貸物件を借りている状態で家賃を滞納してしまうと賃貸借契約を解除され、最終的には強制的に退去させられる可能性があります。岡山県内でも市営住宅において29年間家賃を滞納したとして、平成30年に明け渡しの提訴に踏み切ったという事案がありました。

ここまでひどくはないものの、借金などの理由から家賃を3ヶ月近く滞納してしまっていて、悩んでいませんか。本コラムでは、家賃の滞納時の対応、債務整理について岡山オフィスの弁護士が解説します。

1、家賃滞納が許されるのは何ヶ月まで?

賃貸物件に入居すると、貸主と賃貸借契約を締結します。契約書には月の賃料や、家賃の支払い方法などが明確に記載されており、賃借人は契約書通りに月々の家賃を支払う義務が発生します。一般的に家賃は前払い制度を取ることが多く、次月の賃料を前月末に支払います。つまり月末の賃料を支払えないと、翌月分の賃料が未納になります。

うっかり入金を忘れる程度であれば、多くの場合は問題ありません。気づいた時点で連絡を取り、謝罪をして入金しましょう。

しかし、滞納状態が続くと契約解除事由に該当し、大家さんや管理している不動産業者が裁判所に申し立てを行うことがあります。そして、最終的に賃借人は強制的に退去をしなくてはならない状態に陥ってしまうのです。

一般的に、家賃3ヶ月程度の滞納を目安に強制退去を内容とする判決が下されることになります。

2、家賃滞納してしまったときの対応方法

入金をうっかり忘れてしまった場合は、管理会社や大家さんから連絡がくるので、指定された日までに支払えば問題ありません。ただし、気づいた時点で連絡を取り入金したほうが、心証がよいことは間違いないでしょう。

また、数日程度の家賃の遅れで賃貸借契約が解除になることはないので安心してください。しかし、支払う現金がなかった場合、すぐに家賃を入金することができなくなり、滞納状態に陥ります。電話での催促に応じることができないと、管理会社は滞納者に対して督促状を送付して家賃の支払いを求めます。

このような状態に陥ったら、まず家賃を滞納したことを謝罪し、誠実に対応するようにしましょう。後ろめたいかもしれませんが、連絡を無視することが、もっとも悪い結果になりがちな対応です。

もちろん、継続的に家賃を支払う方法を模索します。第一に考えられるのが親族にお金を借りる方法です。一時的に支払いが難しくなってしまった場合に有効な方法です。失職してしまったことで家賃が払えなくなった場合は、住宅確保給付金制度を利用しましょう。原則3ヶ月間、給付を受けることができます。市区町村によって給付額が違うので、給付条件とあわせて確認するとよいでしょう。それでも生活ができなくなってしまった場合は、生活保護申請を行います。

督促状が届いてしまったのに、支払えないからと放置していると、3~4ヶ月経過したあたりで弁護士を通じて内容証明が届きます。内容は「期限までに家賃の入金がない場合は契約を解除します」というもので、最終通告にあたります。

内容証明に従って、期日までに家賃を入金できれば住み続けることができますが、書類の内容通りに支払いができないと強制退去せざる得ない状況に陥ります。

3、債務整理と任意整理

  1. (1)債務整理とは

    家賃を支払えないほど借金が膨らんでしまった場合は、債務整理をすることで問題が解決できる可能性があります。債務整理とは、支払う予定だった借金を減額したり、支払いに猶予を持たせてもらったり等することで、借金の負担を軽減するための手続きです。

    債務整理には「任意整理(過払い金請求を含む)」、「民事再生」、「自己破産」の3種類があります。借金で首が回らなくなった場合の手段としては自己破産が有名ですが、自己破産すると、手続中は一定の職業へ就けなくなるなどのデメリットがあります。

    しかし、債務整理の方法の中でも「任意整理」が可能であれば、職業制限を受けたり財産を手放したりすることなく借金問題を解決できます。場合によっては、家族に知られることなく対応することも可能となるでしょう。

  2. (2)任意整理の特徴

    任意整理は債務整理の一種です。債務者(お金を借りた者)が借金を返済できるように貸金業者や金融機関などの「債権者」と相談して、返済額や返済方法などを調整する手段です。

    裁判所を介することがない、個々の交渉による債務整理方法であるため、公的な制約は受けません。個人でも対応すること自体は禁じられていませんが、法律などを熟知しているお金を貸している側と、交渉相手からお金を借りている側が公平に話し合うことは難しいものです。そこで、多くのケースで、弁護士を代理人として依頼し、任意整理のための交渉を代理してもらいます。

    ただし、任意整理は、借金自体をゼロにするための手続きではありません。一般的には、借りるときにつけられた利息をなくしてもらい、残った元金を「5年を目安に完済していく」という交渉をすることになります。もし、平成17年以前から借金をしていて現在も支払いを続けている場合は、過払い金請求が行えることがあります。過去に支払いすぎていた利息を取り戻すことで、返済すべき借金と相殺することも可能です。

    任意整理最大のメリットは、毎月の支払金額を抑えられることや、利息がなくなることによって将来的に借金が増えることがなくなる点が挙げられるでしょう。そのほかのメリットとしては、任意整理する対象を自ら選ぶことにあります。たとえば、自身の資産である車や住宅を手元に残すことができますし、親族が保証人になっている借金は含まずに任意整理することが可能となります。これにより、周囲の人に知られないようにしながら、返済負担を減らすことができるのです。

    もちろん、デメリットはあります。任意整理手続き後から数年間は金融機関からの新規の借り入れや、クレジットカードの作成、使用ができなくなります。いわゆるブラックリストに掲載されることは忘れないようにしましょう。

  3. (3)家賃を任意整理の対象にできるか?

    任意整理による債務整理を行える借金は、原則として非免責債権以外の借金や債務すべてです。したがって、滞納している家賃も任意整理の対象にできます。

    なお、非免責債権とは、自己破産をしても免れることのできない債務のことです。具体的には社会保険料や税金、事業を営んでいた場合には従業員に対する給与などが該当します。任意整理に限らず、自己破産しても免責されないため、非常に重い債務といえるでしょう。

    前述の通り、家賃は非免責債権に該当しないので、任意整理の対象にすることは可能です。しかし、任意整理の対象にしてしまうと、大家さんから立ち退きを要求されることがあります。

    任意整理の手続きは数ヶ月かかることがあります。任意整理の手続きが完了するよりも先に強制退去を命じられてしまう可能性も考えられるので注意が必要です。

4、債務整理を弁護士に相談するメリット

債務整理の手続きは自分で行うことも可能ですが、弁護士に相談することをおすすめします。任意整理では借金の返済額の減額交渉や支払い方法について、貸金業者と直接交渉する債務整理方法です。したがって、債務者本人がひとりで行うには負担が大きいと考えられます。

弁護士に依頼すれば、日々行われていた貸金業者からの督促がすぐに止まるため、精神的苦痛からも解放されます。また、複雑な手続きや交渉をあなたの代理人として行うため、余分な時間をかけずに済みます。

その間、あなたは新たに仕事を探したり、療養に注力したりと、債務整理が終わってからの新たな生活に向けた準備をすることができるのです。

弁護士に債務整理を依頼することで得られるメリットは多数あります。借金がたまってしまって返しきれない、家賃の支払いが難しくなってきたときは、まずは弁護士に相談してください。弁護士が状況や詳細をお伺いしたうえで、適切な債務整理方法を提案します。

5、まとめ

家賃は生活費の中でも占める割合が高く、滞納が続くとまとめて完済するのが非常に困難になってしまいます。そのようなケースでは、初回滞納から強制退去に至るまでの流れをよく確認したうえで、債務整理を行うことが効果的かもしれません。

債務整理の手続きを債務者がすべて自分でやるのは困難です。ひとりで抱え込まず、弁護士に依頼することをおすすめします。もしも家賃滞納が3ヶ月近く続いてしまうほど借金の返済に追われているのであれば、ベリーベスト法律事務所の岡山オフィスまでご相談ください。問題解決に向けて岡山オフィスの弁護士が真摯にサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています