結婚詐欺、相談所とのトラブル…婚活トラブルを法律で解決する方法
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結婚を希望する方が会員登録をして結婚相手を探す「結婚相談所」は、民間の会社や団体によって運営されているものが多数ですが、最近では自治体の事業として行われる例も増えてきました。
岡山県では、県が独自に「おかやま縁むすびネット」を開設し、結婚を希望する男女に出会いの機会を提供しています。
さて、他者から結婚の機会の提供を受けることが一般化し、結婚相談所や婚活パーティーなどの事業が盛んになりましたが、同時にトラブルの増加も問題となっています。国民生活センターでも、結婚相手紹介サービスとの料金に関するトラブルに対して、注意喚起を行う内容が掲載されています。
結婚相談所とのトラブルや悪質な結婚詐欺など、婚活にまつわるお金のトラブルは法律の力で解決できるのでしょうか? ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスの弁護士が解説します。


1、婚活にまつわるトラブル
結婚相談所や婚活パーティー・お見合いパーティー、婚活サイトなどのように、結婚を目的とした男女の出会いを提供するサービスは、結婚を希望する方にとって頼もしいものです。
しかし、「結婚したい」と希望する方の弱みにつけこむかのような形のトラブルも少なからず発生しています。なかには、犯罪に巻き込まれてしまうケースもあるので注意が必要です。婚活にまつわるトラブルについて見ていきましょう。
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(1)出会った相手との間でのトラブル
初対面の相手と知り合うため、当然、さまざまなリスクがあります。
たとえば、結婚相談所で知り合った相手から「結婚するためにはお金が必要だ」などと金銭をだまし取られる結婚詐欺の被害や、相手がストーカー化してつきまといの被害に遭うケースも散見されているのが実情です。
結婚詐欺の常習者のなかには、結婚相談所を利用してターゲットを探す者も存在します。出会いの段階では何ら問題がないように演出してくるため、出会ったときに「詐欺だ」と気が付くのは困難でしょう。 -
(2)結婚相談所との間でのトラブル
結婚相談所などの婚活サービスにまつわるトラブルとして非常に多いのが「お金に関するトラブル」です。出会った相手とのトラブルだけではなく、結婚相談所とのトラブルも見受けられます。
国民生活センターに寄せられた結婚相談所とのトラブルに関する相談には、次のような事例が掲載されています。心当たりがないか、チェックしてみてください。- 結婚相談所を退会したいが、事業者と連絡がつかず手続きが進まない
- 結婚相手紹介サービスの休会手続きをとったが、勝手に会費が引き落とされた
- 結婚相談所を通じて海外までお見合いに行くことになったところ、渡航費などの追加費用が発生した
- 強引な勧誘を受けて何かの書面に記入させられたので、契約が成立してしまったのかが気になる
- 結婚相談所を利用して婚約にこぎつけたので成婚料を支払って退会したが、直後に破談になったので成婚料を返金してほしい
これらのお金に関するトラブルは、法律の力によって解決できる可能性があります。自分自身での解決は難しいので、できるだけ早く弁護士に相談することがおすすめです。
2、結婚詐欺にあってしまったら
結婚相談所などの婚活サービスを悪用した犯罪として、もっとも考えられるのが「結婚詐欺」です。
結婚詐欺とは、実際には結婚する意思がないのに、結婚する意思があるように装って相手を信頼させて金銭をだまし取る行為で、刑法第246条の詐欺罪として罰せられます。
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(1)警察への相談が最優先
結婚詐欺の被害に遭った場合、まずは住居地を管轄する警察に相談しましょう。
ただし、結婚詐欺の立証は数ある詐欺の手口のなかでも難易度が高く「結婚する意思などなく、最初からお金をだまし取る目的だった」ことを証明する必要があります。
具体的には、相手が既婚者であることや、結婚を名目に得たお金を別の用途に使ったことなどの事実を示すものが、証拠になるでしょう。
警察はどのような状況でも相談には応じてくれますが、「結婚詐欺かもしれない」という疑いがある程度では、必ずしも積極的な捜査には期待できません。これらの証拠を個人で集めることは難しいので、弁護士に相談して証拠の集め方などのサポートを求めましょう。 -
(2)民事上の責任追及も可能
結婚詐欺の被害に遭った場合、精神的なショックが大きいことと相まって「お金を取り返したい」という気持ちが強く生じるかもしれません。相手の不法行為によって被った損害は、賠償を求めることができます。
相手が話し合いに応じ、賠償金を支払えば解決できるかもしれませんが、結婚詐欺をはたらくような相手であれば、話し合いでの解決は困難でしょう。弁護士に依頼すれば、訴訟の準備を進め、給与や財産の差し押さえによって解決を目指すことが可能です。 -
(3)「結婚してくれない」は結婚詐欺ではない
結婚詐欺は刑法の詐欺罪にあたる行為であり「結婚を名目に金銭をだまし取る犯罪」です。
一方的に婚約を破棄された、本命の婚約者が別にいた、婚約中に浮気をされたなどのように、単に「結婚してくれない」というケースは結婚詐欺にはあたりません。
ただし、具体的に結婚の準備を進めていた場合は、婚約破棄を理由とした慰謝料や損害賠償の請求が可能です。
お問い合わせください。
3、結婚相談所とトラブルになったときの解決方法
結婚相談所など、婚活サービスを通じてお金のトラブルが発生した場合は、クーリングオフや中途解約による解決が期待できます。それぞれ詳しく解説しましょう。
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(1)クーリングオフする
「クーリングオフ」といえば、訪問販売や通信販売などの契約に対して、一定期間の解約解除が認められる制度だと理解している方も多いでしょう。実は、結婚相談所との契約も、特定商取引法に定められた特定継続的役務提供にあたるため、クーリングオフの対象となります。
特定継続的役務提供とは、結婚相談所のほかエステティックサロンや美容医療、学習塾などのように、長期・継続的な役務(サービス)を提供する代わりに、高額の対価を約束させる取引のことです。結婚相談所のサービスの提供期間が2か月を超えて、かつ契約金の総額が5万円を超える場合は、特定継続的役務提供としてクーリングオフが可能になります。
特定継続的役務提供の場合、クーリングオフの期間は「契約書面を受け取った日から8日間」です。トラブルが顕在化した時点で8日を超えているケースも少なくありませんが、契約書面が交付されていないなど、結婚相談所側に違反行為があれば、8日を超えてもクーリングオフできます。
また、結婚相談所で知り合った相手から、マルチ商法などに勧誘されて高額な商品・サービスの契約をしてしまった場合でも、クーリングオフによる解決が期待できます。 -
(2)中途解約する
クーリングオフで解決できなかった場合、次の解決方法として期待できるのが「中途解約」です。違約金を支払うことになりますが、契約を終了させることで、その後の請求などを回避できます。
悪質な業者が相手となるケースでは、高額の違約金を請求されることもありますが、結婚相談所などの契約に関する違約金の上限は、特定商取引法によって規定されています。
サービスが始まったあとに契約を解除する場合、以下2項目の合計金額が、違約金の上限です。(特定商取引法第49条2項)- すでに提供されたサービスの対価に相当する額
- 2万円または契約残額の20%に相当する額のいずれか低い額
これを超える違約金を請求されても、支払いの義務はありません。
4、婚活トラブルは弁護士への相談がおすすめ
婚活で知り合った相手から詐欺被害に遭ったり、利用した結婚相談所で金銭トラブルに巻き込まれたりしたら、弁護士に相談しましょう。以下で弁護士に相談するメリットをご紹介します。
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(1)結婚詐欺に対して刑事・民事両面のサポートが可能
結婚詐欺の被害に遭った場合でも、弁護士に依頼すれば刑事・民事の両面でのサポートを受けることができます。
特に、刑事事件として詐欺罪を成立させるための要件は難しいため、弁護士に相談することで、結婚詐欺が成立するかどうか正しく判断できるでしょう。警察が捜査に消極的な場合でも、弁護士が告訴状を作成することで、事件化されやすくなります。
また、民事事件としても、個人で民事責任を追及するには手間と時間がかかりますが、弁護士であれば、難しくて面倒な訴訟・差し押さえなどの手続きを一任可能です。個別の事情に応じて適切に対応することで、賠償を受けられる可能性も高まるでしょう。 -
(2)クーリングオフを適用できるか判断できる
結婚相談所などの婚活サービスを利用して料金や契約・解約に関するトラブルが生じた場合も、弁護士への相談をおすすめします。
サービスの内容が契約前に説明されたものと異なっていた、強引に契約させられたなどのケースでは、契約の方法に問題があるので、クーリングオフを適用できる可能性があります。クーリングオフを嫌う業者は少なくありませんが、弁護士が代理人として交渉することで、スムーズな解約・返金に期待できるでしょう。
5、まとめ
結婚相談所・婚活パーティー・お見合いパーティー・婚活サイトなどを利用すると、十分な説明がないまま、高額な入会金や会費を請求されるトラブルなどに巻き込まれる可能性がゼロではありません。また、婚活サービスで知り合った相手から結婚詐欺の被害を受けたり、マルチ商法の被害に巻き込まれてしまったりするトラブル事例もあるので、慎重な利用を心がける必要があります。
結婚相談所などの婚活サービスについて、料金や契約に関するトラブルが発生してしまった場合は、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスにご相談ください。経験豊富な弁護士が代理人となって、全力でサポートします。
結婚詐欺の被害やストーカー被害などへの対応のアドバイス・サポートも可能です。まずはご一報ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています