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盗聴は犯罪行為? 罪に問えるケースと慰謝料請求について解説

2022年09月26日
  • 一般民事
  • 盗聴
  • 犯罪
盗聴は犯罪行為? 罪に問えるケースと慰謝料請求について解説

自宅から盗聴器が見つかった場合には、どのように対応したらよいかわからずパニックになってしまう方も多いでしょう。

盗聴によって他人の生活の様子を盗み聞きする行為については、何らかの犯罪が成立するのでしょうか。また、盗聴器を設置して盗聴を行った人に対して、何らかの制裁を与えることができるのでしょうか。

今回は、盗聴行為によって成立し得る犯罪と慰謝料請求の方法について、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスの弁護士が解説します。

1、盗聴器を発見したら、まずはどうするべき?

自宅から盗聴器が見つかった場合には、どのように対応したらよいのでしょうか。

  1. (1)パニックにならない

    自宅から盗聴器が見つかった場合には、誰かに監視されているかもしれないという恐怖からパニックになってしまう方も多いと思います。

    しかし、パニックになった状態では、適切な対応が難しくなりますので、まずは気持ちを落ち着かせることが大切です。ひとりで対応することが難しい場合には、家族や友人に相談をしてみるというのも有効な手段となります。

  2. (2)慌てて外さない

    盗聴器を発見した場合には、すぐに外してしまおうとする方が多いと思います。

    しかし、盗聴器をすぐに外してしまうと犯人を捕まえるための証拠が失われてしまうおそれがあります。そのため、そのままの状態にしておくのは気持ち悪いかもしれませんが、警察が来るまでは、そのままにしておく方がよい場合があるでしょう。

    また、盗聴器が仕掛けられている場所によっては、素人では簡単に取り外しができない可能性もあります。無理やり取り外しをしようとすると、回線がショートしてしまったり、感電してしまったりするおそれもありますので、自分で外すのは控えるようにしましょう。

  3. (3)心当たりを考えてみる

    警察に連絡をして、盗聴器を外すことができた段階で、盗聴器を仕掛けられた原因について心当たりがないか考えてみましょう。

    盗聴器を仕掛けるためには、自宅に忍び込む必要がありますので、家族や恋人が犯人であることもあります。他方、第三者が犯人であった場合には、何らかの手段を使って自宅に侵入したことになりますので、玄関の鍵を交換するなどの対応も必要になってくるでしょう。

2、盗聴行為は犯罪にならない? その理由とは

盗聴行為をした場合には、どのような罪に問われるのでしょうか。

  1. (1)盗聴とは

    そもそも盗聴とは、他人の会話を当事者に気付かれないように聞くことをいいます。

    最近では、家電量販店やインターネットなどで誰でも気軽に盗聴器を購入することができるようになりました。盗聴器のサイズも小型化されており、さまざまな種類がありますので、浮気調査などでも利用されています。

    なお、捜査機関が犯罪捜査のために通信傍受を行うことがありますが、これは一定の犯罪に限り通信傍受令状を得て行うものですので、適法な捜査手段といえます。

  2. (2)盗聴行為は犯罪にはならない

    盗聴行為は、他人のプライバシーを侵害する行為ですので、何らかの犯罪が成立すると考える方も多いと思います。

    しかし、現時点の日本の法律では、盗聴行為それ自体を処罰対象としている法律は存在していません。盗聴行為によって他人の会話を盗み聞きしていたとしても、それだけでは罪に問うことができないのが現状です。

    ただし、後述するように盗聴行為自体ではなく、盗聴行為+αの行為をした場合には、別途犯罪が成立する可能性があります

3、盗聴行為が判明したことで罪に問える4つのケース

盗聴行為自体では犯罪が成立しない場合であっても、盗聴行為に付随する行為について罪に問うことができる可能性があります。代表例として、4つのケースを見ていきましょう。

  1. (1)盗聴器を設置するために他人の自宅に侵入したケース

    盗聴をするためには、対象者の自宅などに盗聴器を設置しなければなりません。盗聴器を設置するためには、自宅に忍び込む必要がありますが、盗聴器を設置することに同意をしてくれる人はいませんので、当然無断で自宅に侵入することになります。

    このように、居住者に無断で自宅に侵入する行為をした場合には、住居侵入罪が成立します(刑法130条前段)。住居侵入罪の法定刑は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金と規定されています。

  2. (2)盗聴器を設置するために家具や家電を破壊したケース

    盗聴器には、コンセントに差し込むだけでよいものから、家具や家電に埋め込むものまでさまざまなタイプがあります。盗聴器を設置する際に、家具や家電に穴をあけたり、傷をつけたりした場合には、器物損壊罪が成立します(刑法261条)。

    また、自宅に侵入する際に、窓ガラスを破壊したり、鍵を壊したりした場合にも、同様に器物損壊罪が成立します。

    器物損壊罪の法定刑は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料です。

  3. (3)ストーカー行為の一環として盗聴が行われたケース

    元配偶者や元恋人などによって盗聴行為が行われている場合には、ストーカー行為の一環として行われている可能性があります。ストーカー規制法では、以下のような行為を「つきまとい等」として規制の対象としています。

    • つきまとい、待ち伏せ、押し掛け、うろつき
    • 監視していると告げる行為
    • 面会や交際の要求
    • 乱暴な言動
    • 無言電話、拒否後の連続した電話、FAX、メール、SNSメッセージ
    • 汚物等の送付
    • 名誉を傷つける
    • 性的しゅう恥心の侵害


    そして、つきまとい行為を繰り返し行うことを「ストーカー行為」と定めて、ストーカー規制法による罰則が適用されます。そのため、盗聴行為によって把握した情報に基づき、「お前をいつも監視しているぞ」などと告げる行為がなされた場合には、つきまとい等にあたり、ストーカー規制法による処罰対象となる可能性があります

    ストーカー行為をした場合には、ストーカー規制法により、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。

  4. (4)盗聴内容を利用して脅迫をしたケース

    盗聴行為は、対象者の重要なプライバシーを盗み聞きすることができます。他人に知られたくないような情報を聞いた場合には、そのことを本人に伝えて、脅迫行為がなされることもあるでしょう。このような場合には、脅迫罪が成立する可能性があります。また、脅迫行為によって金品を脅し取った場合には、恐喝罪が成立するかもしれません。

    なお、脅迫罪の法定刑は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金、恐喝罪の法定刑は、10年以下の懲役と定められています。

4、盗聴してきた相手に慰謝料請求をするためには

盗聴をしてきた相手に対して慰謝料請求をすることはできるのでしょうか。

  1. (1)盗聴を理由に慰謝料請求は可能

    盗聴行為自体は、犯罪にはあたりませんが、盗聴によって他人のプライバシーを侵害することになります。プライバシーを侵害された本人は、盗聴によって多大な精神的苦痛を被ることになりますので、盗聴行為をした相手に対して、精神的苦痛を理由とした慰謝料を請求することができます

  2. (2)慰謝料請求の方法

    慰謝料請求をする場合には、以下のような方法で行います。

    1. ① 盗聴行為をした犯人を特定
      慰謝料請求をする前提として、まずは、誰が盗聴行為をしていたのかを特定しなければなりません。盗聴行為+αが犯罪にあたる場合には、警察に被害届を提出することによって、行為者を特定するための犯罪捜査を行ってもらうことができます。
    2. ② 相手との話し合い
      盗聴行為をした相手が特定できた場合には、まずは話し合いによって慰謝料請求をしていくことになります。相手が盗聴行為を認め、慰謝料の支払いに応じるようであれば、合意書などを作成して内容を明確にしておくようにしましょう。
      盗聴行為をした相手と直接話し合いをするのが嫌だという方は、相手との交渉を弁護士に任せることもできます。ご自身での対応に不安を感じる方は弁護士への相談を検討するとよいでしょう。
    3. ③ 裁判
      相手が話し合いに応じない場合には、慰謝料の支払いを求めて裁判を起こす必要があります。裁判では、慰謝料を請求する側で相手による盗聴行為があったこと立証していかなければなりません。相手が盗聴行為を否定している場合には、それを証明することができる証拠がなければ、裁判所に慰謝料の支払いを認めてもらうのは難しいでしょう。
      そのため、裁判をすることになった場合には、弁護士によるサポートが重要です。盗聴行為に気付いた場合には、早めに弁護士に相談をして、その後の対応についてアドバイスをしてもらうとよいでしょう。


5、まとめ

盗聴行為は、犯罪にあたると考える方も多いですが、盗聴行為自体を処罰する法律はないため、盗聴をしただけでは罪に問うことはできません。しかし、盗聴をするためには、盗聴器の設置などのために自宅に侵入することになりますので、盗聴行為に付随する行為に関しては、犯罪になる可能性があります。

また、盗聴行為の被害を受けた方は、多大な精神的苦痛を被ることになりますので、相手に対して慰謝料を請求することも可能です。

「盗聴被害にあい、相手に慰謝料を請求するつもりだ」「裁判を申し立てたいが、自分ひとりでは不安だ」という方は、ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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