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残業代を30分単位で計算するのは違法? 正しい端数処理の方法を弁護士が解説

2019年09月13日
  • 不当解雇・退職勧奨
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  • 岡山
残業代を30分単位で計算するのは違法? 正しい端数処理の方法を弁護士が解説

平成29年、岡山県の労基署への相談により、残業代の未払いが発覚した食品会社が書類送検されました。同社では月に80時間以上残業させていた労働者に、固定残業代を超える残業代を支払っていなかったといいます。
社会人なら一度は、会社から渡された給与明細を見て「思ったよりも残業代が少ない」と感じたことがあるのではないでしょうか。会社の担当者に確認しても「30分単位で計算しているから」と言われ、どこか腑に落ちない気持ちになったという方もいらっしゃると思います。
一般的に会社の給与計算方法として、1日あたりの残業時間を15分単位や30分単位で処理することがありますが、実は法律上の問題点が存在しています。
この記事では、残業時間の端数処理が違法となるケースや、会社に改善を求める方法を岡山オフィスの弁護士が解説します。

1、残業代とは

  1. (1)残業代の計算方法

    労働基準法第24条では「賃金の全額払い」、第37条では「時間外、休日、深夜労働に対する割増賃金の支払い」が義務づけられています。よって、会社は残業代を1分単位で計算し、全額支給しなくてはなりません。

  2. (2)残業代を30分単位で端数処理するのは違法?

    冒頭のように、残業代の端数処理を15分や30分単位で行うのは違法なのでしょうか。
    たとえば、ある日の労働時間が8時間29分だったとします。この場合、法定労働時間である8時間を超える29分について、会社は割増賃金の支給義務が生じます。
    このように1日ごとに生じた端数を5分、15分、30分といった単位でカットすることは違法にあたるということです。

2、月単位の計算では適法

しかし労働者ひとりずつの給与を手計算しているような会社では、担当者の事務作業が煩雑になり、それこそ長時間労働につながってしまうでしょう。
そこで、手続き上の簡素化を目的とした例外が認められています。

  1. (1)月単位であれば、30分単位の切り捨ては適法

    時間外労働、休日労働、深夜労働を1ヶ月単位で合算して1時間未満の端数がでた場合には、30分未満の端数を切り捨て、30分以上の端数を1時間に切り上げることができます。
    たとえば、ある月の法定外労働が20時間25分だった場合、20時間として計算することは問題ありません。
    ここで重要なのは、あくまでも「1ヶ月単位の合計」であり、1日単位ではないという点です。1日の残業時間が1時間10分だったとき、1時間として計算することはできません。
    こうした取り扱いを積み重ねると、1ヶ月単位で見たときに実態とかけ離れた結果になることは容易に予測できるからです。

  2. (2)変則的な取り扱いは認められない

    月ごとの端数処理であっても、切り捨てのみを採用することはできません。
    たとえば、30分未満は0時間、30分以上は0.5時間として計算する方法です。
    どちらの場合でも一律に切り捨てられており、労働者に不利な取り扱いになるからです。
    一方で、30分未満は0時間とするが、30分以上は1時間とする方法であれば、一律にカットして労働者に不利となるわけではないため、便宜上認められています。

  3. (3)労働者に有利な方法であれば認められる

    ただし、30分未満を0.5時間、30分以上を1時間として、一律に切り上げることは可能です。
    これは、いずれも残業時間が実際より多く算出される方法で、労働者にとって好ましい結果であり、労働基準法の趣旨に沿った方法だからです。何が違法で何が適法かわからなくなったら、労働者にとって一律に不利となる取り扱いがされていないかを考えてみるとわかりやすいでしょう。

3、30分単位の端数処理を改善してもらうには?

それでは、もしすでに違法な方法で残業代が処理されている場合、会社に改善してもらうにはどうすればよいのでしょうか。

  1. (1)会社へ違法性を指摘する

    まずは、違法性を指摘しましょう。
    会社の人事部や給与担当部署であっても、端数処理の取り扱いについて誤運用している場合があります。前述のように、1ヶ月単位で認められている処理を1日単位で導入してしまっているかもしれません。
    通常の会社なら、誤解を指摘すれば改善してくれるはずです。根拠資料として、端数処理について触れられている労働局のパンフレットなどを持参しておくと良いでしょう。

  2. (2)複数の相談先を活用する

    違法性を認識しながら故意に処理している会社であれば、何かしら理由をつけて言い逃れしようとするでしょう。
    そのときはご自身だけで何とかしようとせず、第三者機関への相談をおすすめします。相談先としては以下のようなところが考えられます。

    ●労働組合
    労働組合に加入しているのであれば、労働組合へ相談してみましょう。労働者側に立って会社と交渉し、改善を求めることができます。

    ●労働基準監督署
    労働基準監督署は、会社が労働基準法や関連法令を遵守しているかを監督する公的機関です。違法性が認められれば、是正勧告・指導をしてくれるでしょう。冒頭で紹介した事例も、労働基準監督署への相談によって残業代未払いの事実が発覚した会社が書類送検されています。
    ただし、労働基準監督署が介入してくれる前提条件として、会社の違法性を指摘・交渉し、それでも認められなかったことや、違法の証拠が必要となります。まずはご自身で可能な限りの努力をしなければなりません。

    ●弁護士事務所
    労働基準監督署が動いてくれない場合、弁護士などの労働問題に詳しい専門家へ相談することも有効な方法です。個別のケースに応じ、代理人となって会社と交渉してくれるでしょう。

4、未払い分の請求方法と注意点

1日あたり30分単位で端数の切り捨てがおこなわれていた場合、未払いとなっている部分の残業代は請求することができます。
残業代を請求する方法や注意点を確認しましょう。

  1. (1)残業代請求の流れ

    未払いとなっている残業代の請求は例えば次のような流れでおこないます。

    • 内容証明郵便を送付……請求金額や支払期日などを記載した書類を内容証明郵便で会社へ送付し、交渉を開始します。請求金額の計算には過去のタイムカードや給与明細などが必要です。
    • 労働基準監督署へ相談……会社が交渉に応じない場合には労働基準監督署へ相談します。できる限りの証拠をそろえておきましょう。
    • 労働審判……なおも解決しない場合には、裁判上の手続きである労働審判を申し立てます。訴訟と比較して費用がかからず、3回以内の期日で審理が終了するため迅速な解決が見込めます。
    • 訴訟……労働審判の結果に異議申し立てがなされると、訴訟へ移行します。
  2. (2)残業代請求の注意点と弁護士に依頼するメリット

    残業代の未支払いが発覚したら、できるだけ早期に動き出すことが大切です。 そこで、弁護士を介して交渉・請求をおこなうことをおすすめします。
    残業代を含む賃金の請求権は2年で消滅時効にかかり、時間が経つほど過去の分の請求が難しくなります。
    また、請求には残業代の正確な計算が必要となります。証拠となる過去の勤怠記録を集めること、すべての月において計算し直して未払い分を算出することは簡単ではありません。
    労働者個人が会社と交渉しても応じてもらえる可能性は低く、何らかの不利益を被るリスクもあるでしょう。計算方法の違法性を法律家から指摘されることで、会社が素直に応じることは十分にあり得ます。
    労働審判や訴訟となれば会社が受ける負担も大きくなりますので、その意味でも交渉で決着を迎える可能性は高いと言えるでしょう。
    万が一労働審判や訴訟に発展した場合でも、弁護士であれば代理人となってくれます。

5、まとめ

今回は、残業時間を端数処理する際の違法性について解説しました。
1日あたりの残業時間を30分単位で切り捨てる処理は違法です。労働者は実際の労働時間に応じた賃金を受け取る権利がありますので、改善の要求や過去の未払い分を請求することができます。とはいえ、個人で会社と相対することは容易ではありませんので、弁護士への相談も視野に入れておきましょう。

ベリーベスト法律事務所 岡山オフィスでもご相談をお受けします。労働者としての権利を正当に行使するために全力でサポートいたしますので、ぜひ一度ご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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